御酉様
今年は、11月9日が一の酉。21日が二の酉で、三の酉は無い。
「三の酉がある時は火事が多い」と母に言われた事を思い出す。三の酉がある年は活気がありすぎて火事が多いのだそうだ。
今年、あちらに逝った従兄ちゃんは、御酉様になると、小岩の善養寺様のご縁日に立った。御神輿を担ぐ事も大好きだったお従兄ちゃんは、無口な厚洋さんとも気が合った。
厚洋さんが古き日本文化が好きだったからだ。
北海道出身の厚洋さんは、故郷の歴史が浅い事が寂しかった様だ。
真愛の母の菩提寺が永代にあり、深川で育った事も魅力だった様だ。
夏になるとわざわざ母の墓参りに行き、深川不動様のお祭り・水掛祭りを楽しんだ。
神田祭も見に行った。
だから、お従兄ちゃんが御神輿を担げることが羨ましくもあったのだ。
「今年も、御酉様で売り子をやるんだ。」
と聞き、
「行きたい!」
と言っていたが、厚洋さんも真愛も仕事をしていたので、我が街の神社でやる御酉様で「熊手」を買って我慢をした。
大きなものは買えないが、可愛い熊手を買ってくれる。真愛は、彼と一緒に買いに行くだけで嬉しかった。
「酉の市」は、関東を中心に開催される。
毎年11月の酉の日に、鳥の名前に因んだ関東の寺社で開催され、縁起物の熊手などを売る露店や、祭りならではの屋台や飲食店が立ち並び、賑わいを見せる。酉の市の名物である熊手が売れた後の三本締めは、祭りにより一層の活気を与えてくれる。
小さな「熊手」を買っても手締めをしてくれることが、嬉しくもあり恥ずかしくもあった。
「来年はもう一回り大きいものを!」と思う事も良かった事だと思う。
起源として、神道と仏教で異なる説を唱えている。
仏教では、1235年11月の酉の日に、日蓮が空を駆ける鷲妙見大菩薩を見たのが起源。
金星が光り輝く空を鷲の背に乗って駆ける大菩薩を見て、それ以来酉の日をお祝いするようになったという。
神道では、日本武尊が11月の酉の日に、埼玉県久喜市にある鷲宮神社に東夷遠征のお礼参りをしたことがきっかけだと言われている。
遠征に先立って戦勝祈願を行った日本武尊は、無事勝利を挙げたあと、熊手を持って神社にお礼をしたそうだ。
以来11月の酉の日に、お祭りを開催するようになったそうである。
時を経て、酉の市は行く年の無事を感謝し、来る年の開運招福・商売繁盛を願うお祭りとして毎年11月の酉の日に開催されている。
厚洋さんが亡くなって、彼を飲み屋さんに迎えに行くこともなくなり、夜外に出なくなってしまった。だから、3年前から酉の市にも行かなくなった。
しかし、去年、国際交流協会事務所の入り口の掲示物に「お正月の準備」と称して、御酉様の熊手を手作りして「日本文化」を知らせた。
↑手作りの熊手。
↑12月の掲示物。
左上に熊手が貼ってある。
これを作りながら、厚洋さんとお従兄ちゃんとの「御酉様話」も思い出し懐かしかった。
そのお従兄ちゃんは、今年の8月に厚洋さんのところに逝ってしまった。
今頃、2人で静かにお酒を飲みながら、真愛の話をしてくれているのかな?
コロナ禍も少しだけ落ち着いて来た。
今日の感染者は9人だという。第六波が来なければ良いのだけれど、まだまだ不安が残るので、お従兄ちゃんの所に行っていない。姉さんにLINEで連絡は取っているが、小岩の善養寺様にも行きたいものだ。
一の酉の日にこの話をネタに姉さんと話をしたいと思っている。
ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります