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はやぶさ・こまち6号分離事象を総括する

1.概況

 9月19日(木曜日)8時7分頃、東北新幹線古川~仙台駅間を時速315㎞で走行していたはやぶさ6号とこまち6号の連結部が外れ停車するという、前代未聞の事象が発生した。それぞれの車両は分離を感知し非常ブレーキが自動で掛ったことにより、はやぶさ6号は4.8㎞、こまち6号は4.6㎞走行し停車した。はやぶさ6号には乗客200名、こまち6号には乗客120名が乗車していたが怪我などはなかった。

2.運転再開までの対応

 事象発生後下りでは東京~盛岡間、上りでは新青森~東京間で運転を見合わせたが、10時半過ぎより北海道新幹線では新青森駅折返し、秋田新幹線では盛岡駅および山形新幹線では福島駅両地上ホーム折返し運転が行われた。これに並行して分離したはやぶさ6号およびこまち6号の車両点検が行われ、それぞれ異状のない確認が取れたことからはやぶさ6号は11時34分に運転を再開した。一方、切り離されたこまち6号には運転士が不在となったことから、現場近くに停車した下りはやぶさ・こまち1号に乗車し盛岡駅に移動中であった振替運転士の到着を待ったうえで12時7分に現場を発車した。それぞれ仙台駅に到着後運転が打ち切られ、乗客はやまびこ134号に乗り換えて13時ごろに東京駅方面へ向かった。その後はやぶさとこまちの車両は、新幹線総合車両センターに回送収容され、13時12分に全面運転再開となった。

3.影響

 この事象による影響は次の通りである。影響人員は45,000人。
 運休列車:下り53本+上り56本=計109本(はやぶさ㊦22本㊤19本、やまびこ㊦13本㊤14本、なすの㊦1本㊤2本、つばさ㊦6本㊤7本、こまち㊦11本㊤14本)
 特急料金払戻し対象列車(最大遅延):はやぶさ9本(8号仙台着351分遅れ)、やまびこ18本(51号盛岡着283分遅れ)、なすの6本(253号郡山着211分遅れ)、つばさ5本(127号仙台着242分遅れ:行先変更)、こまち5本(1号秋田着255分遅れ)の計44本
 上越・北陸新幹線最大遅延列車:とき341号新潟着70分遅れ、たにがわ414号東京着52分遅れ、かがやき514号東京着45分遅れ、はくたか572号東京着45分遅れ、あさま630号東京着43分遅れ
 10~119分遅延列車:はやぶさ20本、やまびこ32本、つばさ19本、こまち17本、なすの12本、とき21本、たにがわ9本、かがやき6本、はくたか6本、あさま9本
 臨時列車運転:つばさ227号(福島~山形間)、やまびこ547号(上野~盛岡間)、はやて551号・553号(盛岡~新青森間)、はやて555号(仙台~盛岡間)、はやて963号(仙台~新青森間)、快速ひたち9号・26号(いわき~仙台間)、快速いなほ5・10号(酒田~秋田間)

4.列車の運転形態

 秋田駅を6時9分に発車したこまち6号(E6系7両編成)は、6時39分に大曲駅に到着。ここでスイッチバック運転となるため、ホームで待機していた運転士と交代となり6時41分に発車。田沢湖線と盛岡駅アプローチ線を経由し、東北新幹線下り本線をまたいで盛岡駅11番線に入線し、盛岡新幹線車両センターから回送にて先着していたはやぶさ6号(E5系10両編成)と連結作業を行う。7時35分こまち6号のドアが開扉となりお客様は乗降すると同時にこまち6号の運転士は下車し、車内は秋田駅から乗務している車掌1名のみとなる。連結したはやぶさ・こまち6号は盛岡駅を7時37分に発車、途中仙台駅(8時16分着)と大宮駅(9時25分着)に停車し、終着東京駅には9時47分に到着する予定であった。

5.発生原因とマスコミ論調について

 事象発生直後よりテレビニュース等では有識者を交えて発生原因について「連結部の開錠信号が誤送信されたのではないか」と解説されていたが、9月26日のJR東日本の発表によりそれが裏付けられた。こまち側車両にある分割不能となる異常時の際に使用する”強制分割スイッチ”の端子付近に、車体製造の際発生したと思われる20㎜程の金属くずが発見されたとのこと。これが走行中に端子をショートさせ、開錠信号が発せられたという。
 有識者らは今回の走行中の分離事象は、はやぶさとこまち車両の追突の恐れがあり非常に危険であったと解説する論調が多数を占めていたが、それは的を射ていない。なぜなら車両が分離した際に前方のはやぶさと後方のこまちの非常ブレーキ力は、追突を防ぐために当初から後方の車両が強くなるように設計されていたのである。これはやまびことつばさ車両についても同様である。
 実際停車したはやぶさ車両の後端からこまち車両の先端まで約300mの間隔があり、今回の事象について国土交通省運輸局からの保全命令は出されず重大インシデントに該当しなかったことからも、安全性には問題がなかったことがご理解頂けるであろう。また運転士のいないこまち側の秋田統括センター車掌は車掌室にて異常を感知したのちすぐに運転席に移動し、緊急ブレーキ(下り線にやまびこ51号(E2系10両編成)が停車していたことから保護接地スイッチ※を扱ったと思われる)を作動させている。日頃の異常時訓練の賜物であり、社長表彰ものであろう。

画像資料:日本テレビ画像を撮影(9月20日)

6.20日(金曜日)~23日(月曜日)運行障害まとめ

 付録として掲題期間の主な運行障害を記録しておく。秋田・山形県内大雨による遅れのほか、山陽新幹線運転見合わせも含んでいる。
9月20日(金):大雨による
 つばさ2本全区間運休、つばさ12本区間運休、10分~119分遅延(はやぶさ1本、こまち2本、やまびこ2本、つばさ3本)
9月21日(土):大雨による
 区間運休(つばさ18本、こまち14本)、特急料金払い戻し対象(こまち21号秋田着144分遅延・23号秋田着151分遅延・55号秋田着157分遅延・19号秋田着147分遅延4本)、10分~119分遅延(はやぶさ4本、こまち21本、やまびこ3本、つばさ3本)
9月22日(日):大雨による
 つばさ4本全区間運休、つばさ27本区間運休、特急料金払い戻し対象(つばさ133号山形着226分遅延・135号山形着224分遅延2本)、10分~119分遅延(やまびこ1本、つばさ4本、なすの1本)
9月22日(日):11時40分神代駅構内人身事故
 こまち4号・27号2本区間運休、10分~119分遅延(当該こまち9号秋田着103分最大遅延他こまち3本)
9月23日(月):18時30分普通列車が刺巻~神代駅間シカと衝突
 10分~119分遅延(こまち35号秋田着66分最大遅延他こまち7本、はやぶさ2本)
9月23日(月):山陽新幹線広島~小倉間架線工事車両立ち往生
 運休列車75本(のぞみ32本、ひかり2本、こだま16本、みずほ9本、さくら15本、つばめ1本)、特急料金払い戻し対象(ひかり591号博多着225分遅れ1本)、10分~119分遅延(さくら543号広島着89分、こだま848号小倉着91分他94本)、運転再開11時36分、影響人員61,200人(はやこま分離事象より影響人員が多いんだな…)

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