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冬至当日

 冷たい雨がベッドから出る気を無くさせる。
 冷めてきた湯たんぽを抱きしめて、
「あゝ。今朝も目覚めちゃった。
 まだ、生かされてるんだから、起きて
 何か、しなくちゃあーいけない。」
と自分に言い聞かせるように声を出す。

 昨日は、厚洋さんの教え子Mちゃんの美容室に行った。
 久々に髪の手入れが出来たので何だか興奮したのだろうか。
 久々に厚洋さんの話を人と話したので嬉しかったのだろうか。
 我が家のお風呂にどっぷり浸かりのぼせるほど入った結果だろうか。
 のぼせ解消のために久々にボケトークで英語の発音練習をしたからだろうか。
 要するに「寝られなくなった!」
 うつらうつらしながら、布団の中で寝返りを繰り返し、「睡眠」というBGMを2回も聞いた。
 眠りに落ちたのは2時半を過ぎていた。
 そんな時考えるのは、決まって、
(今日は、いい日だった。
 今日までずっと幸せだった。
 このまま、死んでも思い残すことはない。
 最期の願いは、
 お迎えには厚洋さんが来て、あの手を
 差し伸べて、あの腕の中に抱き抱えられる
 のであれば、逝ってもいい。
 しかし、厚洋さんとの約束半ばで、
 「まだ、終わってないだろう?」
 と言われるのは嫌だな。
 まっ!そう思うなら、
 明日の朝も目覚めさせるだろうな。)
なんて考えながら、覚醒を繰り返す。
 だから、起き上がる時の掛け声が
「よっしゃー!
 頑張るしかないか?」
になるのだ。

ウインドブレーカーで

 10時05分起床。
 ところが、起きた時の部屋の気温がエアコンをつけているのに12度。
 昨夜の天気予報では、「日本海側は雪になるが関東南部は暖かくなる」はずだった、が冷たい雨が降っているのでそう感じるのか、「冬至当日」だからそう思わせるのか。
「寒い!」
 階下へ降りて行くと、一晩で溜まった冷気の海に入るようだった。
 一階の温度“6°!”
 いやいや、我が家の最低室温は、4度!になったこともある。
 建ててから結構な年になった家は、いろいろな所から隙間風が入る。
 エアコンのオネェさんが言うことにゃ
「お部屋の温度16度。外の温度0度。」なんて言うことがザラにあるので、その0度の隙間風が入って来るので暖まらない。
 お日様も雲の後ろで出ていない。
 仕方がないので下の部屋にもエアコンをつけた。
 いつもの作業をする。
 口濯ぎ・うがい・水飲み。
「寒い!」
 部屋のモップ掛け、ゴロゴロを使って掃除。
 お仏壇の御水を取り替えて般若心経をあげる
「チーーンー〜〜。」
が長い。(金属が冷えているから密度が高くなって長くなるのかな?)なんて思いながら
「寒いね。
 今日は閉めるね。」
厚洋さんにもお籠りをしてもらう。
 最近は、厚洋さんの陰膳を作って、それを下げて真愛の朝食にし、お日様の当たる厚洋さんの部屋で食べる習慣を作っていたが、
「寒い!」
のでやめた。
 人も動物であると言うことがよく分かった。 
 暑かったり、寒かったりと活動に向いていない時は「じっと動かない。」要するに体力を消耗させないのだ。
 ところが、世の中の多くの方がそのストレスの中、己の体に鞭打って、心を偽って、
「働きに出掛けるのだ。」
「偉い!
 働いている人は偉い!
 動いている人は偉い!」
 真愛は、最低限どの薬を飲むという動きをして止まった。

厚手のカーテンも閉めたまま

 炬燵に入り、エアコンをつけて、ストーブまでつけ、挙げ句の果てに「ウインドブレーカー」まで着て
「冬至の当日」を迎えた。
 午後からは晴れるらしい。
 今日は柚子湯で、カボチャを食べる。
 厚洋さんとずっと続けてきた年中行事なので、やらないことには何だか気が済まない。
 柚子も南瓜も用意はしてある。
 このまま一日中動かなくても良いのだが…。

温泉でも柚子湯


【山梨県厚生連絡】のコラムに次のように記されていた。
 柚子湯は冬至の日に行う禊(みそぎ)の風習
 冬至に柚子湯に入るのは、運を呼び込む前に体を清めるという意味があるそうだ。
 冬が旬の柚子は香りも強く、強い香りには邪気がおこらないという考えがある。
 そうだ。5月菖蒲湯もそうだね。
 柚子は実るまでに長い年月がかかるので、長年の苦労が実りますようにとの願いも込められているという。
 おドジな真愛は、二年前その柚子の棘を踏み抜いて大怪我をした。そんなことも忘れる年になったか!
 
 柚子湯には血行を促進して冷え性を緩和したり、体を温めて風邪を予防する効果があり、更に果皮に含まれるクエン酸やビタミンCによる美肌効果、芳香によるリラックス効果もある。 
 元気に冬を越すために大いに役立つというのだ。
 真愛のようなデレデレさんには、ガッツリ柚子湯で血行促進をしないとっていうことなのだ。

 冬至は、1年で最も昼が短い日で、今年は今日だ。
「12月22日・冬至当日」
 太陽の力が一番弱まる日であり、この日を境に再び力が甦ってくることから、太陽が生まれ変わる日と考える。
 弱まった太陽さえもでないのだから
「寒い!」
 古くから世界各地で冬至の祝祭が盛大に行われ、冬至は別名「一陽来復(いちようらいふく)」とも言い、長く寒い冬が去って、恵みの春がやってくることを願ったと言われたそうだ。
「確かに寒い!」
 しかし、日本はこれから「小寒・大寒」がやって来る。

 冬至の日に「ん」の付くものを食べると運がつく(運盛り)と言われていて、冬至の七種(とうじのななくさ)と呼ばれるものがあるそうだ。
 知らなかった!
 
●南瓜(なんきん)=かぼちゃ
●蓮根(れんこん)
●人参(にんじん)
●銀杏(ぎんなん)
●金柑(きんかん)
●寒天(かんてん)
●饂飩(うんどん)=うどん
 
 中でもかぼちゃは漢字で「南」という字がつき、陰(北)から陽(南)に向かうことを意味するため、縁起の良い食べ物。
 昔は冬に緑黄色野菜が採れなかったため、夏や秋に採れた緑黄色野菜で漬物や干し野菜を作り保存していた。
 かぼちゃは栄養が不足しがちな冬にそのまま保存できる貴重な野菜として食べられていたことから、冬至にかぼちゃを食べる風習が生まれたという。
 夏の土用に「う」のつく食べ物を食べるのと同じだ。
 大発見!
 蕎麦よりうどん派の厚洋さんが、
「饂飩は万能。
 カレーうどんは、何でも治す!」
っていうのもまんざら嘘ではなさそうだ。
 さて、漸く部屋も暖かくなったので、着替えて珈琲屋さんに行くとするか。

真愛の冬至

 このnoteを本日中にお読みの方。
 カボチャ饂飩…ホウトウかな?を食べて柚子湯に入ることが出来ていたら、来る年も良い年になりますよ。
 きっとね❗️

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります