片見月
長生きすると色んな事を知るものだ。雑学博士の厚洋さんに向かって偉そうに語ってしまう。
「ねぇ。知ってる?
お月見ってね。十五夜のお月見だけでは
不完全なんだそうよ。」
だいたいお月見「十五夜」は、中国の伝統文化「中秋節」が始まり。
中秋節は、中国では中華三大節の一つとして
春節(中国の旧正月)
清明節(里帰りやお墓参りをする)
と並ぶ節「祭日・祝い事・催し物」
日本の十五夜と同様、毎年の旧暦8月15日に行われる。
丸い満月は中国では団欒の象徴と考えられているため、この日は家族や親しい友人を招き、月を愛でながら食卓を囲んで団欒を楽しむそうだ。(ここまでは厚洋さんも毎年話してくれた。)
中秋節にはお月見をする以外にも、満月を象った「月餅」といわれるお菓子を食べたり、提灯やランタンに火を灯したりする風習があるそうだ。
最近見始めた中国ドラマ「上陽賦」のワンシーンで灯籠を流したり風船のように空に飛ばす美しい情景を見た。
本来、「十五夜」だけでは「片見月」といって不完全とされ、縁起が悪いとも言われる。
「十三夜」も祝ってこそ、「両見月」とされ、お月見を完遂したことになる。
「十三夜」は、歌にも出てくるので、真愛も厚洋さんも知っていたが、「片見月」という言葉を知らなかったと思う。
「十五夜」より「十三夜」の方が美しい感じがするのは、秋も深まり空気が澄んで冴え渡るからそう感じるのかもしれない。
「十三夜」は、(豆名月」「栗名月」と呼ばれ、13個のお団子と大豆や枝豆、栗をお供えするらしい。
中国から伝わった十五夜に対し、十三夜は日本由来の風習だといわれる。
「十五夜」は雨の日が多いが、「十三夜」は晴れの日が多いとのこと。
真愛は、今年の「十三夜)には、月餅を供えたいと思った。(ダイエット開始したのに?)
更に「十日夜」というのもあるそうで、東日本を中心にした収穫祭の行事で、旧暦10月10日の夜「十日夜」も祝うそうだ。
美しい月を愛でながら、日々の平穏を感謝するのなら、月が出ている夜は全て祝っても良いのかもしれない。
この3回お月見をすると縁起がいいとも言われている。
2022年の十三夜は10月8日の土曜日。
十日夜は旧暦10月10日の夜を指し、2022年の十日夜は11月3日。
東日本を中心に収穫祭がおこなわれ、地の神様に感謝の気持ちを表す催しである。
稲の収穫を祝って餅つきをしたり、稲の茎をたばねた「わらづと」や「わら鉄砲」で作物に悪さをするモグラを追い払ったり、田んぼを見守る「かかし」にお供えものをしたりと、地方によって内容はさまざまである。
西日本では旧暦10月の
「亥の子(いのこ)」という行事である。
十日夜は
「田の神さまが山に帰る日」
ともいわれ、この日までに稲刈りを終わらせないといけない。
ハロウィンも、thanks giving dayもこの時期である。農耕民族にとって実りの秋は、感謝すべき時期なのだ。
さて、母の墓所から毎年「お十夜法要」の連絡が来る。
あれ?これもおんなじ?と悩んだ。
母の墓所は永代にある正源寺さんだ。
よく調べてみると、
「お十夜」は、10月から11月にかけて浄土宗寺院で行われる秋の念仏行事。
「十夜法要」
「十夜講」
「十夜念仏」など色々な呼び方があるそうだ。
正式には「十日十夜法要」
もともとは旧暦の10月5日夜から15日の朝まで、十日十夜にわたってお念仏をとなえる法要だったそうで、浄土宗が最も大切にするお念仏をとなえる行事として、全国の浄土宗寺院で行われている。
という事で、生源寺さんも、毎年10月末にコロナ感染症対策をとって、久々にリモートではなく十夜法要をするそうだ。
月影や 外は十夜の 人通り -正岡子規
十夜法要は阿弥陀さまに感謝の気持ちを伝える法要でもあることから、秋の収穫に感謝する意味で、仏前に新米や、新米で作ったおはぎ、小豆飯(赤飯)などを供える。
やはり「感謝祭」なのだ。
お粥のことを「おじや」と言いますが、
一説によると、「おじゅうや」が訛って
「おじや」になったのではないかとも言われているそうだ。
お十夜には、ご本尊にお供えした小豆飯を粥にした十夜粥を参拝者に振る舞う習慣もあるそうだ。
だから、「両見月」の月にするために10月8日に見る月は、「十三夜じゅうさんや」で、
3回目のお月様。11月3日に見る月は、
「十日夜とうかんや」なのである。
浄土宗の法要は「お十夜 おじゅうや」である。
ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります