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#50落ち着いた学年の時
私は過去に2度、転勤を経験しました。どちらの時も、転勤先の学校は「荒れている」という評判でした。実際に赴任してみると、その評判通りの状況で、特に1回目の転勤先は、毎日中庭に牛乳瓶が飛び交い、電気のスイッチは全て陥没し、ガラスが割れるのは日常茶飯事という有様でした。
このような学校では、先生方は疲弊し、暗い雰囲気が漂っています。無理もありません。しかし、学校を立て直すためには、教師自身が明るい雰囲気を作り出す必要があります。それは大変なことですが、避けては通れません。
もちろん、生徒たちに明るく接していれば、徐々に雰囲気も良くなっていくはずです。しかし、教師も人間ですから、常に元気でいることは難しいものです。そこで、無理のない範囲で生徒と接することが大切になってきます。
このような状況下では、生徒に笑顔を振りまくことができる人はごくわずかです。しかし、そのような先生方の存在は、生徒たちにとって大きな支えとなっているはずです。私は、そのような先生方をサポートするために、何ができるだろうかと常に考えています。
そして、私が辿り着いた答えは「掃除」でした。
落ち着いている学年は、様々な要因があると思いますが、共通して言えるのは、学年フロアがとても綺麗だということです。先生方が熱心に掃除をしている姿が印象的です。教室の机のズレ、授業前の黒板、廊下の窓など、生徒たちが普段あまり掃除しないような場所まで綺麗になっている学年は、総じて落ち着いた雰囲気になっているように感じます。
荒れている学校では、どうしても生徒指導が必要な生徒にばかり目が行きがちです。しかし、そのような生徒にばかり注目していると、問題は解決しないように思います。大半は真面目な生徒です。そのような真面目な生徒たちに最高の環境を提供することに意識を置くことも、学校を立て直すための手段の一つではないかと、私は考えています。