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South/iSland物語

第一章
はじまりの物語

❹こちら,宿直室。
「おーい。仮眠室が物置になってるぞい」キングが奥から顔を出した。
「吾輩たちだけで終わるか心配ですね」ゴッドも心配そうに答える。
「わてらだけでやらんと,仕事がえらく多かとこじゃ」バロンも汗を拭きふきやってきた。
「おっジムが帰ってきおった」
「キングさん。まだ,あちらも荷物の山だそうですよ」
「はっはっ!そりゃそうか!」
「ほんじゃ,書斎に本を運ぶとすっかにー」バロンが立ち上がると
「本棚は?」ふと,ジムが聞くと
「もう運んだところですよ」とゴッドが答えた。
「えっもう組み立てたんですか?」
「慣れたもんよ,なあ,ゴッド!バロンさん!」
「わてらには朝飯前じゃよ」
「そういうことらしいですよ」
「しっかし,この本ってどこから持って来たんですか?」
「わしらが,四人でコツコツ集めたってとこかな」とキングが答えると。
「コイツは全然勉強なんかしてねーんじゃい」
「バロンさんこそ,してなかったぞ」
「この二人に聞かないほうがいいですよ。十分の九くらい社長と吾輩の本ですから」
「辞典に図鑑に,農業年鑑?農業基礎,農業機械,農業経営,栽培環境。水産加工論。淡水養殖論。難しい本ばかりだなー」
「まあ,ぼちぼち勉強してったらいいんじゃ」
「説得力ないぞー」
大笑いだった。



ゴチャゴチャ
「食堂を使えないのはわしらのせいかい?」とキング←40歳。
「そうみたいですね」とはゴッド←39歳。
「がっはっは!こんだけ散らかせば,誰も入れんとこじゃっど」豪快に笑っているのはバロン←52歳。そしてとどめはジムさん←25歳。
「わたくし達は出れませんよ」


「だから言ったんですよ!先に全部外に出してしまおうって」ゴッドが言うと。
「聞いてねーが!」キングもやり返す。
「おいっ!早く脱出すっぞ!」バロンがタンスを足蹴にしながら。
「大丈夫なんでしょうか・・・うちの上司の皆さん」
「ふんがー!」
「強行突破!」
「あ゛ー!そんな事したら!」
「したら?」
「社長が泣きますよ。傷が付いたって」
「泣くな,そりゃ」
「おいおい・・・」後ろでズッコケているジムであった。

結局二日目も片付けと畑仕事で終わった、社員の皆さんでした。



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