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残念、影が一番短い日

 今日は「夏至」。
 孫の誕生日で有る。
 太陽高度が90度近くになる日なので、太陽が出ている時間が一番長い日。
 太陽に守られて生まれてきたような孫で、上の中切歯2本が抜けていても笑顔がとても可愛い。(孫馬鹿である。)
 この子には特別な感謝の念がある。
 具合の悪くなり始めた厚洋さんが、頑張ってお食い初めに行き、自分の息子が家庭を持ち子どもを育てている姿を見る事が出来た「自分の人生の完結」を確認する事が出来た子なのだ。

太陽の子

 当然、息子のところに嫁に来てくれたKちゃんが居なければ存在しないのだから、厚洋さんは、嫁さんに大いに感謝していた。
「あいつが家庭を持つ事が出来るのか?」
というのが、息子が彼女を連れて来た後の一言だった。
 火傷をさせてしまい、アトピー性皮膚炎に苦しみ、両親教員という理不尽な虐めに合い、就職氷河期・転職の繰り返しで辛い思いしかさせていなかった愛しい息子が、「自立」出来るのか不安だったのだろう。
 息子をずっと溺愛していた厚洋さんの心配を払拭し、「親父になった日」が、陽が一番長い日、影が一番短くなる日、夏至の日だったのだ。
 今日は夏至。
 影が一番短くなる日なのに曇りである。
 
 夏至は、日本においては1年のなかで昼間(日の出から日の入りまでの時間)が最も長くなる日のことをいい。
「日長きこと至る(きわまる)」という意味もあるという。
 夏至の日は太陽が1年を通してもっとも高い位置を通るため、夏至を境として徐々に日が短くなっていく。
 緯度の関係で日本国内でも北の方がより日が長くなる。
 今年、2024年の夏至である今日6月21日の東京と札幌の日の出・日の入りの時間を見ると、札幌の方が約1時間も日が長い。
 北へ行けば行くほど太陽が沈まなくなる。
 夏至の日付は太陽が夏至点を通過する日なので経度によって異なるが、緯度が高ければ高いほど沈まぬ太陽を感じるのだ。
 スウェーデンの夏至の時期は白夜となるところも多く、夏至祭は真夜中から朝まで続くという。
 スウェーデンのほかにもフィンランドやノルウェー、デンマークなど北欧の国を中心に夏至の行事が行われている。
 北海道の当別町でも夏至祭を催すそうだ。
「白夜」という言葉の響きも美しく魅力的だが、何よりも天体の不思議な動きに対して「祭り」を行う事が、神秘的でいい。
 謎に包まれていることは、素敵なことなのだ。いや、謎に包まれているから、妄想が膨らんで楽しいのだ。
 どっかの岩の間からその日だけ入って来る太陽の光に照らし出される仏像とか、ストーンヘンジの岩から昇り来る朝日とか、(5000年も前の人がどうやってその日を知ったの?どうやってあの石を組んだの?)もう、妄想で心拍数が上がる。
 太陽が神様だったのだ。
 その太陽が沈まない日が夏至である。
 孫の誕生日はなかなかの日である。

 夏至の日生まれの孫にどんなプレゼントを贈ろうか考えた。
 まず、夏至に何を食べるか?
 これは特に決まっていないようだ。
「冬至に南瓜」なんてあるので、その食べ物を夏至の話と一緒に贈ろうかと考えたが全国的なことはなかった。
 関西では夏至から11日目にあたる「半夏生」にタコを食べる風習がある。
 厚洋さんはその事を教えながら、真愛にたこ料理を作らせた。
(簡単な味付けタコが好きだったので楽だっ 
 た。歯が良かった頃は、イカよりタコ派なの
 で夏ではなくても好んで食べた。)
 昔、この時期は田植えの時期で、半夏生は田植えを終わらせる目安とされていて、田植えを終わらせた半夏生の日に「タコの8本の足のに稲が八方に根を張るように。」と豊作を祈願しタコを食したことが由来。
 半夏生のタコは分かるが夏至の食べ物が分からなかったが、「冬瓜」を食べる地方もあるという。
「冬至で南瓜」「夏至で冬瓜」では、落語の落ちみたいで笑えるが、誕生日プレゼントとしてはちょっと…。
  今日は孫の誕生日。
 夏至です。
 太陽を見上げてごらんなさい。
 一年で一番高いところにあるのです。
 眩しいですね。(直接見ちゃダメ)
 その眼で 足元を見てごらんなさい。
 くっきりと黒い影が見えるでしょ
 影はあなたで あなたではありません。
 同じ動きをするのに
 心がある様に見えるのに
 長くなったり短くなったり
 濃くなったり薄くなったり
 
 あなたがいて影ができます
 太陽があって影ができます。
 影が一番短くなる日
 あなたの誕生日
 夏至!
 あなたにとっての太陽とは?

 なんてかっこいい文章を送ろうと思ったら
 2024/06/21
 今日は、朝から雨です。
 夏至の日の太陽は、この雨雲の上でした。

 真愛ばあちゃんが元気で生きていたら、
いつか、「夏至の日の誕生日」不思議な朝日が見られる場所に一緒に立っていたいものです。

夏至の日生まれ

 
 
 
         

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります