心がほっとして力をくれる場所〜熊谷守一美術館〜
数年前に両親が引越した実家に近いということもあり、時々お邪魔している、熊谷守一美術館。
熊谷守一さんの絵が好きで、場所が好きで、力をくれる。
『有名になりたい、偉くなりたいという世俗的な欲求は、まったくなかった。なるべく目立たないように、自分の思うまま、描きたい時だけ描いて、そっと生きた人生。絵を見ていただきたいのは勿論ですが、絵を通して守一のものの見方や生き方を感じてもらえたら』
と美術館のパンフレットにこの美術館の創立者である次女の熊谷 榧(かや)さんの言葉としてある。
もうひとつ、熊谷守一さんの言葉で
二科の研究生の書生さんに
「どうしたらいい絵がかけるか」
と聞かれたときなど私は
「自分を生かす自然な絵を書けばいい」
と答えました。
下品な人は下品な絵をかきなさい。
馬鹿な人は馬鹿な絵をかきなさい。
下手な人は下手な絵をかきなさい。
と、そういっていました。
結局、絵などは自分を出して自分を生かすしかないのだと思います。
自分にないものを無理に何とかしようとしても、ロクなことにはなりません。
『へたも絵のうち』より
『結局、自分を出して自分を生かすしかない』この言葉がいつも、ここに訪れる私の背筋を伸ばしてくれるのだ。
1985年に創られた場所で、2007年に豊島区立となった。
1階2階は、守一さんの作品を行ったり来たりしながら、夢中で見入ってしまう。
3階ギャラリーでは、榧さんの展示も行われていた。
守一さんの絵とまた違っていて。でも迫力があって、見ているだけで力をくれるところはやはり近いかな。
写真を撮れるのは榧さんの作品のみなので、写真は、どれも榧さんの絵です。
御年92歳の榧さん。初めてお会いできて、たくさんおしゃべりできたことは、とても光栄だった。
赤い髪の素敵な佇まいで、インドのトイレ事情とか、1974年に(ワタシの生まれた年)行かれたネパールの山の話とか、お子さん達の話とか、とても楽しいお話を聞くことができた。
ギャラリー、こんな時期で誰も借りてくれないから、私が出したのよ、と笑ってらした。
楽しいひととき。
今回のお土産。あっという間に読んでしまった。
珍しく夜に読みふけっていたら、大きな揺れ。
地震で家族が全員起きて集合したのも、初かな。
遠くの友人知人たちから連絡があって、本棚など崩れている写真をもらう。
無事に安堵し、しかし物的被害などは広範囲であり、これから続かないことを願うよりほかなく。
気持ちがザワザワして、なかなか眠れず。
みんなが寝たあとは日中のことを思い出して、心を落ち着かせ。昨日行ってきて、よかった。
ちょっとクラウドファンディングのことでバタバタとした日々を過ごしていたけれど、自分の中の静けさを取り戻しておいて、よかった。
昨日は熊谷守一美術館に行って、よかった。
かっこつけず、いつもの自分を、取り戻せる場所。