時代型仏壇|平安・鎌倉・桃山・江戸
新緑が目に鮮やかな、すがすがしい季節となりました。旅先で神社やお寺があるとつい立ち寄りたくなります。その土地、その時代に建立された寺社仏閣には、それぞれに特徴があり、大切に守られてきたことが感じられ、心落ち着く場所です。
参拝したときの清々しさを日々の中で
今回は、各時代を象徴する寺社仏閣、建築様式をモチーフにした『時代型仏壇』のお話です。参拝したときの清々しさや心の安らぎが得てもらえるようデザインされているシリーズです。
伝統的な要素を活かした現代に合う仏壇を創る
時代型仏壇は、平安・鎌倉・桃山・江戸といった、
日本歴史の時代ごとにデザインされたお仏壇のシリーズです。
開発のきっかけはリフォームのためにお預かりした古仏壇。
「古くても良いものがある」
「伝統的な要素を省かずに現代に合う仏壇をつくりたい」
そのような想いで生まれました。
”この国の祈りのかたち”として展開される時代型仏壇シリーズは、平安、鎌倉、桃山、江戸、時代ごとに生まれた文化や美意識から生まれた建築様式を取り入れました。まずは、それぞれの時代とシリーズ仏壇をご紹介します。
時代型仏壇 | 平安
みなさんは「平安時代」と聞いて何を思い浮かべますか?
紫式部などの文学作品、十二単や蹴鞠を楽しむ貴族たち・・・。平安時代は794年からおよそ390年以上続いた、貴族文化が栄えた時代。仏教美術もまた円熟期を迎えました。
【床置型】
世界遺産平泉の文化財『中尊寺金色堂』の意匠を象徴的に取り入れました。極楽の世界を表した金色堂になぞらえ、扉を開くと金箔をふんだんに使用しました。手を合わせる際に見上げると、精緻な細工の美しい格天井の造りに。
【卓上】
硬貨にもなっている日本を代表する世界遺産『平等院鳳凰堂』。池の中島に建てられていることが最も大きな特徴でありその美しい姿を水面に映しています。その姿を押こみ扉に描き出しています。
来客時など扉を閉める方もおられます。扉を閉めてもその神聖さを残すことで繋がりを残しているように感じます。
時代型仏壇 | 鎌倉
鎌倉時代といえば、2022年NHK大河ドラマでも注目されました。1185年から148年続く武家社会の始まりの時代です。質実剛健を美徳とする武士たちは素朴ながらも力強くしっかりしたものに重きを置いた生活を過ごしました。
【床置型】
仏師、運慶・快慶の金剛力士像があることでも大変有名な『東大寺南大門』。その山門の建築様式を取り入れました。パーツが組まれた表欄間からはその風格が感じられる作りになっています。
【卓上】
奈良にある国宝『法隆寺精霊院』は鎌倉時代後期の和様建築です。大陸から様々な建築様式が伝わる以前から日本で行われていた建築方法が反映されています。その意匠を、採光や通風のための欄間や欄干に取り入れました。
時代型仏壇 | 桃山
1568年からおよそ30年の間に信長、秀吉、家康が育んだ豪華で壮大な文化が花開いた桃山時代。国外向けの漆工芸品の生産も盛んになり、特に蒔絵は珍重され華やかな文様の道具が人気を博し技術や表現の幅も広がる時代となりました。
【床置型】
この時代の漆工芸美術の粋を集めた『高台寺霊屋』の高台寺蒔絵を随所に取り入れたデザインとなっています。墨黒色を背景に金の平蒔絵で秋草を描き、蹴込枠には川の流れに筏を浮かべ人間の生命を表現しています。
【卓上】
床置と同じく『高台寺霊屋』の高台寺蒔絵を取り入れた、チェストに置けるサイズの仏壇です。
時代型仏壇 | 江戸
「宵越しの金は持たねぇ」と、よく働き、よく遊んだ江戸庶民。歌舞伎を見に行ったり、お花見をしたりと、楽しそうな様子が浮世絵から伺えます。そんな町人文化が栄えた江戸時代。また、いずれかの寺院を菩提寺として各戸に仏壇を設けたのもこの頃です。
【床置型】
「一生に一度は善光寺参り」と多く人々が心の拠り所とした寺院『善光寺』。その建築様式を取り入れました。善光寺で日々僧侶がお経を唱える場である内内陣を宮殿に映しています。
【卓上】
床置と同じく『善光寺』の建築様式を取り入れています。前立本尊を安置した内陣は信徒が一晩念仏を唱えながら朝事を待った場所。視線を上に移すとそこには燦然と輝く来迎像がありその様子を金箔で表現しました。
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伝統の美を活かし現代に調和することを目指し、古から日本に脈々と伝わる祈りのかたちを仏壇に落とし込んだ同シリーズは発表から9年、丁寧に作り続けられています。
アルテマイスターでは「製品をつくること」だけでなく、暮らしの中に“心落ち着く場をつくる”ことを大切にそのプロセスの設計も一つの大きな役割として捉え、取り組んでいます。