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良いゴールを設定するために

こんにちは。天野です。

スクラムを始めたチームでは、ゴール設定に苦労する光景をよく目にします。「ゴール」はスクラムガイドに頻出する言葉です。スクラムガイドでは、スプリントゴールは「スプリントの唯⼀の⽬的である」と説明され、プロダクトゴールは「プロダクトの将来の状態を表している」と書かれています。

スクラムガイドにはゴールの具体例などは書かれていないため、良いゴールを設定するスキルはチームが試行錯誤しながら身につけていく必要があります。

最近はスクラムチームのスプリントゴールに限らず、組織内でクォーターのゴールを設定して取り組んだりもしているのですが、経験豊富なシニアエンジニアやマネージャーでもゴール設定に苦労することに気づきました。

よく考えてみると、確かにここでいう「ゴール」は一般的に想像される目標設定とは性質が異なることに気づきました。ゴール設定が難しいのは、能力の問題というよりもゴールについての理解が足りていない問題が大きそうです。

良いゴールとはどんなものか、良いゴールを設定するための参考情報などをまとめます。


ゴールは活動やアウトプットではない

最初に、最も頻出する失敗例として「活動やアウトプットを書いてしまう」を紹介します。例えば次のようなゴールです。

  • 今月中にダッシュボード機能をリリースする

  • 年度内に基盤刷新プロジェクトを完了させる

  • 9月までにベータ版を触ってもらいフィードバックを得る

これらのゴールの特徴は、活動やアウトプットと締切がセットになっていることです。「いつまでに何をします」形式です。

このゴールは、担当者や作業者の視点で見ればまったく問題ないものですが、作業と締切だけに焦点が当たっており、仕事の結果もたらされる成果(アウトカム)に無頓着なことが問題です

このようなゴールはWhyの情報がないため、考える人・手を動かす人の分断を加速させます。またWhat・Howに寄りすぎているため、スコープ調整の交渉をしたりメンバーが創意工夫する余地がほとんどありません。

良いゴールは状態やアウトカムを表す

一方、良いゴールとは「状態やアウトカム」を書いたものです。先ほどの例を書き換えてみます。

  • 利用頻度の高い顧客を特定し個別にフォローアップできるようにする

  • デプロイまでのリードタイムを50%短縮する

  • 20%の顧客環境でベータ版機能を有効化し障害が起きないことを確認する

これらのゴールの特徴は、作業そのものよりも、作業の結果どんな状態になり、誰がどんな風に嬉しいのか?という点に焦点が当たっていることです。スプリントゴールやプロダクトゴールに限らず、組織の目標やプロダクトロードマップなども含め、目標(ゴール)はすべてこの発想で考えることが重要です。

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