South/iSland物語

第一章
はじまりの物語

3、仕事一日目(烈光version)
「ふあー……、あくびが止まらん、のう、ガンちゃん。」
「っつうー、ねむー、昨日は騒ぎすぎだつーの。」
「眠いっス。」
005号室の三人のうち、最後に出て来た者が二人に比べて少し背が高いが、三人とも瞳には爛々と光るものがある。一人目のおじさんくさいのは名をバーンナイトといい、グループの中でのやんちゃ坊主トリオの一人。そしてもう一人が、このガンタンク。この二人にくっついて部屋から出てきたのは、白龍兄弟の三男坊、はくちゃんという。
・・・
船の甲板に集合をかけて、「一班は井戸作り、二班は家の整理、それぞれに分かれて作業をしていきたいと思います。」と話す、社長の烈光はここ何年もかかって仲間たちと準備をしてきた。資金を作り、広い土地を探して購入し、家を買い取り、井戸を増やすため、新しく掘ったりもした。更に社員をあちらこちらの地方から集め、昨日やっと、旗揚げ式までこぎつけたというわけである。副社長を務めるキングエクスカイザー―通称キングと顧問のゴッドマックス―通称ゴッドと初めて出逢ったのが十三年前、彼らはまだ二十代だった。そして、社長の古い親友、サンダーバロン―通称せーんむとの再会が三年前だった。初めは武者と将軍も加わった合計六人だった。
―――もう四年も経つか…
大きく息を吐いて、19人になった仲間たちを見渡して、最後にもうひと言。
「よろしく!!!」

船から下りて、てくてく家のあるところまで歩いていく。道には南の島らしく様々な草木が生えていて、日の光はぎらぎらと照っている。
「イヤーまいったな、わいの柔肌が日に焼けてまうで。ほんま。」
「あほなことを言ってないで先に進むでござるよ。」
「たいちょー、そらないデー。」
「さっさと進んでください!じゅうおう。」
「あはは、そないに急かさんといてーな。班長たるもの寛大な心が必要やでー。」
たいちょーとは、白龍三兄弟の長男坊で、今は総合副班長をしていて、この日は、列の後ろの方に付いていた。もう一人、最後尾にいる班長とは総合班長、暗密将軍のことである。

  さて、作者はここらで、まだ出て来ていない登場人物の紹介と行こうと思うが、どうだろう。
例の社長たちが先頭を切って進み、そのあとから、やんちゃ坊主三人組(?)がわいわい言いながら続く。そして、比較的体力のある三人、運動神経抜群のステイメン、剣士れっくう、それにクラウンが続き、さらに、なぜか仲良くなった白龍の次男坊はくりゅーと背の大きなマーキュリアスの二人、体格のよい武者と小さなマークツー、先生と呼ばれているガンキャノンと「さん」付けされているジムさんがいる。その後ろをさっきの大騒ぎの三人がだらだらと歩いている。
どんな家か心配しているうちにあっという間に目指す仕事場兼住居に着いた。早速、一班は社長とせーんむに連れられて、新しく掘った井戸を整備するものと、古井戸を改修するものとに分かれて働き出した。一方、キングとゴッドを先頭に家の中に入っていった二班は、荷物を運び込み出した。
彼らの仕事場兼住居は二階建てで外観は西洋風の家とそのとなりにもう一軒同じような造りの家である。その内の一軒は空から見るとコの字型になっていて、空いている部分は中庭になっている。一階は玄関から入るとすぐ客間で、その隣に八畳の畳の部屋と台所が続いている。
「うわー、広い部屋っスねー。」
「でも二十人暮らすのはどうかのう。」
「古い家だとばかり思ってたけど、ましなほうだぁ。」
といつもの三人組が先頭で中に入り、おもいおもいの感想を漏らしていると、
「何をぼーとしとる!さっさと荷物を持たんか!」
という声より速く、ゲンコツが飛んできた。✩
「っってーなぁー。」×3
「わっ、キ、キングさん、おっ遅かったっスね。」
「おまえらが早すぎるんだ。荷物も外にほっぽり出しおって。罰として、雑巾がけを命
ずる。しっかり働けよ。」
「エー!」三人口々に文句を言いながら、家の中に入っていった。
「残りは、『シロネコヤマトの宅急便』が荷物を運んでくるのを待つことにしよう。多
分もうすぐ着くはずだから。」
ゴッドが言うとそれぞれ散って、腰を下ろして水筒の水を飲んだり、家の周りを探検したりした。

 一方、井戸を見に行った一班は二手に分かれて作業を開始していた。
「なんで、わいが古井戸やねんなー。」
「僕はどちらも変わらないと思うな。」
「マークツーはそう言うけどな、他のみんなに聞いてみーな。」
「私もマークツーさんに同感ですけど・・・」
「は、班長ーそらないでー。だいたいなーここまで道具を担いでやな,運んで来たんや
で。せや、ステイメンはどうや、古井戸は嫌やろ、な。」
「おれは・・・。それより、じゅうおうはなんでそんなに嫌なんだよ?」
「なんちゅうかな、わいのイメージに合わんやろ、古いなんてな。わいはやっぱ、かっ
こエエからな、ナ、そう思うやろ?わーははははは!」
「そんなムチャクチャな理由で・・・。」  
完全にあきれかえっているステイメンをほっといて、じゅうおうはさらに話し続けている。一体こいつら何がしたいのやら・・・。古井戸を新しくするんだろっ!

さて、一班の片割れはというと・・・・いたって真面目に働いていたのだった。よかった
よかった。ってそれで終わりかい、あんた、もうちっと真面目に説明せんか。
えっと、ま、こちらのほうは真面目なのが揃っていたからそれもまた当然なのだ。
「ジムさん、新しい井戸のポンプ(手動)、どうやって組み立てるんだっけ?」
と工具を両手に持ちながら聞いているのはクラウンという。彼はここで一、二を争うスポーツマンだ。図面をのぞき込みながらあれこれ指示を出している、ジムさんと呼びかけられた人物。こちらは頭の良さ№1の秀才君で何をやるにしても真面目に取り組む、この会社では珍しいタイプだ。(おいおい・・・)
それでは、その指示に答えながらせっせと動き回っている残りの二人の紹介に行こう。一人はマーキュリーと呼ばれているのだが、きれいな名前に似合わず、体が人一倍大きく、というよりデカイ。その上、おおらかな性格をしていて細かいことにはこだわらず、面倒見のよい九州男児タイプである。そして最後の一人、はくりゅー。彼は白龍兄弟の次男坊である。責任感の強い長男(たいちょー)と天衣無縫な性格の三男(はくちゃん)の間に生まれたせいか、三人の中ではどうも影が薄いが、実は…すごい人なのである。説明はそのくらいにしとこうか。


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