見せたかった庭
外に出られなくなった夫のために、彼の部屋からも見える花木や花の苗を植えました。
その花たちが立派に咲くようになった時には、見せたかった夫が逝ってから1373日も過ぎていました。
私には、はっきりと夫の声が聞こえます。
「俺が見たい庭は、お前に見せたい庭だから、
この庭、ちゃんと見てくれよ。」と。
季節ごとに咲いてくれる花々が、今は彼の遺影の前を飾ります。
「今朝、真っ白なクチナシの花が咲きました。」
3枚の写真に絞りきれませんでした。
ということは、沢山の花々が咲く庭になっていたということ。
厚洋さんがきっと褒めてくれていると思う。
「頑張ってるな!」って
みんなみんな、厚洋さんに見てもらいたい花たちです。
「ああ。ちゃんと見てるよ!
俺の部屋から、
俺の席から、
お前のでっかい目を通してな!」
声は聞こえます。
でも!会いたいです。
どんなに小さな花が咲いても、あなたを思い出します。
絶対に言うことは分かっています。
「ああ。可愛いな!
綺麗だね。」
そして、俳句を一捻りするのでしょう。
今年は、「合歓の木」が芽を出しました。
10年経ったら花が咲くそうです。
この家に来た年の夏に
ー あら、あんな。あんな所に合歓の花
満望 ー
と、厚洋さんが詠んだように、花が咲くのは
10年後。
真愛は、その年までこの庭を守れるのでしょうか。
合歓の花は生きてみられるのでしょうか。
↑左の枝垂れ桜の前クリスマスローズの間に
「合歓の木」が30cmほどになりました。
ちょっと虎狩になってしまった芝生ですが、
木下闇が美しく、ひまわりも咲いています。
来月には、遅咲きの朝顔が数輪咲くと思います。
「厚洋さん!
あなたに見せたかった庭です。
でも、この茹だるような暑さの中で
辛い身体を起こして見るのだったとしたら
真愛の目を通して
貴方に見てもらった方がいいかもね。」
連日熱中症警戒アラートが発令されている
2022年7月30日です。
ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります