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深夜の公園でバスケに没頭するオードリー若林さんと継続の仕組みが欠落する管楽器の演奏

若林さんは、エッセイ「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」の中で、サル山と資本主義の格差と分断から自由になる隠しコマンドは、"血の通った関係と没頭"であると綴った。

"血の通った関係"は、エッセイ「ナナメの夕暮れ」の結論『合う人に会う』にも通じており、若林さんの中で一貫して大切にしている価値観だ。

※『合う人に会う』についてはこちらをどうぞ「なぜオードリー若林さんに惹かれるのか

等身大

“没頭”については、”等身大”であることが通行証なのではないかと思っている。

カッコいいから、なりたい自分を目指すため、仕事に役立つから、といった不純な動機ではなく、"等身大"の自分がピュアに楽しめることだけが”没頭”に繋がるのだと思う。

若林さんの趣味の1つがバスケなのだが、深夜の公園で1人で練習しているらしい。3ポイントシュートを決めたい、という内なる声を聞いて始めたという。

人気MCとしては恐ろしく地味で夢もへったくれもない趣味なのだが、自分に嘘をつかず、”等身大”の自分として"没頭"できることを楽しんでいるところが若林さんらしい。

管楽器の演奏

さて、今回取り上げたいテーマは、若林さんの掲げる美しき”没頭”とは対象的な、カッコいいから始めた趣味の代表「管楽器の演奏」に関してだ。

シニア層も含め多くの人が色々な管楽器の演奏を楽しんでおり、僕自身も社会人になってから始めたサックスのビギナーを10年間やっている。

“等身大”からはほど遠く、「吹けたらカッコいいじゃん」という100%不純な動機で始めた。

今でもグループレッスンに通ってるのだが、この10年間で入れ替わり立ち代わり8人が辞めていった。

仕事が忙しくて通えない、金銭的制約、子供が生まれた、人間関係の悪化(僕絡みではない)などなど、辞める理由は様々なのだが、その根本としてそもそも管楽器の演奏というのは継続が難しいことが課題だと考えている。

趣味の継続に必要な要素

趣味を継続するには6つの要素が必要だと思っている。
1.爽快感が得られる
2.1人で楽しめる(いつでもできる)
3.自分の成長が可視化できる
4.友人と楽しめる
5.年齢に寄らない
6.健康にいい

趣味の王様であるランニングを見てみると、その満点具合が伺える。しかもお金が掛からないという+αまで備えており、いやホントKing of Hobbyだ

1.〇 走った後は無条件に気持ちいい
2.〇 いつでもどこでも走ることはできる
3.〇 タイムで自分の成長がばっちり測れる
4.〇 友人と大会に出た後に飲むビールは格別
5.〇 年相応のペースで楽しめる
6.〇 もちろん健康に良い

ゴルフは時間的拘束といったデメリットもあり若い人は始めたがらないが、6つの要素において総合点が高く、おじさんたちが永遠とゴルフ談義に花を咲かせるのも納得できる。

管楽器演奏の総合点の低さ

さて、問題の管楽器の演奏だが、見ての通り総合点が極めて低い

1.△ 上手くいかず悶々として終わることが多い
2.△ カラオケなどの防音施設が必要
3.× 定量化できず、自分の成長が測りづらい
4.× 気軽に友人と楽しめるわけではない
5.〇 年齢関係なく楽しめる
6.△ 取り立てて健康に良いわけではない

色々と趣味を当てはめてもらえれば分かるのだが、管楽器の演奏ほど総合点が低い趣味もそうそうない。

特に「1.爽快感が得られる」のポイントが低いことは致命的な問題だ。

上達の為には、難しいコードに挑戦していかなければならないのだが、当然最初はできずイライラしながら練習していく。得られるのは爽快感よりも悶々感だ。簡単で気持ちいい曲を吹けば良いのだが、上達しないというジレンマがある。

「3.自分の成長が可視化できる」に関しても悩みは深い。何となく少しずつ上達しているのは分かるが、日々その成長を可視化できるわけではない。

以前、ヤマハが管弦楽器演奏を評価して採点、ゲーム感覚で練習できる音楽アプリ『やろうぜ管カラ!』を展開していたらしいが、直ぐにクローズしてしまったようだ。

カラオケは採点機能があるので1人でも永遠と楽しめる形になっている。また管カラが展開されないものか、ヤマハには期待している。

若林さんに相談したら

僕自身もそんな壁にぶち当たっているが、とにかく絶対に辞めない、ということだけは決めており、レッスン以外に定期的な練習時間を取る、先生にプライベートでも教えてもらうことでモチベーションを保っている。

継続していくことでいつか辿り着ける先がある朧気ながら考えているのだ。明確に開けた未来が見ているわけではない。

この管楽器演奏の構造に関して、オールナイトニッポンで若林さんに相談したら何て言われるのだろうか。

「やったことないから、正直あまりピンと来ないんだよね〜。というかそもそもの動機が不純だからそう思うんじゃないの?」と、ばっさりいかれそうだ。

因みに、若林さんに吹いてもらいたい管楽器は、圧倒的にトランペットだ。

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