AIでスクラムマスターの仕事はどう変わるか

こんにちは。天野です。

昨今のAIの進化は目覚ましいですね。毎日のように新しいモデルや機能が発表され、このまま進化するとどんなことができるようになるんだろうとワクワクします。一方で、AIの進化により既存の職業・仕事が脅かされる不安も存在します。

今日は、AIがスクラムマスターの仕事にどんな影響を与えるのか考えてみたいと思います。


単体のスキルは早いうちに置き換えられる

すでに議事録の生成や要約は実用化されているように、主にチーム内でのサービスに発揮される単体のスキルは早いうちにAI化が進むでしょう。

ティーチング、メンタリング、コーチング、ファシリテーションなどの基礎的なスキルは、どれもAIを活用してできることが増えそうです。ティーチングはすでに大抵のことは答えられるようになっています。既存の研修資料やデータベース・ブログ等からRAGを構築してAIコーチに質問する、などはすでに可能です。

ファシリテーションもそろそろできるようになりそうですね。オンラインMTGはAIがファシリテーター兼議事録係になり、AIが進行するのが普通になりそうです。

メンタリングやコーチングは、しばらくは人間が優位なところだと思います。今でもAIを壁打ち相手にすることはできますが、今のAIは信頼関係を構築したり長期の文脈を保持することができないので、しばらくは人間の方が信頼できるメンター・コーチであり続けると思います。

AIエージェントによって観察や介入が可能になる?

自律的にタスクを実行するAIエージェントが普及すると、チームにAIスクラムマスターがいて、自律的に観察や介入をする世界が想像できます。そうなると各個人にも専属のAIコーチが存在し、さらに何種類ものAIコーチを使い分けることも可能になります。

この頃には開発者にもAIエージェントが複数存在する世界になるので、開発チームのあり方も今とはかなり異なっているかも知れません。POが一人だけ存在し、開発は全部AIエージェントが実装するなんていうことになるかも知れませんね。

チームの雑用係を超えて価値に向き合う

スクラムイベントの進行、ベロシティの算出、ミーティングの設定、相談役などの定型的なタスクをこなすだけになっている「チームの雑用係」としてのスクラムマスターは、AIの進化によって不要になるでしょう。これは裏を返せば、本質的な価値提供に寄与しない雑用はすべてAIに任せられるようになるということなので、スクラムマスターとしての価値に向き合えることを意味します。

スクラムマスターの価値とは、自己組織化したチームを作り、アジャイルなマインドを組織のあらゆるレベルに浸透させることです。AIを活用することで多くのタスクは自動化されますが、AIを使う人間のマインドは変わりません。ここに狙いを定め、効果的に働きかけることがAI時代のスクラムマスターの価値ではないかと思います。

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