地域おこし協力隊の住まい事情
私が「地域おこし協力隊」として在籍している長野県伊那市。長野県でも南の方、大きくは南信(なんしん)と呼ばれるエリアにあり、中央アルプスと南アルプスに囲まれた伊那谷(いなだに)という土地にあります。
伊那市は、総務省の地域おこし協力隊制度を導入してから10年以上。私が応募した2020年時点、募集要項の記載内容や受け入れ体制がしっかりしていました。見ず知らずの土地への移住で不安があった中で、応募の決め手になったのは「委嘱期間中の住居は、市が無償で貸与します。」と要項に明記されていたこと。
長野県伊那市の地域おこし協力隊は、活動期間中は市営住宅に無料で住むことができます(2024年9月現在)。私は2020年12月に採用内定を受け、その後に、市から市営住宅の案内(立地や間取りなど)を受けました。諸事情により委嘱式から引っ越しまでに時間を設けてもらっていたので、委嘱式後に市職員の方が市営住宅を見せてくれました。その上で納得して市営住宅に引っ越しました。集合住宅(マンションタイプやアパートタイプ)、メゾネット型の住宅、教員向け住宅を改装したタイプなど、いくつかありますが、私は集合住宅の一室を無償で貸与してもらっています。
3年以上暮らしてきた住居に感じていること。
・きれいで快適。
・駐車場が無料。
・ファミリータイプ3LDK。家族が3人以下なら快適に暮らせそう。
・住民の多くが協力隊員なので顔見知り。
・他の住民もいて、地域活動にも参加できる。
・市役所までは片道約10km。車で20分程度。
・ミッションによっては市の反対エリアに通勤する人も。片道15km程度。
・都市のマンション住まいのテンションで住むことができる(過度な自治や近所付き合いがない)。
同じ伊那市地域おこし協力隊でも、着任タイミングなどによっては別のタイプの市営住宅が貸与されるので、必ずしも同じ環境ではありません。そして住まいの感じ方は人それぞれなので、同じ集合住宅に暮らしていても異なる印象を持っている人もいるかもしれません。
でも、伊那市では全隊員に共通して以下が約束されています。
・活動期間中の住居費は無料(※共益費や自治会費用、光熱費は個人負担)
・エリアは選べない(市営住宅がある場所のみ)
・地域おこし協力隊ではなくなった場合には退去or有料で申し込む
・提供された住宅以外を希望する場合は個人負担(補助無し)
長野県内でも、住居に関する待遇は市町村ごとでまったく異なります。日本各地の地域おこし協力隊募集の中には、ヘビーな物件や条件もあるという噂も聞きます。
長野県伊那市の住居待遇が良い(と思う)要因は、
・わりと大きな市なので市営住宅がそこそこある
・地域おこし協力隊に市営住宅を貸与する準備をしている
・地域おこし協力隊制度の導入から10年以上の実績がある
・任期終了後の定住促進に力を入れている
あたりにあると思います。
住居はファーストインプレッションが大事。そして持続的な安定を印象づけるファクター。伊那市は地域おこし協力隊の受け入れが上手だなーと感じます。
とはいえ、実際は任期半ばで自費で住まいを変える人も多いです(主に単身者)。また、私が住んでいる市営住宅でも、地域おこし協力隊の終了とともに引っ越していった人も多いです。
私は、移住して慣れない時期からここで快適に暮らしせていたので「地域おこし協力隊じゃなくなった後も住み続けたいな。民間の物件に比べて家賃もお手頃だし、間取りや環境にも満足しているし〜」と考えていました。「家ほしい、家建てる!」と思いつかなければ、長く住み続けていたように思います。
それでも私は家を建てることにしました。
なんで?(という話に続きます)