見出し画像

土用の丑

 なんとも「神頼み」や「言い伝え」を頼りにしてしまう今日この頃である。
 コロナ禍で「ウィルス対策」「拡大防止」「免疫力UP」人から良いと効くとなんでも試してしまう。
 真愛と同じような人が世の中には沢山いる。 
「アマビエの画像は、7080000件閲覧」されているし、グッズも高値で売れている。
 
 真愛も宝くじに当たるように「縁起財布」を買った事がある。
 それを見た厚洋さんが
「財布分を貯金した方がお金持ちになるね。」
と言っていた。
 しかし、其れからは厚洋さんも「黄色い財布」を持つようになった。追求しては悪いと思い黙っていたが「風水財布」なんて気にしている厚洋さんが面白かったし可愛かった。
 
 占いや言い伝えを信じる真愛を馬鹿にしていた厚洋さんも、真愛に合わせてくれたのか「季節の行事や言い伝え」は必ず実行した。
 彼に言わせれば、「日本文化の伝承」だったのだ。
 七月の七夕が終わると「土用の丑」の日だ。
 お馴染みの鰻屋さんに行って「うな重」を頼むのだ。
 毎日のように飲みに行って、「ウナギ」を食べているのに、必ず言う
「今日は、うな重を食べよう。」
と言った。
 自分はご飯抜きの「蒲焼だけ」。

 今日は、やや早いが、K君に頼んで厚洋さんの代わりをしてもらった。
 真愛の恥ずかしがり屋な所は、人前で話すことではなく「一人で食事に行けない」のだ。
 何処にでも、必ず厚洋さんと行っていたので旦那代行を頼んだ。
(友達や教え子と一緒なら食事にいける。
 厚洋さんが亡くなって「一人で入らなくち
 ゃ」と思うようになり以前よりは行けるよう
 になった。)

 鰻を食べながら考えた。
 これから先、厚洋さんと一緒にやった季節の行事のたびに代行を頼むわけにはいかない。
 週に一度はなんだかんだイベントをしていたのだ。
 それも我が家だけのイベントだ。
 俵万智さんの「サラダ記念日」みたいのものだ。
・山開きの日
・海開きの日
・夏休み入った日
・スイカが実った日
・メロンが実った日
・トマトができた日
・朝顔が咲いた日 
 
 毎日が記念日だった。
 だから、真愛にとって厚洋さんの代わりは作れない!
 彼が亡くなって673日。 
 真愛と一緒に鰻を食べながら、 
 雑学博士の厚洋さんは、
「土用の丑の日は、《う》のつく食べ物を食す 
 と元気で過ごせると言われていたそうだ。  
 江戸時代、食文化が豊かになり、平賀源内さ
 んが、鰻屋のために「土用の丑の日は鰻を食 
 べるといい」と言った事から広まったんだ
 よね。だから、うどんでもいいんだ。
 ね?オヤジさん?」 
と、鰻屋さんに言うのを見てハラハラしたのを思い出す。  
 早めに鰻を食べてしまったので、
明日は《う》のつく食べ物を一人で頂きます。

うなぎ、
うどん、
ウィンナー、
ウグイ(川魚)、
うぐいす豆、
烏骨鶏、
うずら、
うずらの卵、
うずら豆、
うど、
ウニ、
梅(梅干し、梅漬け、梅醤)、
うるめいわし、
ウマズラハギ、
瓜、
海ぶどう、
うしお汁、
牛(牛肉)、
馬(馬肉・桜肉)

ういろう、
ウエハース、
うぐいす餡、
うぐいす餅、
温州ミカン、
うなぎパイ、
薄皮饅頭、
宇治金時

 真愛は、「カレーうどん」と「薄皮饅頭」を頂きます。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります