US Mortgage REITとは?
1.Mortgage REITについて
2023年4月10日の記事「Publicly-Traded REITs Tread Water in March; Remain Up for the Year」を読むと以下のような内容だった。
3月時点のUS上場Equity REITはまだ足踏み状態だが、モーゲージREITは良好なバランスシート。
モーゲージREITは①住宅と②商業不動産の2つの種類がある。①住宅モーゲージREITはフレディマックやファニーメイのようなAgency MBSを投資対象にしている。②商業不動産モーゲージREITは主にCMBSに投資しており、(Debt Fundのような)ダイレクトローンを保有するものもある。商業用のほうが戦略バリエーションが豊富。
モーゲージREITは、2022年に80億ドル以上の配当金を支払ったが、これは2021年に比べて15%以上の増加。モーゲージREITの利回りは13.3%であり、インカム投資としては非常に良好なパフォーマンス。
イールドカーブの形状変化に対応するべくヘッジ戦略を積極的に活用している。金利上昇が収益に影響を及ぼしているが、配当は維持されている。個人やウェルス・マネージャーがインカム重視のポートフォリオに利用しており、現在は魅力的な利回りを維持。
エクイティREITは全体的に下落。直近は回復の兆しがあるが、オフィスは依然としてハイブリットワークやリモートの影響(即ちファンダメンタルへの影響)がどこまでなのか固まっていない状況。
Public-REITは金利上昇分をすでに織り込んだと言えるのでは。Private-REITはまだ金利上昇の折り込み途上であり、それが評価の差に反映されている。今後12~18ヶ月の間にPrivate REITはPublic REITの水準に収斂されていくだろう。
エクイティだと直近パフォーマンスはインフラ、データセンター、セルフストレージがトップ3。セルフストレージはセクターとして勢いがあり、直近Extra SpaceとLife Storageが合併したのはそれを表している。
初めて知ったが米国はいわゆるエクイティの上場REITのみならずモーゲージREITも上場され取引されているようだ。
ファニーメイやフレディマックといったエージェンシーモーゲージの存在を知ったとき、コレ個人が買う方法はないのか?と思ったが、上場モーゲージREITとして個人が買うこと自体はできるわけである(日本で買えるかは知らんが)。
2.Mortgage REITの銘柄
以下サイトにMortgage REITの一覧があったので時価総額順に20銘柄ほど並べてみた。
リストを見ると、Starwood, Blackstone, Apollo, KKRなど不動産やPEでおなじみの銘柄がいくつかあるが、殆ど聞いたことがない銘柄もある(おそらく出自がRMBSなど債券投資を行っているところだから?)。
1位のNLYは$9Bil≒1.25兆円で、日本ビルファンドが1兆円弱なので大きさはJ-REIT銘柄と同じくらい。
ひとまず上位3銘柄のNLY, AGNC, STWD、BlackstoneのBXMT、SP500ETFのSPY、Dow Jones REIT Index ETFのRWRと比較してみた。モーゲージREITがインカム型ファンドであることから配当調整ありで比較。
直近1年間だとSPYのパフォーマンスが一番よく、NLY、AGNC、STWDがRWRと同等、BXMTは低いようだ。
BXMTはグローバルCMBSのREITであり、以下表及び記事に記載の通り、オフィスに多めに融資をしている関係上低迷していると見られる。
インカム型のモーゲージREITとエクイティ型のREIT・株式を並べて比較するのが適切か?というのはあるが、ひとまず1年間のトータルリターンはSP500のほうがパフォーマンスは上であった。
ちなみにBXMTは変動シニアローンらしいが、固定金利のRMBSなら市場金利が上昇したら価格が下がるのはわかるが、変動金利なのにプライシングが激しく下がっているのはなぜか?むしろ配当が増えた分トータルリターンは上がるのでは?と思ったが、これは市場がデフォルト可能性を織り込んでいるかららしい(記事によると過剰反応とのことだが)。
3.まとめ
とりあえずMortgage REITなるものについてざっくり調べてみた。固定型金利のファンドであれば直近の金利上昇を受け、また変動でもオフィス融資が多い場合は信用リスクを折り込み価格は低下したようだが、今後FRBが金融引き締めの出口に向け金利が低下していくのであれば、債券投資にはいいタイミングかもしれない(注:銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません)。
REITではないが直近は不動産のプライベートエクイティファンドはキャピタルゲインがマイナスとなっており、コアのオープンエンドファンドは解約申請も待ちが続き塩漬け状態であるところ、変動金利のデットファンドはキャピタルゲインが得られないものの、インカムは安定的に得られることから近年注目されている。
不動産屋だとついついエクイティに焦点が行ってしまうが、EquityとDebt、キャピタルゲインとインカムゲイン、これらをバランスよく組み合わせるというのも良好なポートフォリオを構築するのに重要であると思う次第である。
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