700日 愛してる
8月16日。三回忌を1ヶ月前にした命日に、亡くなってから700日がたった。
不思議な数の因縁を感じた。
数学嫌いな真愛が、ちょっとだけ数学が面白いと思ったのは、小川洋子さんの「博士の愛した数式」を読んでからだ。
小学校から引き算が苦手。七の段が覚えられない。割り算も嫌い。
更に中学校からの数学は大嫌い。
中1の数学の先生が嫌いだったからかも知れない。教頭先生だったと思うが、その頃では珍しい「蝶ネクタイ」(今でも珍しいかも)をしている人だった。坊ちゃんの赤シャツみたい?
そんなだから、高校1年の1学期、見事に赤点をとった。物理も…。
短大では、赤点の大変さを経験したので、少しは復習した。でなんとか「可」で誤魔化せた。
小学校の先生になって驚いた。
教師用指導者って言うのには、「赤刷り」と言って答えが載っていた。答えを出すより指導する事が大切だったのだ。
真愛の教え方は上手かったと思う。
なんだって、自分が苦労しているから、
・何処がわからなくなるか。
・嫌いになるか。
の原因が分かる。そこを教えれば良い。
更に、算数が得意な子に手伝って貰うから、得意な子は自尊心を擽られどんどん賢くなる。
苦手な子には
「算数ができなくても死にはしない。」
なんて豪語していたので仲良くなる。
アホな真愛は、子どもと仲良くなった。
国語教育に力を注いだ厚洋さんが、研究主任として「算数教育」に取り組んだ事がある。
不思議な事に数の魅力を話されると、簡単に算数が好きになった。真愛の勤務校でも研修教科が算数。
「赤刷り」の指導法よりも数学的思考の楽しさを教えられる様になった。
そんな頃だったと思う。
小川洋子さんの「博士な愛した数式」に出会った。
何時もなら、新刊本を買ってきて
「いいぞー。読んでみ!」
と、厚洋さんに言われてから読むのだが、その時は真愛が言った。
「ねぇ。凄く面白い。数学が好きになるよ。」
厚洋さんは、むくれて暫く読まなかった。先を越されて悔しかったのだろう。
数の面白さ。
・靴のサイズは24です。
ほお、実に潔い数字だ。4の階乗だ。
・電話番号は、576-1455
素晴らしい。一億までの間に存在する素数の
個数に等しい。
・誕生日は2月20日。
それは凄い❗️僕は学長賞で時計を貰ったその
No.が284だ。
220の約数の和は、284。
284の約数の和は、220。友愛数だ。
フェルマーだって、デカルトだって、一組し
か見つけられなかった。
君の誕生日と僕の手首に刻まれた数字が
これほど見事なチェーンで繋がり合っている
なんて!
(こんな事言われたら運命の出会いだと思って
しまう。)
他にも沢山の数学が文学であると思う表現が山ほど出てくる作品だった。
真愛は、恋愛小説を読んでいるような気がした。(その後、映画化されるが…。)
映画化される頃になって、厚洋さんは自分で同じ本を買って読んだ。(やっぱり悔しかったのだ。意地っ張りの厚洋さんだ。)
その後「ナンプレ」が流行り始め、退職してからは、真愛は、「数独」。厚洋さんは、「漢字クロスワード」にはまった。
厚洋さんが亡くなってから、真愛は、数が好きになった。数に運命を感じるようになった。
7 初七日、お七夜、七五三、素数。
7✖️7=49日 百か日、卒哭気忌
真愛の誕生日は、13日。その倍が
厚洋さんの誕生日16日。
また、真愛は、四柱推命の命数に運命を見る様になった。
厚洋さんの命数も真愛の命数も20。
真愛は、厚洋さんを守るために生きてきた。
でも、厚洋さんが真愛を守り、自由に伸びやかに育ててくれた。
真愛の車のナンバーは、彼の大学時代の学生証のナンバー。
語らう事ができなくなった真愛が、変な思い込みで、数を使って厚洋さんと繋がっていたいと思っての事だ。
今日は、厚洋さんが亡くなって700日。
初七日の100倍の日だ。
それもお盆の送り火の日。
厚洋さんの声がまた聞こえるかな?
ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります