東海道新幹線7月~8月ダイヤ乱れの総括
はじめに
今夏、東海道新幹線にとっては厳しい運行を迫られる事象が相次いだ。7月はJR東海の問題に起因するものが多く発生したのに対し、8月は自然災害に起因するものが中心であったが、いずれも大規模な遅延と運休に繋がり利用者は大混乱に見舞われたのである。
私は毎日JR東海のWebサイトから列車走行位置等を参照し、各列車の遅延データと運休列車データを収集しているのだが、今回はこの2か月間で発生したダイヤ乱れについて整理総括しておきたい。
7月6日のぞみ12号車両故障
12時16分頃静岡駅~掛川駅間で停電が発生し、停電区間に停車していたのぞみ12号への給電を停止したところ送電再開が可能となった。使用可能な5号車のパンタグラフのみで運転を再開し、15時頃静岡駅で運転を打ち切った。乗客800名は後続の列車に乗り換え、下り線は15時10分に上り線は15時20分に運転を再開した。
・運休列車本数:33本
・特急料金払戻対象列車本数:54本
・最大遅延列車:のぞみ14号東京駅+210分着(新横浜駅手前で停車)
・10分以上遅延列車本数:77本
・影響人数:97,000人
7月16日(火)雨規制
未明からの雨により、始発から静岡駅~浜松駅間で速度を落として運転を行った。6時45分頃に通常運転に戻ったが、遅れが発生した。
・最大遅延列車:こだま808号東京駅+26分着
・10分以上遅延列車本数:4本
7月22日(月)保守用車衝突・脱線事故
3時37分頃三河安城駅~豊橋駅間上り線で、豊橋保守基地に移動中の砕石運搬車散布車(9両編成)が、停車していたマルチプルタイタンパ(1両)に衝突し双方の車両が脱線した。脱線車両の撤去ならびに軌道の復旧作業は22時頃まで続く見込みのため、20時過ぎに浜松駅~名古屋駅間で終日運休が発表された。
・運休列車本数:335本
・特急料金払戻対象列車本数:2本
・最大遅延列車:こだま765号浜松駅+145分着(新富士駅手前で停車)
・10分~119分遅延列車本数:74本
・影響人数:250,000人
7月27日(土)静岡県中部停電
15時45分頃、落雷により中部電力管内静岡県下で大規模停電が発生し、三島駅~静岡駅間で運転を見合わせた。16時に運転を再開したが、一部列車に遅れが発生した。
・最大遅延列車:ひかり510号東京駅+13分着
・10分以上遅延列車本数:2本
7月28日(日)非常停止ボタン扱い&車内急病人
☆12時6分頃、品川駅で非常停止ボタンが扱われた。
・最大遅延列車:のぞみ6号東京駅+10分、こだま710号東京駅+10分着
☆13時2分頃、新大阪駅で非常停止ボタンが扱われた。
・最大遅延列車:のぞみ343号新大阪駅+10分着
☆15時45分頃、名古屋駅~新横浜駅間走行中ののぞみ24号で車内急病人が発生し、新横浜駅での救護活動を行った。
・最大遅延列車:のぞみ24号東京駅+43分着
・10分以上遅延列車本数:9本
(☆印事象は、マスコミ発表なし。知人からの情報による。)
7月31日(水)豊橋駅信号故障
6時30分頃、豊橋駅構内で信号設備故障が発生し点検を行った。6時50分に運転を再開したが、一部列車に遅れが発生した。
・最大遅延列車:こだま763号新大阪駅+25分着
・10分以上遅延列車本数:5本
8月7日(水)雨規制
21時5分頃から東京駅~新横浜駅間で、21時7分頃から新富士駅~静岡駅間で降雨量が規制値に達したため運転を見合わせた。両区間とも22時36分までには運転を再開したが、遅れが発生した。
・最大遅延列車:のぞみ188号東京駅+71分着
・10分以上遅延列車本数:43本
8月8日(木)南海トラフ地震臨時情報発表
16時42分頃宮崎県日向灘沖を震源とする最大震度6弱を記録するマグニチュード7.1の地震が発生し、これに伴って19時15分に南海トラフ地震臨時情報が発表された。これを受けて東海道新幹線では三島駅~三河安城駅間で285㎞/hから230㎞/hへ速度を落として運転したため遅れが発生した。
・最大遅延列車:のぞみ50号東京駅+46分着
・10分以上遅延列車本数:187本
8月9日(金)神奈川県西部地震&南海トラフ地震臨時情報継続
19時57分頃神奈川県西部を震源とする最大震度5弱を記録するマグニチュード5.3の地震が発生し、これに伴って下りでは東京駅~三島駅間、上りでは浜松駅~東京駅間で運転を見合わせ、21時頃に運転を再開した。また南海トラフ地震臨時情報継続により列車遅延も発生している。
・特急料金払戻対象列車本数:94本
・最大遅延列車:のぞみ87号広島駅+199分着(横浜駅到着直前で停車)
・10分~119分遅延列車本数:114本
8月10日(土)南海トラフ地震臨時情報継続
南海トラフ地震臨時情報継続により列車遅延が発生している。
・最大遅延列車:のぞみ37号博多駅+30分着
・10分以上遅延列車本数:246本
8月11日(日)南海トラフ地震臨時情報継続
南海トラフ地震臨時情報継続により列車遅延が発生している。
・最大遅延列車:のぞみ63号広島駅+17分着
・10分以上遅延列車本数:31本
8月12日(月)南海トラフ地震臨時情報継続
南海トラフ地震臨時情報継続により列車遅延が発生している。
・最大遅延列車:のぞみ251号新大阪駅+16分着
・10分以上遅延列車本数:54本
8月13日(火)南海トラフ地震臨時情報継続
南海トラフ地震臨時情報継続により列車遅延が発生している。
・最大遅延列車:のぞみ64号東京駅+12分着
・10分以上遅延列車本数:8本
8月14日(水)南海トラフ地震臨時情報継続
南海トラフ地震臨時情報継続により列車遅延が発生している。
・最大遅延列車:のぞみ468号東京駅+15分着
・10分以上遅延列車本数:37本
8月15日(木)南海トラフ地震臨時情報継続・終了
南海トラフ地震臨時情報継続により列車遅延が発生したが、同日17時に情報は解除となった。
・最大遅延列車:のぞみ405号新大阪駅+12分着
・10分以上遅延列車本数:10本
8月16日(金)台風7号接近雨規制
台風7号が接近し沿線雨量計が規制値に達したため、東京駅~名古屋駅間で終日運転を見合わせ、名古屋駅~新大阪駅間で始発から34往復のこだまが運転された。しかしお盆のUターンラッシュと重なり、予定の変更を余儀なくされた旅行者で大混乱となった。
・運休列車本数:421本
・影響人数:305,000人
・北陸新幹線臨時列車:金沢駅⇒上野駅はくたか696号・698号2本
8月20日(火)のぞみ223号車両故障
10時30分頃、品川駅停車中ののぞみ223号でブレーキ故障が発生した。車両交換を行ったほか、後続列車が別線を使用して運転を行ったため列車に遅れが出た。
・最大遅延列車:のぞみ223号新大阪駅+54分着
・10分以上遅延列車本数:のぞみ333号とのぞみ25号の2本
8月21日(水)雨規制
18時40分頃から東京駅~新横浜駅間で、降雨量が規制値に達したため運転を見合わせた。19時27分頃には運転を再開したが遅れが発生した。
・最大遅延列車:のぞみ451号新大阪駅+60分着
・10分以上遅延列車本数:101本
8月23日(金)雨規制
10時20分頃から新富士駅~浜松駅間で、降雨量が規制値に達したため運転を見合わせた。10時30分頃には運転を再開したが遅れが発生した。
・最大遅延列車:こだま808号東京駅+12分着
・10分以上遅延列車本数:6本
8月25日(日)雨規制
17時55分頃から米原駅~新大阪駅間で、降雨量が規制値に達したため運転を見合わせた。18時18分頃には運転を再開したが遅れが発生した。
・最大遅延列車:のぞみ48号東京駅+66分着
・10分以上遅延列車本数:190本
8月27日(火)台風10号接近雨規制
台風10号が接近し沿線雨量計が規制値に達したため、8時5分から9時15分まで浜松駅~豊橋駅間、14時31分から14時50分と15時5分から16時15分まで静岡駅~浜松駅間、および16時41分から17時36分まで静岡駅~浜松駅間と断続的に運転を見合わせとなった。
・運休列車本数:24本
・特急料金払戻対象列車本数:82本
・最大遅延列車:のぞみ263号新大阪駅+220分着(静岡駅手前で停車)
・10分~119分遅延列車本数:209本
8月28日(水)台風10号接近雨規制
台風10号が接近し沿線雨量計が規制値に達したため、6時3分から6時15分まで静岡駅~豊橋駅間、20時59分から22時32分まで静岡駅~掛川駅間で運転を見合わせとなった。
・10分以上遅延列車本数:84本
8月29日(木)台風10号接近雨規制
台風10号が接近し沿線雨量計が規制値に達したため、13時11分から13時21分まで新横浜駅~熱海駅間、16時8分から静岡駅~掛川駅間で運転を見合わせとなった。しかし雨量規制値が下がらなかったため、18時50分に終日運転見合わせを決定、運行中の各列車は始発駅に戻されることとなった。
・運休列車本数:165本
・特急料金払戻対象列車本数:24本
・最大遅延列車:のぞみ98号豊橋駅+460分着(豊橋駅手前で停車・打切り)
・10分~119分遅延列車本数:46本
8月30日(金)台風10号接近雨規制
台風10号が接近し沿線雨量計が規制値に達したため、東京駅~名古屋駅間で終日運転を見合わせ、名古屋駅~新大阪駅間で10時前から26往復のこだまが運転された。
・運休列車本数:399本
・北陸新幹線臨時列車:敦賀駅⇒上野駅間はくたか696号1本
敦賀駅⇔東京駅間はくたか687・689・698号3本
8月31日(土)台風10号接近雨規制
台風10号が接近し沿線雨量計が規制値に達したため、東京駅~名古屋駅間で終日運転を見合わせ、名古屋駅~新大阪駅間で始発から34往復のこだまが設定された。しかし9時28分から12時7分までの間岐阜羽島駅~米原駅間で雨規制の影響により、こだま421・423・425・424・426・428号の6本が運休となった。一方東京駅~三島駅間では12時27分から運転を再開し、こだまが下り22本・上り21本が運転される予定であったが、こちらも雨規制により18時9分から18時34分まで運転を見合わせた。以降も降雨見込みが続くことから、最終発車時刻を繰り上げ東京駅発19時57分、三島駅発19時24分のこだまで運行を終了した。
・運休列車本数:355本
・北陸新幹線臨時列車:東京駅⇒敦賀駅間はくたか687号1本
敦賀駅⇔東京駅間かがやき526・535・544号3本
9月1日(日)台風10号接近雨規制
台風10号が接近し沿線雨量計が規制値に達したため、三島駅~名古屋駅間で終日運転を見合わせた。東京駅~三島駅間では10時27分より下り26本、上り25本のこだまが設定され、また名古屋駅~新大阪駅間では始発から34往復のこだまが設定され運転を開始した。しかし雨が小康状態となったため、18時頃より東京駅~新大阪駅間全線で運転を開始した。
・当日の全区間運転列車:下りのぞみ6本(他品川発・新横浜発1本あり)、こだま4本、上りのぞみ7本(他京都発1本あり)、こだま4本
・北陸新幹線臨時列車:東京駅⇔敦賀駅間はくたか687・689・696号3本
敦賀駅⇒上野駅間はくたか698号1本
おわりに
以上のような運行障害が発生していたのであったが、特に8月27日からの台風10号に起因する雨規制での運転見合わせにより、夏休み最終週にあって長期間にわたって旅行者は翻弄させられる形となった。9月2日以降も熱帯低気圧による降雨も予想されていることから、週明けからの経済活動への影響が懸念される。
※画像資料:フォトライブラリー(photolibrary https://www.photolibrary.jp/)