After/Withコロナのオフィスのあり方(妄想)

CBRE記事を見て、「物理的空間としてのオフィス」の価値とはなんぞやという妄想をしてみました。

〔コロナ後の日本〕オフィス需要は来年後半回復、テレワークで変化も=CBRE大久保氏
<テレワークの影響は限定的>   
 外出自粛でテレワークが広がり、コロナ終息後もオフィス需要が減退するとの見方があるが、大久保氏は懐疑的だ。とりわけ子育て世代は仕事に集中できる空間を自宅で確保するのが難しく、「オフィス通勤を前提とした経済活動に回帰するだろう」と語った。 それでも、多くの人がテレワークを経験したことで、今後はオフィスを選ぶ際の基準が変わりそうだという。大久保氏は、「立地が良くて新しければ良い物件とは必ずしもならず、より労働環境のクオリティ面が重視されそうだ」と語った。内装デザインや照明、快適な休憩スペースの有無、さらには従来さほど意識されなかった換気設備などへの関心が高まりそうだという。
CBRE/新型コロナウィルス - オフィステナント緊急アンケート調査
<ポイント>
・64%の回答者が、2020年下期に事業環境が悪化すると回答。ただし、テック企業を中心に11%の回答者は2020年も増収が続くと予想。製造業が悲観的、運輸・物流、小売、テクノロジー・通信はやや楽観的。
・運輸・物流のテナントを中心に、57%の回答者が、賃借の意思決定について影響は全くないと回答。一方、発生した主な影響は、移転計画の保留という回答が最多の16%。
・80%以上の回答者がオーナーとの協議を予定していないと回答。オーナーと協議した・協議する予定があるとの回答者のうち、その協議内容は賃料減額の希望が最も多かった。
・COVID-19感染拡大に伴う長期的な影響として、93%の回答者がより柔軟な働き方の採用が増えると回答。また、新たなBCP対策として79%の回答者がリモートワーキングをサポートするテクノロジーを導入すると回答。

最近コロナ禍により強引にテレワークが導入されている昨今、「対面の価値」、「物理的な空間の価値」とは何ぞや?ということを考えていますが、個人的にはコロナにより「一つの場所にみんなで集まる必要があることとないことがある」のを社会が経験してしまったこと、そしてBCPの重要性、人材確保の難度上昇、賃料コスト削減要請等々を理由に、オフィススペースが機能別に「アンバンドリング」される可能性があるのではないかと妄想しています。

アンバンドリングとはざっくり言えば、垂直的統合から水平的統合への移行、すなわち今までは単一の企業が単一の企業内部での機能によりサービス提供が完結していたものが、企業がドメインや機能ごとに分解され、そして機能特化した専門的技術をつなぐプラットフォームデザインが重要になることを意味しています。

例えば、よくフィンテックの文脈でよく出る以下のウェルズ・ファーゴのサイトの画像ですが、ウェルズ・ファーゴのWebサイト内に様々なフィンテック企業のテクノロジーが使われています。すなわち「ウェルズ・ファーゴ」という金融プラットフォームに、様々な機能に特化したフィンテックベンチャーが繋がることで、「いい感じのUX」を創出しているということです。

画像1

金融以外でも、ITベンダーへのシステムの外注、今まで自社内で賄われていた「物流」機能を3PL会社に置き換える、自社データセンターをクラウド化しAWSに置き換える、人事・総務機能が一部HR会社、FM会社に外注する…と外生化の動きが見られ、よき外注の方法(RFPの作り方や見積もりの仕方等)が重要になっています。

さて今後事業としてアンバンドルされていくかはともかくとして、今回コロナにより強制的に導入されたテレワークですが、テレワークは①データに基づくコミュニケーションについてはむしろ対面よりうまく機能するが、②答えの決まっていない、ゼロから作り出すようなコミュニケーションでは対面に劣る性質があると思います。

すなわちZOOMやTEAMSにより画面共有機能やチャット等を併用することで「このデータのこの部分ですが…」と①データを指差してデータに基づく議論ができること、この機能については対面より優れているのではないかと思います。
一方で、②ブレストのような人間の直感や経験に基づく、答えの存在していない議論については、対面のほうが優れているのではないかと思います。

①「答えが決まり作業がある程度アルゴリズム化された業務」(例えばすでに要件定義されWBSが作られ個々の作業に分解された場合のプログラミング作業等)については、テレワークを使ったリモートワークのほうがむしろ効果的ではないかと思います。よって既存業務をアンバンドル化し、①の性質の強い業務に特化・分解され、テレワークに移行する。すし詰め通勤が回避され、職住近接を必ずしもする必要すらなく、QOLが上がるかもしれない。

一方で、②「答えや手続きが一定でなく、経験・直感・人脈等に依存する業務」(「〇〇部の✕✕さんとちょっと話してみるわ」「✕✕さんに聞いたらわかるかも」的な人脈的な社内コミュニケーションとか、「コレあのときのに似てない?」とか経験に基づく)については、テレワークでできないことはないですが、まだ人間の脳内とTEAMSやZOOMというプラットフォームがシームレスにつながらないことから、一つの場所に集まる必要があるのではないかと思います(究極的には攻殻機動隊の電脳があればシームレスに繋がれるかもしれませんが…)。

つまり、①機能特化したテレワーク可能な領域と、②それらをつないでシナジーを発揮する対面コミュニケーションが重要な領域とに別れていくのではないかなと思います。つまり①「機能拠点」と②「コネクト拠点」。

従来はこれらが一つの物理的場所に存在することで対面コミュニケーションを容易ならしめてきたという面がありますが、これが①「チームズやメールで十全な部分」と②「対面のほうが効果的な部分」に分かれることで、①は自分の家か、近所のコワーキングステーション、または人材確保の容易性とオフィス賃料のトレードオフから、関東近郊や地方都市の中心部に移動(なんとなく宇都宮とか松本とか小田原のイメージ)。②は引き続き通勤スタイル、それも内部職員のアクセスのみならず外部とのコネクトを容易たらしめる大手町等の都心一等地。

以上、雑然としたノーエビデンスの妄想をしてみました。もしこういう世界になったら、美味しいものがあり自然がたくさんある地方の中核都市で①的な働き方したいです。給料は②のが高そうですが…

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