ALVARK MIP 2022-23 (from ALVARCARS) 決定
ZACK BARANSKI #10
まずは今回も長時間に及ぶ選定会議に参加してくださった皆様には感謝申し上げたい。
第2回(2018-19)以来の難しい選考だった今回、最終的にMIPを獲得したのが第2回と同じくザック・バランスキー選手だったのは単なる偶然では無いのかもしれない。
“彼は厳しい状況においてより真価を発揮する”その事が証明されたシーズンであった。
今や日本No.1ユーティリティプレイヤーの一人と言っても過言ではない。
彼の強みは何かと聞かれれば、私はこう答える。
「チームにウィークポイントが生まれるたびにザックが埋める」
今回の MIP選考会議のキーワードとなった『窮地を救った選手』の代表格であり、期待以上の働きをしてくれたと選考員全員からの高い評価を得た。
では具体的に今季どのような場面でザックの強みが出ていたのか、会議の中で出た意見を用いながら紹介していく。
[まとめ役としての進化]
今季のアルバルクは絶対的エースでありキャプテンの田中大貴が怪我により離脱するという窮地に陥った中、リーダーシップをとって来たのがザックやライアン・ロシターだった。ライアンに関しては宇都宮時代からリーダーとしての資質を存分に発揮していたが、これまでのザックはどちらかといえばサポート役に徹していたように思う。だが年齢を重ね、チーム内でも上から数える方が早い存在になってきた昨今、チームをまとめる側としてどう進化していくのかは楽しみのひとつであった。そんな最中に突然訪れたキャプテン代行のような役割をシーズン通して完璧にこなしたと感じる。これには藤永や平岩のようにベンチからも盛んに声を出す選手の役割や岡本のようなムードメーカーがいたことも大きい要因ではあるが、怪我人が絶えないストレスフルな状況の中でしっかりとチームをまとめ上げた。
[ディフェンスに定評のあるザック]
元々ディフェンスに定評のあるザックだが、今季もそれは健在であった。
これ以上失点は避けたい局面において、チームのターンオーバーが出たシーン、オフェンスがうまく遂行出来なかったシーンで相手の速攻を何度も止めてくれたのがザックだった。
バスケをやっていた人なら分かると思うが、"ファウルで止める"ということも非常に大事な行動の一つなのである。
[ヘルプディフェンスの妙]
アルバルカーズの中でもよく話題になるのが、ザックのヘルプディフェンスの旨さだ。本来マークマンではない相手選手への寄せのタイミングやポジション取りの距離感はまさに匠といえる。
[ミスマッチが起きにくい]
ザックは長らく4番ポジションとしてプレーしてきたため、屈強な外国籍ビッグマンとのミスマッチになった際も簡単にはやられない。これはフィジカルの強い吉井にも同じことを言えるが、ディフェンスがスイッチせざるを得ない状況でもイージーな得点を許さない。
[ここぞのザックは打ちゃ入る]
これまでオフェンスに関してはディフェンスほど評価をされている訳ではないが、今季のザックは一味違った。シーズン平均3PT%こそ高くはないものの、ここぞの場面で決めきる3ポイントシュートの1本1本の価値は3点以上に感じさせるものが多かったように思う。彼が日頃から口にする「打ちゃ入る!と思って思い切って打ってます」をまさに体現する形となった。
また、24秒バイオレーション間近で放らざるを得ない状況もよく見受けられたため数字ほど低い印象はない。
[飛び込みリバウンド]
今季苦しい展開を作ったのがオフェンスリバウンドを取られてのセカンドチャンス、サードチャンスによる失点だ。そんな中、度々やや遠い位置からのザックの飛び込みリバウンドが嫌な流れを切ってくれた。3番ポジションへとコンバートされてからもリバウンドの重要性は決して忘れていない。
[フル出場は2人だけ]
怪我人に苦しんだ今季、レギュラーシーズン60試合フル出場はセバスチャン・サイズと2人だけであった。アレックス・カークもおそらくロードマネージメント的に1試合欠場しただけなのでほぼ同じと言って良いが、ザック、セバス、アレックスの奮闘によって東地区2位の成績があると言って過言ではない。フル出場の価値はMIP選考において非常に重要な位置づけとなる。
[まわりの気持ちを汲み、表現できる]
ザックはアルバルクファンをいつもアルバルカーズと呼んでくれる。そこにアイデンティティがあることを理解してくれているからだ。また、時事的な情報を常にキャッチしており、同僚やスタッフやチア、アルバルカーズのその時々の話題にリスペクトを込めて触れてくれる。
[SNSや社会貢献活動]
自然体でありながら、周りを幸せにするようなSNS投稿も評価の一つだ。奥さんの支えを得たことも大きかったように感じる。二人の仲睦まじい姿を見て自然と笑顔になったアルバルカーズも多いはずだ。
社会貢献活動への参加は今やプロとしては当たり前のように感じる方もいるかも知れないが、継続し普及していくことは決して簡単ではない。義務感や嫌味を感じさせることなく伝えることは思いの他難しいが、ザックの人間性がそれを可能にしているように思う。
2回目の受賞という事への議論
正直に白状すると、今回の選考にあたって私はアレックス、ザック、吉井をどこかで頭の中から外して考えていた。過去にこの MIPを獲得済みの選手達だ。
ただ、1度獲得した選手がもう一度獲得出来ない決まりはどこにもない。むしろ獲得出来ない方が私の嫌う"何らかの思惑が含まれている選考"になってしまっている。
今回の会議で選考員の方々がそれを気付かせてくれたことに感謝したい。
当然2回目のハードルというものはある。ALVARK MIPはシーズン毎に決めてはいるものの、単にそのシーズンだけを見ているものではない。長いシーズン積み重ねた努力がついに実ったという評価もするため、過去に獲得している状況についても考える。
今回のザックにおいては、第2回時に獲得した状況をはるかに上回る活躍と貢献であり、疑う余地がなかった。
アルバルクのカルチャー
アルバルク東京の生え抜き選手として9シーズン目(アーリーエントリー含む)を終えたザック・バランスキーは今やアルバルク東京のカルチャーそのものである。偉大なる永久欠番(7)の正中岳城とはタイプは異なるものの、その意志は間違いなく引き継がれ、ザックらしいスタイルでオリジナリティ溢れるカルチャーを育んでいる。スタッツリーダーズに名を連ねる訳でもなく、オールスターに選出される訳でもないが、こういう選手こそアルバルカーズは大切にすべきであるし、それをしっかりと伝えていく責任があると再認識した今回の選考会議であった。
選考を難航させた理由
MIP選考会議では、この選手のこういうところが良かったという内容をまずは選考員各々に発表して貰うのだが、今回はほとんどの選手の名前が挙がる非常に難しい回となった。
中でも、選考を難しくさせたのが、チーム内スタッツでダントツだったセバスチャン・サイズ、怪我がなければ MIP最有力の可能性も高かったライアン・ロシター、練習生から登り詰めスターターを飾るまでになった岡本飛竜、今季最もインプレッシブなゲームを作った平岩玄の4名だ。
[セバスチャン・サイズ]
レギュラーシーズン60試合フル出場を果たした1人であり、数字的に見て彼が最も活躍した事は明らかである。またオンオフの切替の素晴らしさもピカイチで常にファンへの対応を怠らない。
ユーロを制したスペイン代表であり、オールスターの常連でもあるセバスの評価や人気は既にBリーグにおいてもトップクラスである。
[ライアン・ロシター]
田中大貴不在のアルバルクをザックと共にまとめてくれたのがライアンだ。昨シーズンの悔しさを晴らすべく序盤から奮闘していたのが印象的で、ホーム19連勝の立役者の1人だ。またアルバルク加入以前は苦手とされていたFTで昨シーズンを大幅に上回る平均83.2%の結果も残した。ただ、昨シーズン怪我でCS出場出来なかった悔しさを再び味わう結果となってしまい、本人的にも納得いかないシーズン終了となってしまったことだろう。宇都宮時代からオールスターの常連であり、知名度も非常に高い。
[岡本飛竜]
インプレッシブという観点では非常に評価の高かった飛竜。練習生というスタートから上り詰め、怪我人が重なったとはいえスターターを任されるまでになったことは彼の日々の努力あってのことだ。エナジー溢れるディフェンスでチームを盛り上げ、その明るい性格でチームの雰囲気を一段も二段も上げてくれた。何よりバスケを常に楽しそうにプレーしており、バスケ好きのそのスタンスは学生のような純粋ささえ感じさせる。目指すべきプロの一つのカタチであるように感じた。またコートに立てる喜びと感謝が誰よりも強く、見ている側にも熱いものが伝わってきた。
[平岩玄]
飛竜同様、インプレッシブさで高い評価だった玄。1試合限定でのALVARK MIPならおそらく玄だったであろう。ある意味負けても仕方ない、頑張ってくれれば文句は無い、そんな期待値のファンが多かったであろう試合で、地道に頑張ってきた男が開花した!“これがあるからバスケは面白い”そう思わせた功績はとてつもなく大きい。もっともっと評価されて良い試合のヒーローだった。あれが出来るなら…今季の MIPに届かなかった理由は来シーズンへの更なる期待の表れでもある。
最後に
今回も初めて会議にチャレンジしてくださった方々がおり、そういう方々の意見が毎季参加している我々を時折はっとさせてくれた。
この賞の目的は何か。その意義は、、、初心に戻る機会を生んだ。
全試合すべてを見ているからこそ気付くもの、ハイライトだけでは決して気付くことの出来ないもの、数字だけでは表せないもの、アルバルカーズだからこそ感じるもの、そういった全てをしっかりと評価してあげたい。
『もっと評価されるべき選手』だと世に発信していきたい。
過少評価されている彼らの価値を高めてあげたい。
アルバルカーズはちゃんと見てくれている、そう選手に感じて貰いたい。
このファンのためにこのチームで戦いたいと思って貰いたい。
選手とファンがWIN-WINの関係を築きながら共に成長するための賞だと考えている。
ファンとして出来ること、ファンがやるからこそ価値のあることは必ずあります。この賞を続け、より価値のあるものにしていくためにもたくさんの方に興味を持って頂けると幸いです。
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