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ほんのわずかな山行記録 9

霧ヶ峰はきもちよいところでした

再始動

毎日、ヒザのこと、歩き方のことを考えていた。
甲武信ヶ岳以来、どうすればヒザ痛を克服できるかをずっと考えていた。

まず、筋肉をつけることが必要だと思い、筋トレについて調べだした。
スポーツをしっかりやってきた方にとってはごく当たり前のことかもしれませんが、筋トレって、やるときは目いっぱい追い込んでやんないとダメみたいなのですが、毎日やっちゃだめなんですね。

いろいろ見ているとよく出てくるのは超回復という筋肉の働きのこと。私の解釈は「筋肉を大きくするにはトレーニングと休息を繰り返すこと」でした。

また、これは人に聞いた話ですが、さらに効率よく筋肉を大きくするためにはビタミンCを摂取することが大事とのこと。なんでもタンパク質などの栄養素を取り込みやすくする働きがあるのだそう。

しかし、喫煙によってビタミンCが破壊されるらしく喫煙者はその効果を望めない、とも言っていました。これを聞いてすぐに20数年継続していた喫煙を止めることを決心。1か月ほど同僚に迷惑をかけたものの(ちょっと1本ちょうだい、ってのを繰り返すパターン)割とすんなりと止めることができました。

そうやってトレーニングをしている中、ふと、ある事を思い出した。

情熱大陸というTV番組に「やまどうぐレンタル屋」の山田淳氏が出ていた回を観ていたのですが、その取材中、山田氏側に業務上のトラブルがあったようで、谷川岳の山頂から山田氏が駆け降りていくシーンがあるのですが、その時の後ろ姿と、私が2回目の谷川岳で見かけた山慣れたオジサンの後ろ姿がほとんど同じだったのです。

何が同じだったのか?・・・それは「すんげぇガニ股w」。

私は足を出す方向とヒザの向きが一緒になるように心がけながらまっすぐ前に足を出して歩いていたのですが、この人たちは完ペキに外を向いていました。
山田氏はセブンサミッツを登頂した強者で、片や山慣れたオジサン…う~む、もしかしたら下山時は「ガニ股」がいいのかもしれんな~、と考えたのでした。

これを思い出したのは南アルプスの鳳凰三山を間近に控えた2012年7月頃だったと思う。
情熱に山田氏が出たのが2011年10月、谷川岳でガニ股オジサンを見たのは2011年9月終わり頃で、実は情熱を観てる時も「あ、あんときのオジサンと同じ歩き方だ!」ということには気付いていました。
ただ、あれはあの人たちに合った独特の歩き方だから真似しちゃダメだ、などと思っていたので試すこともしませんでした。

なんとしてもヒザ痛を克服したいという執念と、もう何も手だてがないという焦りが9カ月も前の記憶を呼び戻した、ということなんだろうか。
まぁ、よく思い出したもんだ。とにかく「ガニ股下山」をダメもとで試してみることにした。

そんなわけで約8か月間、山から遠ざかっていたのですが、いよいよ南アルプスにチャレンジすることを決意。まずはアルプス入門の山として有名な鳳凰三山に決めた。
鳳凰三山は南アルプスの主脈ではないが一応、南アルプス国立公園に含まれていて一般的には南アルプスの山だ。

そして今回、装備の“とりあえずの”最終ステージとしてついにテントを追加したんだけど、これは悩みに悩んだ。
テントを調べるとおおまかにシングルウォールとダブルウォールが存在し、いずれも指向する山行形態によっていくつかの特徴があるようだ。詳しくはここを参照ください(この他にもjagar39さんの情報には大変お世話になりました)。マニアックな世界ですが興味がある方はどうぞ。

結局は素材の劣化が極めて少ない、という理由が決め手となりヒルバーグのウナというオールシーズンのソロテントにしました。ソロテントの割には大き目で、ちょっとしたことで前室を作ることができるというのも理由として挙げられます。あ、あと超簡単に張れるってのもありますね。

そしてとうとう、衣食住を背負って歩くことができる状態になってしまったのでした。
もう、これ、アウトですね。引き返せませんね。



鳳凰三山はどのルートで行くか。
私の家からの行きやすさを考えると青木鉱泉起点と夜叉神起点がまず考えられる。

青木鉱泉起点の場合はドンドコ沢ルートと中道ルートを使った周回ルートが一般的で超メジャーなルートとのこと。
夜叉神起点の場合、三山をめぐるルートは1つなんだけど、下山ルートが青木鉱泉に下りるか広河原に下りるか選択できる縦走ルート。

夜叉神起点の場合、車の回収のため夜叉神に戻る手段が必要だが、広河原~夜叉神間はバスが運行しており問題なし。一方、青木鉱泉~夜叉神間はバスなどは運行しておらず非常に面倒だ。

ということで、私の好みがそもそも「周回ルート<縦走ルート」であり、バスが利用できるという決め手もあって、あっさりと夜叉神~広河原ルートに決定。夜叉神から4時間半ほどの南御室小屋にテント泊し、1泊2日で縦走することにした。

森林限界を超えると2700m前後の稜線歩き!トータル約20㎞

ところで、8カ月も山に行っていないのにいきなりアルプス・テント泊って、大丈夫なの?となりますが、暖かくなってからは筋トレだけでなくちょくちょく歩いてはいました。
湘南平や大菩薩のショート周回コース、霧ヶ峰などですね。どれも10キロ前後の体にやさしいハイキングなのであまり参考にはならないのですが、ヒザの具合はまずまずといった感じ。

それでも不安はありました。
テントが増加したおかげで担ぐ重量は2.5キロ増となり、加えてブランクとヒザ痛…

でももう限界だったのです。
禁断症状ではありませんが、毎日毎日考えるのは山の事ばかりで仕事も手につかない状態に(やっぱり禁断症状?)。
これは精神衛生上よろしくないぞ、ヒザのリスクはこれまでもあったじゃないか大丈夫だよ、そう…

「何とかなるさ」

この絶対に言ってはならないセリフが最後の一押しとなり、山行は決定したのでした。
ダメだな~、まったく、、、

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