食い縛る
「舌は自然と上顎に付く!」
どうですか?
「貴方の舌は、軽く上顎についてますか?」
真愛は、まだ上顎についているが、だいぶ食い縛っているようで、奥歯の跡が頬の内側や下の端に出来ていた。
ストレスで食い縛っているのだ。
何が原因か分からないが、84歳のボランティアさんにシカトされている。
「おはようございます。」と声をかけても無視である。以前、小学校勤務の時にされたイジメによく似ている。
原因は分からないと書いたが、その時の状態によく似ているのだ。
若い真愛は、結構頑張っていたので、子どもにも親にも評判が良かった。
また、前任校が保健体育の全国研究大会開催校であり公開授業展開でなかなか好評だったため、東日本女子体育大会に千葉県代表として参加。
そんなこんなは、上司にも可愛がられたし、男性職員とも元気に仲良くふざけ合っていた。
更に、わがままな性格の真愛は絶対の「イジメ」対象になったのだ。
年上のおばさま先生である。
「でしゃばり。」「色気を振り撒いて!」
「旦那は、いい歳なのに管理職にもなれない
あれは、女房がいけないね。」
真愛の悪口ならまだ良いが、厚洋さんのことまで言われた。
心配してくれる厚洋さんに話せるわけもなく、只管黙って泣くしかなかった。
(夜中に泣き出したり、魘されたり、歯軋りを
していたので、心配し続けたと後で聞いた)
しかし、「イジメ」はその首謀者が居なくなるとその集団は崩壊する。
虐められていたものがのさばる。
きっと、真愛もそう見えていたのだと思う。
小さい頃から、貧しさ、片親、皮膚病なんていじめられ要因を持っていた真愛は、虐められ慣れてはいたが、子どものイジメより大人のいじめの方が陰湿な気がした。
しかし、虐められた教師は子どものいじめに敏感で、早期発見が出来る。それは教師として嬉しいことであり、どの学校でも好かれる教師だった気がする。
それは、陰口や根も葉もない噂話を流される格好の原因だった。
真愛の口の中は、小さい頃から食い縛り状態だった。
退職してから、それは少しずつ緩和されていたのだが、ここ最近「食い縛ってるな!」と感じる。
「食い縛り」とは、強い力で歯と歯を噛み締めること。睡眠中の歯軋りも食い縛りの一種。
強い力で食い縛ると歯が欠けたり、ヒビが入ったりして、知覚過敏・歯周病・歯肉炎などになる。また、あごに負担が掛かるため顎関節症の原因になる。(真愛は、結構な回数で耳鼻咽喉科に行って顎を入れ直してもらっていた。)
また、噛む時に使う咀嚼筋は頭や首の筋肉と連動しているため、食い縛りと連動して、頭痛・肩こり・腰痛・めまい・痺れ・倦怠感などの症状が現れる。
最近の真愛の倦怠感はここから来ているのかも…。
ボランティア活動が苦痛になって来ているのは、様々な要因があっての事だと自分で分かっているのに、「ボランティアをしたい。」思いで続けている。
どうしたものか、困ったもんだ。
「食い縛り」のセルフチェック
🔲上下の葉の中心がずれている。
鏡を見ながら「イー」と口を開いて、
上の歯と下の歯の真ん中が左右どちらか
にズレていないかな?
🔲上下の歯の接触面が削れて凸凹がない。
🔲歯の詰め物がよく外れる。
🔲下顎に梅干しのような凸凹のシワができる。
更に悪化すると、舌の両側に歯形が付いたり、顎の内側に瘤が出来たり、頬粘膜の上下の歯が合わさる位置に白い筋が入ったりする。
この「食い縛り」の原因は、ストレスだと思っていたのだが、「悪い姿勢」が最大の原因だそうだ。
体の重心が後ろに移動し、踵重心になると首の後ろの筋肉が緊張し下顎が後方へずれる。
すると、舌の位置が下がり、気道が狭まり呼吸が浅くなる。
息苦しさを感じると人は「歯を食い縛り」気道を広げて呼吸をしやすくするのだそうだ。
「食い縛り」のある人の多くが、脱力が非常に苦手なのだそうだ。要するに、「食いしばって頑張っているのだ」と思った。
力が抜けている時は、下は自然に上顎にベッタリと張り付いているのだ。
予防習慣として3つ!
🟢前歯を使って食べる。
食事の時に無意識に片方の奥歯だけで噛んで
しまう。
奥歯だけを使っていると顎周辺の筋肉は緊張
し、睡眠中の食い縛りに繋がる。
前歯を使う事で、顔全体の筋肉が動き奥歯で
の食い縛りを防ぐ事になる。
食べる時は、まず前歯で噛み少しずつ後ろ
の歯に送ること。
真愛のように一口で頬張るのではなく、
一口分の量を少なくすること。
🟢枕の高さを調整する。
天井に対して目線が直角になり、呼吸しやす
く、唾が飲み込み易くなる高さにする。
横向きの時は、鼻筋と床の面が平行になる
ようにする。
巻き肩の真愛はなかなか難しい調整である。
🟢爪先立ちをする。
爪先立ちで足の指を刺激すると体のバランス
が良くなり、正しい姿勢の保持や食い縛り
予防になる。朝晩15回ずつ!
「にゃんともはや。
食い縛りはやっぱりストレスですニャン。
嫌な思いをすれば、人は自ずと下を向き、
姿勢が悪くなるニゃ!
姿勢が悪く慣れば、食い縛りも起こるわ。
肩こりも出るわ。
あっちもこっちも痛くなる。
下手に胸なんか無理に張ったら、もっと顎
が緊張して食いしばっちゃうにゃん。
無視されても気にするなって…。
気になっちゃうにゃいか?
だから、こう思おう。
あのアンボランティア婆さん。
あんたが学習者さんから、楽しい先生って
言われたんで、ヤキモチ妬いてんだニャン。
だから、その学習者さん、無理矢理あんたの
ところに来ないようにさせたでしょ?
モテない婆さんの僻みだにゃぁ!
いいじゃん!モテるばあさんの方が…。」
小ちゃいにゃんこちゃんが木の上から、厚洋さんの代わりに解決策を言ってくれた。
それは、厚洋さんが言ってくれた事と全く同じだった。
まず、今の食い縛りから直そう。
そうしたら、もう少しスッキリするかもしれない。
さて、今から爪先立ちトレーニングをしましょうかね。
ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります