似たもの夫婦・婦唱夫随
我が家は「亭主の好きな赤烏帽子」だと思っていた。
烏帽子は黒塗りが普通だが亭主が赤い烏帽子を好めば妻も同じように変わったものでも好きになる意味だと思っていた。
しかし、本来の意味は、亭主が好きならば、家族はそれに同調しなければならないと言う意味から、「一家の主人の言うことには従わなければならないということの例え」だと言う。
この歳になるまで、気づかずにいた。・
私の「亭主が好きなことは、一緒に生活していると似てきてしまうの例え」だと思っていたことは、『似たもの夫婦』だった。
夫婦になる男女は趣味や性格が似ていることが多いということ。また、最初はそれほど似ていなくとも、長く生活を共にしていくうちにお互い影響し合って、考え方や好みが似てくる場合もあるということ。
これだ!
私は掃除が好きだ。
毎朝のルーティンで、起きたらお掃除をする。料理も洗顔も薬を飲むのもその後だ。
綺麗にすると気持ちがいい。
ニャンコと二人暮らしなのに、小さな砂粒(埃?)ニャンコの毛が髪モップに付いてくる。最近は、掃除の前にチャーちゃんのブラッシングをすることにした。寝起きのニャンコに直ぐご飯を食べさせるより健康的であり、掃除の手順としてもいい。私が綺麗好きだったわけではなく、厚洋さんに育てられたからだと思う。
結婚した頃は、団地住まいだったので、細々した掃除をした。
「掃除終わった!」と言うと、人差し指でスリッパ立ての台をスーッと触って「まだ!」と言われた事がある。
「えっ?男の癖に…。」と呆れたが、負けず嫌いな真愛は、2度とそんな事は言わせないほどの掃除をした。
彼も「掃除しろ!」と言ったことはない。(息子の部屋は別)
広いフローリングの部屋になってから、掃除も楽になり毎日出来たし、寝る前のモップは、片付けも含めて、気持ちの良い朝を迎える準備となった。
そして、真愛の趣味が増えた。
「スリッパを買う事が好きになった。」
退職してからは、家で過ごす事も増えたので2ヶ月に1回は、スリッパを購入した。
少し汚れたり、シワがついたりするのが嫌だった。
「また、買って来たのか?誰が履く?猫が履くか?」と笑われたし、彼は
「俺はこれで良い。履きやすいから!」
と、取り替えてくれなかった。
いつもお揃いの猫のスリッパなので、
「二人で同じ物 履きたいの!」
と言いい、真愛が我慢して古い物を履いた。
しかし、二人だけになった頃から
「スリッパ買うのが趣味か?」
って笑われた時。素直に
「うん。趣味。外でペアルックは出来ないけ
ど、お揃いのもの使うの好き。
家の中ぐらいいいじゃない。」
と言えた。それからは、
「スリッパ、そろそろ新しくする?」
と言うようになった。
マグカップもお皿もお茶碗もみんなニャンコのついたお揃いの物になった。新婚の時よりお揃いを買ってくれた。
一緒に生活していると似てくるのだ。
同じ物を食べ、同じTV番組を見て、同じ本・同じ新聞を読み、同じ庭を歩き、同じ部屋で寝て、同じ空気を吸っているのだから似てくるのかもしれない。
今日も新しいスリッパを買った。
前のはまだ1ヶ月も履いてないが買った。黒猫の畳敷のものだ。
「俺のは?」と言われそうだが、最近は節約のために真愛の分だけにしか買わない。
そう言えば、彼は、
「ウチはフショウフズイだ。夫唱婦随じゃなく
て、夫が婦の言ったことに従ってるんだよ。
婦唱夫随!」
と、後輩に言っていた。
真愛が似たのに!
厚洋さんが合わせてくれたの?
ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります