一月と雪の思い出
あれは2003年の1月4日
友人に誘われ、街へ呑みに出掛けた
年末年始を退屈に過ごしていたので
友人やお店の方との会話が楽しく
気付けば終電の時間をとっくに過ぎていた
そろそろ帰るかと、ふと窓の向こうを見ると
しんしんと雪が降っている
会計を済まし、店の外に出ると
やや強めの風と結構な積雪量
県道に出てタクシーを探すも全て乗車済
立ち止まっているととんでもなく寒いので
歩きながら空タクシーを探すことに
私と似たような境遇の方々とすれ違い
「私は一人じゃない」と勝手に勇気を貰い、歩を進める
歩けど歩けど、タクシーは全く捕まらない
「ここまで来たなら、家まで歩いて帰るか」と
変なスイッチが入り、コンビニでお手洗いを借り
暖かい飲み物を買い、一服して更に歩を進める
少し窮屈な靴を履いてきたことを後悔しつつ
凍結した道路と時折吹く風に悪態をつきながら
一人トボトボ歩みを進める
途中、吹雪かれてもうダメかと思ったけれど
帰巣本能を大いに発揮し、何とか自宅に到着したのは
店を出てから約4時間後、距離にして16.2キロ
靴を脱ぐと右足の親指の爪が紫色に変色
そのうち、パカパカと浮き始め
爪がまるっと剥がれたのは、2ヶ月後
今では懐かしい「若気の至り」の思い出だ
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