セッションプロポーザルを書く時に意識していること
先日、スクラムフェス仙台2024のプロポーザル募集を終了しました。今年もたくさんのプロポーザルのご応募ありがとうございました。現在、採択に向けて鋭意検討中です。
最近は全国にスクラムフェスが増えたことで登壇の機会が広がり、有志によるプロポーザルわいわい会も頻繁に開催されるようになり、全体的にレベルの高いプロポーザルが増えたと感じます。
私もスピーカーとして数年プロポーザルを書き続け、スクラムフェス仙台を立ち上げてからは採択する立場から読むようにもなりました。特に採択をするようになってからは、「こんな風に書いてくれるとありがたいな〜」と思うことが多くなったので、プロポーザルに書いてもらえるとありがたい点を項目ごとにまとめます。
Abstract
Abstractは概要なので、セッションの全体像を簡潔に知りたいです。簡潔すぎるとセッションの内容をまったく想像できずもったいないと感じ、長すぎても読むのが大変です。
Abstractは基本的には論文の概要を書く時と同じです。概要の書き方のコツは調べると色々出てきますが、IMRAD形式や起承転解結などを把握しておくと役に立つと思います。
論文の概要の構成やプロポーザルの特性などを踏まえ、次のような要素があると良いです。
背景と目的
取り組んだこと
得られた学び
参加者に伝えたいこと
こちらは一般的なトークセッションを想定しています。ワークショップや違うタイプのセッションでは、また異なる要素が求められるでしょう。
Target Audience
Target Audienceは、いろいろな人を書きすぎたり漠然とした属性を書いて、「みんな来てね」という内容になってしまうことが多いです。これでは、誰に参加してほしいのかよく分からなくなってしまい、もったいないと感じます。
Target Audienceは、「セッションの学びを一番持ち帰ってくれそうなのはどんな人?」「どういう人に一番響く?」などと考えてみて、最も効果がありそうな人を書き出します。ユーザーストーリーを書く時と同じですね。
ターゲットを絞り込むのは他を切り捨てているようで勇気が要りますが、絞れば絞るほど伝えたいメッセージが明確になり、プロポーザルの魅力は増すと考えています。
Learning Outcome(学習成果)
RSGTやスクラムフェスのプロポーザルで一番特徴的な項目はLearning Outcomeではないでしょうか。普段の生活であまり考えることがないので、何を書いたら良いか分からないという人も多いと思います。
Learning Outcomeは学習成果です。成果なので、参加者の行動がどう変化するか、何ができるようになるかという点が重要です。Outcome(成果)にはできる限り「観察可能な行動」を書くようにします。
例えば「コーチングの具体的なスキルを知る」のようなLearning Outcomeは観察できませんが、「コーチングの傾聴のスキルを使って隣の人と対話する」なら観察可能です。
Outline/Structure
アウトラインの箇条書きはスライドのタイトル見出し程度をイメージして書くことが多いですが、ここはあと1-2段掘り下げて書いてもらいたいです。感覚的には、文字だけで作ったスライドの8割以上の情報は載せてもらって大丈夫です。
よく「全部ネタバレするくらい書いてください」とフィードバックします。なぜかというと、もったいぶって重要な情報を書かないまま提出すると、内容を吟味して採択するのが難しくなってしまうからです。ここの情報が薄いと必然的にタイトル、概要、登録者で判断するしかありません。
タイトルや概要だけではセッションの内容を把握しづらい時は、アウトラインの情報が特に重要になります。このような時にアウトラインがあっさりしていて「詳しくはセッションに来てね!」という感じだと、「それを判断するための情報をここに書いてくれ〜〜〜」と切実に思います。
タイミング
プロポーザルの項目ではありませんが、提出するタイミングも意外と重要です。タイミングは基本的に早ければ早いほど良いです。締切直前に駆け込んで一気に数が増える傾向がありますが、直前の提出は、運営メンバーがじっくり読む時間を取れない・Likeをつける暇がない・ブラッシュアップする機会がないなどの理由で、非常にもったいないと思います。
プロポーザルは提出後もアップデートできるので、まずは粗い内容でも早く提出して、フィードバックを得ながらブラッシュアップするのがおすすめです。私も運営メンバーとしてできる限りフィードバックしますが、同僚やコミュニティにプロポーザルのURLを共有してフィードバックをもらいに行くのも良いと思います。
プロポーザルお待ちしています
私自身の経験から、プロポーザルを書いたり読んだりする時のポイントをざっと紹介しました。
有名人や初めての人を優遇するわけではなく、幅広い参加者に学びを持ち帰ってもらえるよう魅力的なセッションを採択したいと考えています。とはいえ、最初から上手に書くのは難しいと思います。提出いただいたものにはできる範囲でフィードバックするので、気軽にプロポーザルを出してもらえれば嬉しいです。