「休んでいいよ~」と言われても、なかなかうまく休めなくて。
主人公は、生き急ぐのをやめた。
以前は、何かに翼をせわしなく動かされながら生きていたのだろう。
要するに、生きるスピードを主人公自らコントロールするようになったのである。
一体、何が主人公を変えさせたのだろうか。
過去に、生き急ぐことで何かを失った苦い経験があったのではないだろうか。
前を向くことだけがこの世のすべてではない、と。
翼の使い方の一つに、翼があっても「翼を使わない選択肢」もあっていいはずだと、主人公はそう地上から叫んでいるのだ。
「最近、元気してる?」
と、たまにLINEをくれる友人がいる。
「ぼちぼちやで。」
薄い液晶版の上で会話が始まる。
その瞬間、地上へと下降してゆく感覚を私は覚えるのだ。