
おしゃぶり一つで、また亀裂が走る
穏やかだった日々に戻った、小さな衝突
鬱が分かり、妻も理解してくれるようになったことで、しばらくは穏やかな日々が続いていた。
しかし、久しぶりに衝突した。
それも本当に 些細なこと で。
うちの夜のルーティン
我が家の 夜の流れ は、大体こんな感じだ。
私が夕方、子どもと一緒にお風呂に入る
そのあと、夕飯を食べる
妻が1人でお風呂に入る
その間に私が子どもを寝かしつける
30分ほど寝たら、ベッドで最後のミルクをあげて就寝
毎日が このルーティン通りにいくわけではない。
子どもがぐずったり、暴れたり。
かと思うと、急に寝たり。
そんな時、我が家では 「おしゃぶり」 を使っていた。
そして、今回は このおしゃぶりが原因で、また亀裂が走った。
「え…そっち咥えさせたの…?」
最近、新しいおしゃぶりを買い足して、メインで使うものが 2つ に増えた。
しかし、そのことで妻の中では「洗ったもの」と「今日使っているもの」というルールができていたらしい。
私は、それを知らなかった。
寝かしつけの途中で、子どもがなかなか寝ない。
そこで 私は、洗ってある清潔なおしゃぶりを手に取って、子どもに咥えさせた。
妻は少し 潔癖なところがある。
だから、「洗い立ての方がいいに決まってる」 と思っての行動だった。
しかし、妻が風呂から出るなり、
私を見て 「え…そっち咥えさせたの…?」
その すごく嫌そうな表情 に、一瞬、思考が止まる。
「また、知らないうちにルールができていた」
「違うの?」と聞く私。
どうやら 机の上に「今日使っていたおしゃぶり」が置いてあったらしい。
私は、それに気づかず、洗ってある方を使った。
妻は 「今度からおしゃぶりさせるなら、机の上にあるか注意して見て」 と、きつめに言った。
ショックだった。
ああ…また、知らないところでルールができていたんだ。と思いつつ
それでも、YESともNOとも取れない曖昧な声で 「あぁ」 とだけ返事した。
しかし、追い打ちをかけるように、
「洗い物、増えるんだけど。」
その一言が飛んできた。
「ため息つきたいのはこっちなんだけど」
ショックだった私は、思わず ため息をついた。
その瞬間、妻が 「ため息つきたいのはこっちなんだけど」 と被せるように言った。
あぁ、久しぶりにこの感じのやりとりだ。
もう 一人の冷静な自分 が、客観的にこの状況を見ている。
「おしゃぶり一つで、こんなことに…」
そう思う自分もいる。
でも、すぐに立ち直れたのは、鬱と向き合い、少しずつ回復に向かっているからだろう。
以前なら、このやりとりで心が完全に折れていた。
でも今は、気持ちを切り替えられるようになってきた。
些細なことから生まれる衝突。
それが積み重なると 「家の中が怖くなる」 こともある。
でも、前より少しだけ、うまく受け流せるようになった。
きっと、それが回復の兆しなのかもしれない。