スクラムチームの効果性に関する理論からわかったこと
こんにちは。天野です。
先週紹介した A Theory of Scrum Team Effectiveness が引き続き大変面白く、また読み直していました。
仮説の立て方や理論モデルについて理解が深まったので、前回に引き続き考察していきたいと思います。
理論モデルはチームの効果性が起点になる
仮説と理論モデルを再掲します。
この図の見方ですが、最初は漠然と「いろんな要素が関連してるんだな〜」と見ていましたが、チームの効果性 (Team Effectiveness) を起点に見れば良いことがわかりました。ここを起点に仮説が組み上がっているので、当然といえば当然ですが。
そもそも、この論文の目的が「スクラムチームの効果性を決定するチームレベルの要因を理解するための理論モデルを提案すること」なので、理論モデルとしてはチームの効果性が出口になる訳ですね。
そして、理論の出口となるチームの効果性の定義は、ハックマン博士らの研究が参照されています。つまり、こちらの記事に書いた「優れたチームの効果」と同じ発想でチームの効果を捉えていることがわかります。本論文では、これを外部(ステークホルダー)の満足度と内部(チームメンバー)の満足度という尺度を使って検証しています。
チームの効果性を決定づける要因は何か(リサーチクエスチョン1)という問いを起点に、効果性を決定づけるのは反応性、反応性を決定づけるのはステークホルダーへの関心…といった順番で仮説を組み立て、上記の理論モデルの全体像を作っています。
仮説検証を経て特定されたチームの効果性を決定づける5つの主要因が、反応性、ステークホルダーへの関心、継続的改善、チームの自律性、マネジメントの支援です。
検証結果の図はこちらの解説記事で長沢さんが日本語に翻訳されていたので、こちらのページから日本語版を引用します。
これらのモデルと論文を再読して気づいたことをまとめます。
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