日米IT連続起業家が考えた「稼げるWEB3.0の最前線」中島聡×けんすう特別対談(前編)
こんにちは、アル開発室運営チームです。
この記事は、7月5日(火)21:00〜まぐまぐ!Liveにて配信された、エンジニア/起業家の中島聡さんと、けんすうの対談動画を文字起こししたレポート記事です。
中島さんの有料メルマガ「週刊 Life is beautiful」で限定公開される予定だったレポート記事を、特別にアル開発室でもお届けします。
記事は前後編で掲載いたします。前編は15,000字を越える大ボリューム!
無料部分だけでもかなりの文量がありますので、楽しんでいただければ幸いです。それでは、本編へどうぞ。
■高校生が大人と対等になったIT黎明期
内田(司会):本日は中島聡さん、けんすうさんの対談に、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
今回の配信ですが、開始20分までは、誰でもが楽しめる一般公開。そして全編をご視聴いただけるのは、中島聡さんが発行する有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』(https://www.mag2.com/m/0001323030)の読者限定となります。
ご登録いただいた初月は購読料無料となります。配信終了後もアーカイブで配信を見られるので、ぜひこの機会にご登録ください。それでは、さっそく、本日の主役のお二方をご紹介しましょう。まずは、けんすうさんです。よろしくお願いします。
けんすう:こんにちは、よろしくお願いします。
内田:そして、中島聡さんです。
中島:よろしくお願いします。
内田:お二人を知らない方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんので、簡単にご紹介させていただきます。
まず、中島聡さんからです。中島さんは、高校時代にアスキーで記事執筆やソフトウェアの開発に携わり、早稲田大学に入学されました。入学後はキャドソフト「CANDY」を開発し売却、そして卒業後はNTTに入社。その後、マイクロソフト日本法人を経て、アメリカの本社に移動。「Windows95」や「Internet Explorer」を開発。
マイクロソフト退社後には、アメリカで起業した二社を売却。現在は、シアトル、ハワイ、日本を居住地とされながら、ドローン開発のベンチャー企業へ参画。最近では「Web3.0」を活用した「Nouns Art Festival」(https://nounsfes.org/ja/)を主催するなど、最前線で活躍されています。
内田:続いて、けんすうさんをご紹介します。浪人時代に大学受験情報の匿名掲示板「ミルクカフェ」を開設。早稲田大学在籍中には、掲示板サイト「したらば」運営会社の社長となり、事業をライブドアに売却。
卒業後は、リクルートに入社。在職中にハウツーサイト「nanapi」を創業。リクルート退職後は、KDDIグループにジョインし、スーパーシップ株式会社取締役を経て、現在はクリエイターを支援するサービスを提供するアル株式会社代表取締役でいらっしゃいます。
お二人は初対面ですか?
中島:初対面です。
けんすう:もちろん、お名前は昔から存じ上げておりましたが。
内田:存在はお互いに知っていたということですね。今、私も、お二人のプロフィールを紹介しながら、似通ったところがあるんじゃないかなと。
けんすう:ちょっと似てますね。
内田:もちろん大学も一緒ということもあるんですけど、大学に入る前から、パソコンだったり、ITだったりに親しまれて、そこに未来を感じていたと思うんですが、中島さんはいかがですか?
中島:未来を感じたわけではないんですが、16~17歳くらいの頃からプログラミングが大好きになってしまったんです。
内田:けんすうさんもですか?
けんすう:僕も16~17歳ぐらいの時に、まさに「Windows95」が出始めたときに、インターネットに触れて。
内田:中島さんが作られた「Windows95」ですね。
けんすう:これは面白いなぁと思って、ホームページを作ったりしたところからはまりました。
内田:そこに色んな可能性を感じていたんですか。
けんすう:そうです。でも16歳くらいだったので、可能性を感じたからというより、高校生が発信した情報を大人が読むということが、それまで想像もできないことで、それができるようになったという感動で、ずっと遊んでいたような感じです。
内田:若い人が発信したものを大人が読む。
けんすう:そうです。高校生が何かを発信するには、インターネット以前だと本当に雑誌を作るとか、そういうレベルでしかできなかったと思うので、それが無くなったことに、すごく感動した覚えはありますね。
内田:中島さんも若い頃、アスキーとかで記事の執筆されてたんですか?
中島:そうです。南青山に事務所があって、そこに自分の原稿を持ち込んだんです。原稿と言ってもプログラムなんだけど。自分が書いたプログラムをパソコン雑誌に載せてもらおうと思って持って行ったら、可愛がってもらえて。
内田:形は違えど、若い人たちが発信するものを、ある意味、大人が受け取ることになったんですね。
中島:その時はまだ雑誌経由だったけど、高校生の自分が雑誌に記事を書けるのは嬉しいじゃないですか。
内田:自分で持ち込んだというのを聞いてビックリしました。
けんすう:やっぱりなんでも黎明期は、そうやって若い人だろうと、年齢差をあまり感じさせない仕組みになってたりするので、それが面白かったんです。
内田:もう一つ共通点と言えば、大学時代から起業されて、その後、それを売却したっていう流れも、似通っていますね。起業に至ったのは何かきっかけがあったんですか?
けんすう:2ちゃんねるを作ったひろゆきさんと、大学時代に仲良くしていて、彼がそのレンタル掲示板の仕組みを作ったんですけど、社長はやりたくないから、一番社長に似合わなそうなやつにやらせようぜってなって、僕が選ばれて、社長にさせられたっていうのが経緯ですね。
内田:一番似合わなそうな方…。
けんすう:それでやってた感じです。
内田:経営者の立場になられて、何か変わりましたか?
けんすう:何も変わらないです。当時もやっぱりインターネット上で知り合った人と、ほぼリモートで、そのレンタル掲示板をやっていました。レンタル掲示板は、あまり中央の管理が無いんです。
今の「Web3.0」みたいに、それぞれの掲示板で勝手に管理者の掲示板を作って、彼らが運営をして、お客さんを連れてくるので、やることはあんまりなくて、秋葉原の(家賃)5万円ぐらいの場所にDELLのサーバーを置いて、それでやってるだけだったので、みんなあまり何もしてなかったです。
内田:そういうもんなんですね。
けんすう:そういうものなのかどうかはわからないですけど、僕がやっていた会社は、会社というほどではなく、マネジメントも含めてほぼ何もしないっていう感じでした。
■インターネットの世界をリセットする「Web3.0」
内田:これはでも中島さん、ウェブの世界で起業するのは、アイディアがしっかりしていれば、誰でも起業ができるっていうところが魅力のひとつなんですかね?
中島:それもあるけど、今「Web3.0」が注目されているのは、実は揺り戻しなんじゃないかなと思っています。というのは、インターネットの最初の頃は、自分でサーバーを立てて、ビジネスが本当にできちゃってたんです。でも、だんだんと寡占化が進んでしまい、もう今は結局、AmazonやGoogle、マイクロソフトがみんな取っちゃったわけじゃないですか。
小さな人が、レンタルサーバーのビジネスをしても、今はビジネスにならないわけですよ。でも「Web3.0」になると、また一回全部リセットされるので、今、個人で面白いことができる時代がまた来たんです。
内田:大企業に集まってしまったものを、自分たちにもう一度取り戻せるという状況なんですか?
中島:そうですね。僕も会社を作って売却したんですけど、結構疲れるんです。会社を作って、お金を集めて、人を雇うと、すごい責任があるじゃないですか。僕は特に社長だったので、全責任が来るわけです。
とにかく全員に給料を払うお金を毎日どこかから手に入れてこなきゃいけない。売上だろうと投資家だろうと、どこでもいいから手に入れてこなきゃいけない。それが止まったら会社がパタッと倒れるわけです。
それを僕は、あんまり面白いと思わないし、その時期は全然プログラムが書けなくて。やっぱり経営に集中しなきゃいけなくなる。二回やって、もうやりたくないなと思っているところに「Web3.0」がやってきた。
少し前までは、大きなことをやろうとしたら会社を作らなきゃいけなかったのが、今、もう一回リセットがかかったんです。本当に秋葉原の5万円のところから「Web3.0」のサービスを出せるようになったんです。そこが僕はすごいことだと思う。
内田:そうすると、「Web3.0」では、色んな所から色んなアイディアが生まれてきて、より活性化する社会になるというイメージなんでしょうか?
けんすう:インターネット初期の雰囲気に近くて、その頃の人達は、やっぱり自分で色々何かできるよねと思ってやってたんです。この世代の人って、今はやっぱり「Web3.0」の流れを「すごい面白いよね」って言ってるんですけど、逆に10年ぐらい前から起業してる人はピンと来てなくて「これ何が面白いんですか?」とか「これ詐欺じゃないですか?」って言っている。
やっぱりこの差が面白いですね。なので、僕的にインターネットの黎明期がもう一回来ているような感じがします。
内田:ワクワクするような感覚があるんですね。
けんすう:そうです。いかがわしいものも含めて、色々出ているのが面白いなと思ってます。
内田:それがまた、黎明期の特徴だったりもしますね。
けんすう:そうです。ほぼ詐欺じゃないかっていうのがたくさんあるので、すごい昔を思い出します。
中島:楽しいです(笑)。
■「Web3.0」で一番盛り上がっているのは高校生や大学生
内田:私は、中島さんは経営者であり、投資家でありというイメージをずっと持っていたんですけど、色んな情報発信をされているのを聞いていると、エンジニアとしてまた再びワクワクしているなって感じがするんです。
中島:もう本当に童心に帰ったような感じです。
内田:「Web3.0」には年代問わず本当にワクワクしている人がたくさんいて、ここから未来がうごめきながら出来上がっていくんですね。
けんすう:やっぱり「Web3.0」だと、高校生とか大学生が本当に盛り上がっていて、実際に会いに行くと、大体やっぱりそのぐらいの年齢だったりするので、それが結構いいなと思っています、ここ10年ぐらいは、あんまり見なかったんです。
大学生が自分でも何かできると思って盛り上がるっていう場所がなくて、メルカリを作ろうと思っても、スマホゲームを作ろうと思っても、やっぱり大資本がいるし、作ったらたくさん広告費を払わないといけないし。
やっぱり資金調達とか、マネジメントとか、大人の戦い方が求められるので、高校生、大学生の出る幕があまり無かったんです。でも「Web3.0」の登場で、今それが変わっているのが面白いです。
内田:確かに、これまでは起業にはお金が切っても切り離せなくて、それを大きくしたいと思ったら、またお金が必要になっていたんですよね。
中島:そうです。ちょっと前までは大資本が必要だったのが、「Web3.0」で突然時代が変わった。だから、高校生や大学生には大チャンスです。
内田:高校生になりたい気がしてきました。
中島:僕は、アスキーにいて、大学の時に「CANDY」ってソフトを学生の時に出して、荒稼ぎしたじゃないですか。あれってパソコンの黎明期だったからできたわけで、それがもう、iPhoneアプリではできなくなってるわけです。
iPhoneアプリだったら、広告費を出して、かけた広告費より多く返ってくればラッキーというぐらいのビジネスになっている。
内田:要するに、レッドオーシャンになっているっていうことですか?
中島:そう。でも、「Web3.0」には大チャンスがある。
けんすう:「Web3.0」で大事なことは、やっぱり「暇と体力」だと思っています。
内田:「暇と体力」ですか?
けんすう:「暇と体力」が無いと、膨大な情報についていけないし、よくわからないところに時間を投資することはできないので、高校生や大学生は、めちゃくちゃ有利だなと思っています。
内田:暇があるし。
けんすう:そうです。体力もあるし。
■そもそも「Web3.0」とは?
内田:羨ましいと思ったりもしますが、もう既に盛り上がってきているようですが、改めて今日の対談テーマを紹介させていただきます。「日米IT連続起業家が考えた、稼げるウェブ3.0の最前線」ということで。
けんすう:稼げる…。
内田:稼げるっていう言い方はともかくとして、ビジネス面でも今日はお話を伺っていけたらなと思います。まず「Web3.0」そのものがよくわからず、まだなんとなく悶々としている人たちが、世の中の大半で、お二人のようにグッと魅力を掴んでる人の方が少ないんじゃないかと私は思っています。
お二人ともVoicyとかを使われて、「Web3.0」を分かりやすく、中学生でもわかるようにと発信されているじゃないですか。私はそれを聞いて、なんとなくイメージすることが、最近できてきたような感じはしているんですけど、まず、中島さんから「Web3.0」を、短く簡単にご説明いただけますか?
けんすう:これは難しい(笑)。
内田:とっても難しいとは思うんですけれどもね。
中島:悩んじゃいますけど、基本は「ブロックチェーン」と、その上に「スマートコントラクト」があるという仕組み。「ブロックチェーン」と「スマートコントラクト」は技術なんです。
それによって色んなものが可能になりつつある。例えば「NFT」とか「暗号通貨」もそうだし、色んなものが出始めているけど、まだ出始めなんです。その基本の技術、例えばインターネットとかスマホみたいな基本の技術があると、そこからいろんなアプリケーションが出てくるじゃないですか。
その色んなアプリケーションが出るための、根っこが今出来たところなんです。
内田:インターネットみたいな仕組みができた。
中島:それが「ブロックチェーン」と「スマートコントラクト」で、その上にこれからものすごくいろんなものが出てきます。「NFT」なんて、まだ最初の一歩なんです。
内田:本当にじゃあ駆け出しみたいな感じ。
中島:「ブロックチェーン」は誰にも管理されないものなんです。GoogleとかAmazonに依存せずにプログラムを出せるのが、僕としては嬉しくて。アプリケーションをポンと放てる。野に放して勝手に走ってもらえて、月々いくらとかAmazonに払う必要がないんです。
内田:今だったら、Amazonとか色々アプリとかをダウンロードするにはお金がかかったりしますよね。
中島:それとはちょっと違っていて、Amazonのサーバーの上でサービスを僕がやろうと思ったら、今は月々いくらかをAmazonに払わなきゃいけない。ユーザー数が少なければ大したことはないけど、基本的には永遠には動いてはくれないんです。
僕がお金を払うのを止めたらポンと止まるし、万が一爆発的な人気が出て、もの凄い数のユーザーになったら、すごいお金がかかるわけです。でも「ブロックチェーン」の「スマートコントラクト」って、本当にポッと野に放つと、何もしなくても走り続けてくれる。
それがいくらユーザーが増えても全然関係ないんです。逆にユーザーが増えると、お金が入ってくるくらいなので、ものすごく楽しくてしょうがないんです。
内田:使う人たちも、そんなにすごいお金はかからないんですか?
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