あの夜の孤独が誰かに届くのなら―"聖地巡礼行脚"セトリ投票ワンマン / ビレッジマンズストア―
こんにちは。
青井あるこです。
8月23日(金)に名古屋のCLUB UPSETで行われたビレッジマンズストアのワンマンライブに行ってきたので、感想を書きます。レポートではなくごく個人的なミーハーの感想であり、ビレッジのライブは楽しすぎて記憶吹っ飛び率が高いため、おかしなことを書いている可能性があります。ご注意ください。
セットリスト
黙らせないで
腐乱死体のブルーズ
ヒステリックパレード
セブン
墜落、若しくはラッキーストライク
欲望
ミラーボール
トラップ
ビレッジマンズ
UTAUTAU
SITTO in the sky
ビューティフルドリーマー
ビデオガール
逃げてくあの娘にゃ聴こえない
アディー・ハディー
正しい夜明け
変身
WENDY
PINK
サーチライト
Don't trust U20
セトリ投票ライブということで、チケットを取る時から分からない曲ばっかりだったらどうしようと思っていたし、事前に発表されたランキングでもほとんど曲名しか知らない曲ばかりで心配をしていたのだけれど、
友だちの「もう一回初めてビレッジのライブを観る感動を味わえるから良いじゃん~」という名言によって、一転して楽しみに。
始まってみてやっぱり知らない曲が多くて戸惑いつつも、ステージの上で全力で演奏をするメンバーと会場の熱気に気が付けば引き込まれていて、リズムを外そうがタイミングを間違えようが腕を振っていた。
「セブン」と「変身」が特に良かったな。「変身」のサビでギイさんが左手を突き上げて歌う姿が格好良かった。
荒金さんが今回の企画を機に、ビレッジの曲が全曲弾けるようになったっていうのも素敵。
個人的にはどんなジャンルのアーティストやグループでも、基本的にはオリジナルメンバーが最高だと思うタイプなのだけれど、後から加入したメンバーがいるからこその感動を知った。というか、セトリ決定から数週間で弾けるようになっているっていうのも、単純に凄い。
今回のライブで一番印象に残ったのは、「正しい夜明け」とその前のMCだった。
聴きたい曲をリクエストするという企画だったはずなのに、蓋を開けてみれば普段ライブでやらない曲ばかりがランクインしていたこと。そしてそれらの曲を作ったときのことを思い出したこと。
ギイさんのことばを一言一句覚えているわけではないから、間違っている部分があるかもしれないけれど、夜中。暗い部屋で。誰も聴かない曲を。ひとりで作っていた。メンバーが喜ぶかなって思いながら。というようなことを話していた。
個人的には私も小説やいろんな文章を、誰かに読んでほしいなって思いながら書いていて、でも外に出すと評価をもらえないどころか読んでさえもらえないってことがよくある。
夜中にひとりで何かを作る、誰かに届くかもわからないままで、っていう孤独感にはどこか身に覚えがあって。
だけどギイさんが例えば孤独感や口惜しさとかを感じながら作った曲たちが、今こうして多くのファンたちに「聴きたい!」とリクエストされるということは、そういう報われなかった思いの部分がちゃんと届いているんだなって思って胸が熱くなってちょっと泣きそうになった。
そして感情剥き出しで歌った「正しい夜明け」。
胸の奥を掴まれっぱなしで、ずっとビレッジマンズストアっていうバンドがいてくれて良かったなって思っていた。十五年という長い間、彼らがバンドを続けてくれていたから、私は彼らの曲やライブでのパフォーマンスに出会えたわけだから。
歌声の余りの迫力に鳥肌が立った。もともと好きな曲だったけれど、今回の演奏で今まで以上に自分のなかの深いところに突き刺さったような気がする。
ちょっとおセンチ気味な感想ばかりを書いてしまったけれど、我を忘れて叫んだり腕を振ったりヘドバンしたりと楽しかった。
今日は仕事で疲れてるし後ろの方でゆったり見よって思っても、いつの間にか前の方でワーッてなってるの、一体なんなんだろう。
それぐらいにビレッジマンズストアは観客を煽って巻き込むのが上手いというか。ギイさんが「かっこいいぜ」とか「楽しんでるのわかるよ」とか褒め(?)てくれるので、ホイホイとノせられてしまうというか…。
あと個人的にはアンコールでジャックさんが登場したときに、「ナイスパーマ!」って叫んでいたのがツボだった。ギイさんまたパーマ掛けたりしないかな~と思っていたところで、まさかのジャックさんかい!となったけれど、本当にナイスパーマ。
ビレッジマンズストアのライブは、少し駄目な自分さえ「正しい」のだと肯定してくれるような気がする。そうやって肯定してくれるからこそ、もっと格好良くなってやろうというパワーが湧いてくる。
とくに今回は、いつか抱えた孤独が形を変えて励ましとなって誰かに届くというその瞬間を目の当たりにしたようで、すごく勇気づけられた。
誰かに届いてほしいっていう強い想いを持って、届けようとすることを止めなければ、本当にいつか、誰かに届くかもしれないね。
ビレッジマンズストアを好きになってからまだ一年半ほどだし、ライブもそんなに多い回数を見たわけじゃないけれど、それでも彼らのライブや曲がたくさんのひとに届いてほしいと思う。
彼らの歌やパフォーマンスが持つジリジリとした焦燥感や孤独感には、背中を護ってもらっているような心強さを感じる。背中を預けるからこそ前だけ向いて歩いて行けるような。
きっとそういう心強さを求めているひとは、まだまだたくさんいるだろう。これからもそんな人々に届くように歌い続けてほしいと、心から思う。