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Entôを想像して、Heritance Kandalamaに泊ってみた。そこで生まれた問い。


青山さん、平素から大変お世話になっております。坂下です。

はじめに

2023年6月25日ー6月26日、1泊2日でスリランカの「Heritance Kandalama(ヘリタンス・カンダラマ)」へ滞在してきました。

Heritance Kandalama

 私からは滞在日記でも、施設の解説でもなく、Entôを想像してHeritance Kandalamaに宿泊することで生まれた問いを、ひたすらに書き連ねさせていただきます。

 私自身も、ここで生まれた問いを投げかけるだけではなく、青山さんは勿論、Entôで実際にゲストを迎え入れるスタッフの方々と対話させていただく中で、問いに向き合っていけたら幸いです。

 この滞在に際して、私が問いを生み出す基盤とさせていただいたのは、Entôのコンセプトである、「Honest」「Seamless」です。

Honest(オネスト)
無垢であり、誠実、ありのまま等身大の姿。ぽつんとひとり、眼前に広がるジオスケープを眺める。ふっと一息、日常を忘れ、自然に溶け込むように思考を止めてみる。

Seamless(シームレス)
隔たり、境目のないこと。こんにちは、と、旅人、島民、スタッフと。遠い島で、人と土地とつながってみる。

Entôのコンセプトより

 Heritance Kandalamaを設計したスリランカの偉大な建築家、Geoffrey Bawa(ジェフリー・バワ)最大の特徴は、「自然に建築に解けこませて一体感を出す」こと。そしてその設計図は、植える花の位置まで詳細に描かれていたそうです。

そのあまりにも印象的な建築様式の素晴らしさによって、そこだけが切り取られる場面も多く見かけますが、むしろ「そこに生きる人々の姿」のほうを重視していたのではないか、と想像しました。

自然と共生するスリランカという国そのもの。Bawaが表現したかったのは、自分が好きだったありのままのスリランカの日常だったのかもしれない。

そんな仮説を抱いたうえでの、以下、生まれた問いになります。

Entôと、Heritance Kandalama。

両者を対比してみたり、重ねてみたり、そこから離れて眺めてみたり、可能な限り様々な角度から向き合ってみました。

Heritance Kandalama

自然と、人の境界線

・なにもしないを、する。
・ここで滞在することが、自然を味わうこと
・今にも動き出しそうな、自然とともに変容する建築物
・自然がホテルを変容させているのか、ホテルが自然を変容させているのか
・打ちに閉じこもることで、囲まれた空間に集中する
・自然のみが、外部との繋がり
・サル、象、野鳥、ヤモリ、トカゲ、カタツムリ、動物とともに暮らすこと
・僕らが自然界にお邪魔しているのか、動物たちが僕らの住入り込んでいるのか
・残しているのか、創り出したのか そのバランス
・自然と繋がる建築、社会と断絶し、地球上に生きる個としての自分に向き合う
・地球に生きているという事実
・景色の中に自分がいるのか、景色を眺めているのか

テラスから撮影した1枚


・どこにいるかという問いを奪うような、自然界と人間界をフラットにする何か

・そもそも自然は豊かである。人間が創り出したレンズを通すことで、自然の捉え方に角度をつける
・「自然の日常」との距離の近さ
・そこには自然しかないから、厳しさは感じない、ありのままを感じるのみ
・ハッキリしない、曖昧であることの価値
・ホテル以外の建物が一切見えない、あるのは木々、湖、そして大地と動物のみ
・粗い=外 を表す表現?
・自然との境をなくすことは、つまり人が繋がるフィールドを広げるということでもあるのかも
・自然との一体を感じる空間の中で、ひと捻り加えたサービス(ボードゲーム)

各席に設置されたボードゲーム


・行くまでの道中も自然、入り口も開放的で、外との隔たりが無い。

→うわー、ヘリタンスに来たー!みたいな感覚はそんなになかった(不思議)

どこかEntôを感じるエントランス

・自然を表現するとは、不自然さを嫌うということ
・オブジェがもたらす空間の一貫性

まるで自然界から迷い込んできたかのような

・”スリランカの自然”を感じるつくり、それを生み出すものとは
・全長約1㎞の建物が生み出す、歩いて楽しめるつくり そして景色の変容

→ヘリタンスカンダラマと言えばこの景色、みたいなものを1つに絞れなくする。
・”高さの変化”から楽しみを生み出す 木々の重要な役割
・大地を感じるのに手っ取り早い、岩の存在 屋内にまで岩が存在する
・逃げる場所でもあり、踏み出すことも出来る
・余白、をどうとらえるか
・その場で音楽を創り出すことで、bgmでは表現できない、人の営みであることを感じることが出来る
つまり、音楽はそもそも、自然の中で人が創り出したものなんだなという想像生み出すトリガーになる
・どこまでがヘリタンスカンダラマなのか
建物なのか、建物を囲む木々までか、湖までか、遠くに見える山々なのか。境がないとはそういうこと
・旅を象徴する、人との繋がり、関係性。自然はある種のヒトで、そのヒトとの対話の場
”自然”との関係性を持つことで、未来への変容も楽しむことが出来るようになるのかも
・訪れる度に違う場所であることの価値 同じものを提供することに重きを置きすぎる社会構造
・暗闇の利用 照明を最小限にとどめて、光による境界線を強くし過ぎない。ただし、光がもたらす安心感を演出することも重要

やんわりと光が漏れ出る、程度の照明

Entô

レインボービーチから眺める夜のEntô

・なにもないが、すべてがある。
・ここを拠点に、ジオ(島)を味わう
・ホテル滞在にとどまらない、むき出しの地球と生きる時間
・島で暮らす人と訪れる人が交わる場所
・Entoが体験を広げる、外に開く
・ホテルを核にしたまちづくり
・本当になんのノイズもない時間と空間に浸ってもらう
・ありのままの繋がりを感じ、まっさらな自分と向き合う時間
・「歴史」に向き合うのか、「過去」を眺めるのか
・フラットな立場で向き合うということ→Honest?
・サービスをどうとらえるか
・溶け込むとはどのような状態か。あえて別のものを創り出して溶け込ませることから、何が生まれるのか
・絶景と、美しい眺めの境目はどこか。立っている場所の違いかもしれない
・自然が人間を創り、人間もまた自然を創る
・自然が豊かであるということの背景には、必ず人が関係している
・「島民の日常」との距離の近さ
・「暮らし」とは何か
・この土地における魅力の媒介者として、そして自然・営み・人間の価値をつなぐ媒介者として
・隣の島が見えるから、自分が島にいることを実感しやすいのか
→道中からたどり着くまでのストーリーを景色に映し出す
・実際の生活、実際の心情、実際に人々に影響するものをどれだけ意識できているか
・ジオパークという取り組み、概念を身近に捉えるための、伝え方


この度は私たちのために、たくさんのご支援、そして様々な方面の方々との関係性を繋いでいただき、心より感謝申し上げます。

ありのままに浮かんできた問いをかき連ねてあるので、伝わりづらい部分もあるかと思われます。このレポートを土台に、青山さんやEntôスタッフの方々との対話の場が生まれたら幸いです。

そして、住居の無い僕らの旅において、「泊まる」という要素が想像以上に重要だということ、身に染みて感じております。1泊1,000円程度の何でもないようなホステルも、最高のホストが経営する旅人のためのゲストハウスも、現地の人の家も、高級ホテルも、お金の許す限り、出来るだけたくさんの「泊まる」を体感してきます。

旅が終わり、島に還るその時まで、「旅人」という立場から、島に向き合っていきたいと思います。

旅、観光、宿泊、暮らし、まちづくり、自然、地球。あらゆる視点から島に向き合うきっかけをいただき、本当にありがとうございます。引き続き、宜しくお願い致します。


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