
哀愁しんでれらを広めたい欲に駆られている主婦の話(ネタバレあり)
唐突だけれど『哀愁しんでれら』が好きだ。
何故か勝手に宣伝したい欲に晒される。
それは私が田中圭さんの無類のファンだからということだけでは無い。
監督のインタビューやTwitterなどを観ていると、この作品を信じる思いというものが伝わって自ずと応援したくなる。
しずるの村上純さんも同様で
こちらではネタバレなしのもの凄い長文だけれど感動すらする感想が綴られている。
わたしには夢があった。
夫の崇拝する宇多丸さんにこの映画の感想を述べてもらうこと。
昨日、その夢が叶ってあまりに興奮したので深夜にも関わらず、この文章を書いている。
アフター6ジャンクションの「ムービーウォッチメン」に「哀愁しんでれら」が選出されたのだ!
夫曰く、宇多丸さんは正直で酷評する時はもの凄く辛辣に意見を伝える人らしい。
数々の作品を観て、感想を述べて来た宇多丸さんがこの作品をどう思うのか。
子供の発表会でも観るような気持ちで、それはそれはドキドキした。
そして…終わった後に歓喜したのだ。
番組に寄せられた意見は3分の2が良い意見で、それ以外には酷評もあった。
最近の作品にしては賛否の分かれた作品だという。
わたし自身…あの作品を観た後は一瞬、否の渦の中に入っていた。
綺麗な映像や豪華なキャストに乗せられて、わたしはどこへ連れて行かれたのだろう?
そんな裏切られたような気持ちになったものだ。
そんなモヤモヤした余韻を楽しみながら、作品の伝えたかった事を考える時間を持つことで、驚くほどに考え方は変わっていった。
その時間ひっくるめて本当に楽しかった。
余韻を楽しむこと。
コレがこの作品の醍醐味な気がしている。
ラジオの話に戻ろう。
賛否が分かれる理由は、やはりラストシーンのようだ。
見方によってはひねりに捻ったハッピーエンド。これは寓話。
という宇多丸さんの言葉はかなり腑に落ちる。
ここから先は嬉しい、共感したなどの抜粋の言葉たち。
〜見た目よりは予算はないはず。
作品に関わったスタッフとか出演者の強い意志。この物語脚本にふさわしい映画にみんなでするんだという気合の賜物。〜
〜最大の勝因はキャスティング。
主人公の小春に土屋太鳳というこの絶妙さで8割これは勝っている。〜
〜大悟役の田中圭さん。前半の非常にカジュアルな人柄。
田中圭さんが非常にカジュアルにしている感じで、いい感じの人だなっていうのはもちろん田中圭さん素でいけるわけだけれど、やっぱり一皮剥いたらクソ役はお手の物。
特に敬語を多用しての本当に感じの悪いモラハラ演技っていうのはこれは本当に圧巻でございました。〜
〜演技初挑戦の子役のCOCOさん。
ロールを演じる子供らしさや賢さや計算に長けた存在。非常に見事にハマってます〜
〜モンスターペアレンツと虐待は表裏一体〜
〜未だに脱却できていない歪な女性像。妻像。母親像。ひいては家族像その普遍的な問題というのが寓話的な中から浮かび上がる〜
宇多丸さんはインタビュー記事、シナリオ、パンフレットなど、沢山の資料に目を通した上で話しているところがもの凄く信頼できる。
さらに自腹で映画を鑑賞するというポリシーも好きだ。
そして、パフェのイチゴを食べる音。
小春の元カレと小春の癖の事。
大悟の家で小春があるものを捨てるときに海ではない方向を見る事。
細かいところまで観ているところにもの凄く共感する。
沢山の映画を観て来た彼でさえ、1度目の鑑賞では、偏見で見ていてわかっていないことがあったらしい。
宇多丸さんは、この映画を二回鑑賞した。
観賞後にパンフレットを読んだからだ。
〜1回目観てこういう風な話だなと思っていた事と監督の真意が“えっ?そういうことだったんだ“もの凄い偏見で見ててわかってなかったわみたいなことがあった。2度目観ると全然監督の言ってるバランスに見えんじゃん。
自分の中のバイアスに気づくまでが今作の醍醐味。〜
〜渡部亮平さん、性格悪(褒めてます)〜
まさにそう。
この映画は一度観てモヤモヤして、パンフレットで答え合わせをして2度目を観ると…
なんとも言えない感情になるのだ。
1度目は、歪んだ愛情が引き起こした悲劇と思っていた。
2度目は、ひょっとしたら歪んでいるのは自分なのかもしれないと思い…混乱する。
そして幸せとは何かや、子育てとは…
さまざまな事を考えさせられる。
あんなに衝撃なお話なのに今ある幸せを抱きしめたい。そんな風に思えるところが不思議でとんでもなく好きな理由だ。
いち主婦の戯言ではなく、かの宇多丸さんも評価したこの作品。
もっともっと沢山の人に観てもらいたいと、応援団としては思っている。
わたしのお勧めに批判的な夫も、このラジオを聴いて、少しは興味を持ってくれたようだ。
哀愁しんでれらが沢山の方に伝わりますように。愛を込めて。