"狂人"のいなくなったこの世界の片隅で
僕の好きな本でこんなお話が書かれている。
京都で暮らしていた頃、近所でよく会う初老の男性がいた。北山周辺でしか見かけないので、勝手に「北山のおっちゃん」と呼んでいた。
おっちゃんは、身長が180センチくらいあって、がっしりとした体格。私が乗っているバスにドカドカと乗ってきたり、またドカドカと降りていったりする。
近所のスーパーでは、店内をぐるぐると歩き回って、お惣菜などを買って足早に出ていく。いつもなにかに追われるように急いでいた。
おっちゃんは、たぶん風呂に入っていない。