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桑田佳祐は、日本のグレイテスト・ショーマンだ

6年ぶりに、ひたちなかに行った。
ロックインジャパンフェスティバル2024。
幸運にも最終日のチケットが確保できた。

ロッキンには20代で何度も行った。
5時から並んで、テントでどんちゃん騒ぎして、
ライブが始まったらフラフラと見に行って。
今思えば、なんて贅沢な過ごし方をしてたんだろう。
音楽があって、仲間がいて。
そしてみんな自由で体力も時間もあったという意味でも。

あれから6年。
正直、今回は「ロッキンに行きたい!」よりも、
夏フェスのサザンを見たい!という気持ちで申し込んだ。
彼らのライブを、一生に一度は見ておきたいと思ったから。夏フェス卒業と聞いたから。

でも、ひたちなかに降り立つと、それだけじゃない想いが胸にこみあげた。
ああ、ロッキン、ただいま。
会場を歩いていても、他のアーティストを聴いていても、
「ああ、やっぱりフェスって、ロッキンって最高」という気持ちが蘇ってくるのだ。

ヤバT、ももクロ、緑黄色社会、Creepy Nuts、WANIMA、そしてイエモン。
アーティストたちが力を振り絞って演る40分のステージには、
見事にそれぞれの魅力が凝縮されていた。
名前もうっすらとしか知らなかったアーティストのステージに、気づけば熱中している、その感覚。
イエモンのステージのとき、
斜め前で嬉し涙を流していた還暦くらいのマダムの姿。
ここにしかない、最高にフェスな光景に胸が熱くなる。

そしてお待ちかね、サザンの出番。
夏フェスラストステージは、
想像を遥かに超えて、すごかった。

なにって、そのショーマンシップ。エンターテイメント精神。
無邪気さと、色気。カッコ良すぎるよ。
聞きたかった曲をつぎつぎ演る、思いもしない曲も繰り出す、踊り出す。

目の前で桑田が歌ってる。それだけでも感動的なのに、
バンドも、演出も、MCも、1000%で魅せてくるんだもん。
愛の言霊。いとしのエリー。希望の轍。
練りに練られた曲順で、
一曲一曲を大事に、観客とわかちあう。
あの恍惚の一体感は、半端じゃなかった。
きっとあの瞬間、ひたちなかにいた
五万人全員が、心からサザンのファンだった。

アンコール後のラスト、勝手にシンドバッド。
出演アーティストたちをステージにあげ、
1組1組の名前を何度もコールアンドレスポンスした。これから頼むよ、とよびかけて。

その姿を見て、やっとわかったのだ。
桑田さんという人は、サザンは、
この国のグレイテストショーマンだった。
テレビも、ライブもフェスもオリンピックも、
サザンがいたから盛り上がった。
おじさんたちのカラオケを、カップルの夜を、
若者たちのドライブを。
あの曲たちが盛り上げてきた。
その張本人がいま、次の世代にバトンをつなごうとしている。

この夜は伝説になるだろうと思った。
壇上のアーティストたち、そして
見てる人たちの人生にも熱いものを残して、
サザンの夏フェスは終わった。
ひとりの目撃者として、私も日本の音楽が、フェスの未来がずっと続くように、
観客として支えつづけなきゃいけない、と強く思った。

東京に帰ると、秋になっていた。
ひやりとした風が火照る体を冷ます。
今日までは夏、とリョクシャカの長屋さんが言ってた通りだ。少し長すぎた夏の終わりに、
この1日は、あまりにも熱かった。
ロッキン最高。フェス最高。またね、ひたちなか。

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