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1031日 お盆の入りだからだろうか。

 厚洋さんが逝ってから、1031日。
 東京のお盆さん」と母が言っていた。
 7月13日。お盆の入りの日であった。
 正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」。
 旧暦の7月15日を中心に行われる先祖供養の儀式のこと。
 先祖の霊があの世から戻ってきて、また天に帰っていくという日本古来の信仰と仏教の行事とが結びついた行事だ。
 お釈迦様の弟子であった目連が、師の教えによって、僧侶に食べ物を施し供養することで、死んで地獄に落ちた母を救ったという言い伝えによるものだそうだ。
 地獄に落ちて苦しんでいる霊を救うために供養なので、真愛の知っている人はみんな素晴らしい人だったので、「地獄にはいない。」だから、しなくても良いかな?
 ところがそういう考えでは無いのだ。
 昔、ハロウィンとお盆の違いを調べ、イギリス人のALTに子供達がプレゼンした事がある。
 その時に我が国のお盆の精霊棚に「無縁仏」も供養する場所があることを知り、日本人の広い心に驚いたものだ。
 同じ霊についても、国によって考え方の違いが大きい。
 伝統的には旧暦の7月15日に当たる中元節の日に行われていたが、現在は地域によって異なっている「盂蘭盆」である。
 8月15日(月遅れの盆)を中心として行うところが多いが、東京など関東圏の一部では7月15日を中心に行われるので、「東京のお盆さん」なのである。
 いつもならお供物を購入するのだが、今年は術後間もないので外出せず、買い置きの材料で作る事にした。
 十勝の小豆を煮て餡にした。
 上新粉を蒸してお餅を作った。

 作りながら、厚洋さんが逝ってから、今日が、1031日目の素数日であることを思い出した。
 それが引き金になったのだろうか、1031日の間に亡くなった人達のことを次々に思い出した。
 一番先に、先月亡くなった美樹ちゃんのお父さんの事。
(美樹ちゃんは、厚洋さんの教え子で美容師・彼が亡くなってからずっと真愛を支えてくれている方。介護が大変なのにも関わらず、何時も笑顔で真愛を励ましてくれた人のお父さんなのに。)
 お父さんが亡くなった後の不思議な出来事を聞き、noteに書いて伝えたかったのに、なかなか思いが整理できず書けないでいる。

 2番目に思い出したのが、昨日聞いた教え子の事。
 術後間もなく、シャンプーが出来ないので、美容院に行って洗ってもらうのだが、車の運転も不安で美樹ちゃんの所までは運転できない。そこで、教え子さんのお母さんがやっている美容院に行った。
 懐かしい話も悲しい話もしてしまう。
 真愛の家のガスの検針に来てくれるのは、真愛が6年で教えたアッコちゃんのお母さんだ。
 アッコちゃんは元気で明るい「合唱大好きな女の子」卒業式に抱き合って写真を撮っている。
 真愛の着物の着付けをしてくれたのが、この美容院のお母さんだ。
 アッコちゃんは、交通事故で突然に逝ってしまった。成人式を済ませたばかりだったのに…。
   自分よりも先に逝かれてしまう悔しさは例えようも無かった。
 葬儀であった教え子達に
「何があっても、死んではならない。
 私より先に逝ってはならない。」
と言った記憶がある。
 厚洋さんも同じように思っていた。厚洋さんが教え子さんを亡くしたのは、真愛と結婚して間もない頃だった。
 バイク事故だった。
 たっちゃんは、16歳だった。
 真愛が教育実習に入ったクラスの子。厚洋さんが体育の学習の前にたっちゃんと一緒にふざけ合っているのを見て、「良い先生かも?」と思えた。厚洋さんが、たっちゃん達を担任している時にお付き合いをしていたので、よく彼等の話で盛り上がった。
 もちろん。「たっちゃんが貴方のイメージを変えた。」ことをちゃんと話した。だから、彼を見ているのも切なかった。
「自分より先に逝かれる事は耐え難い。
      そんな社会にはしたくない。」

 しかし、歳をとって来ると教え子を突然に亡くす。
 厚洋さんが初任の時の教え子さん節ちゃん。
 彼女は、真愛達の結婚式にも来てくれた。美樹ちゃんの所に行くまでは、節ちゃんが真愛の髪をケアしてくれた。家庭の話・恋の話・学校の話なんでも話し合い、「マコ姉ちゃん」と呼んでくれた。
 バツイチだった節ちゃんが、
「先生。私、結婚しても良いかな?」
と、結婚を申し込まれたことを伝えられ、
「素敵!まだまだ若い。女はいつも
 恋をしなくちゃ。偉いぞ!やったね❣️」
と盛り上がった2週間後に…。
 厚洋さんは彼女の葬儀で、弔辞を読んだ。
 浴びる様にお酒を飲んでいた厚洋さんを思い出す。

 昨日、帰り際にアッコちゃんと同級生のY君が亡くなったことを聞いた。
 自らの命を絶ったと伝えられた。
 坊主頭の可愛い子だったY君しか思い出せない。メロン作りの上手なお父さんの後を継ぐと思っていたが、何年も前にメロンを作らなくなった事は風の便りで聞いた。
 何があったのか。
 何を悩んでいたのか。
 聞き返す事ができなかった。彼が亡くなっていたのに、何も知らずにいた自分が情けなかった。
 全ての教え子の消息を知る事ができたとしても、何もしてあげられなかった自分がいる。
 出来上がったお団子を備えて

 そちらに、教え子も逝っている様です。
 今、元気で頑張っている貴方の教え子も真愛の教え子もみんな守ってください。
 真愛は、何もできなくなりました。
 祈ることしか出来なくなりました。

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります