サーフキャンプで朝食を Ⅰ
ショアブレイクに乗り上げ、波が泡になり海へ潜っていく。クリステンソンのロングフィッシュを片手に熱い砂浜を歩く。
ベースキャンプを見ると木の間に渡したカレが風をはらんでいる。彼女がその下で何かを焼いているのか、煙が上がっている。
ボードをたてかけてスキレットをのぞくと、ベーコンが脂をはねあげていた。彼女にいわせれば、家の伝統でベーコンは焼きすぎるぐらい焼いて、カリカリにするそうだ。
バードウェルのタオルで体を拭いて、流木に座る。木陰に吹くオフショアは乾いている。ベーコンは焼きあがり、残った脂で彼女は目玉焼きを焼きはじめた。黄身に薄白く膜が張りだしたところで、多いくらいの粗挽きコショウと岩塩を削りながらふりかける。少しの水を入れ、フタをする。彼女が着ていた赤のリネンシャツが潮風に揺れている。
スキレットを火から外し、ドイツパンをナイフで切り出して焼いていく。焦げ目がまだらについたところで、バターをしみ込ませるように時間をかけてナイフでぬっている。青い沖に横一線にセットが張りだし、さっきまでのラウンドより長い間隔でやってきた。黄色い蝶が目の前をはねていく。
彼女が渡してくれたパンに、ボウルからレタスとトマトをしいて目玉焼きとベーコンをフォークでのせた。もう一枚パンではさみかぶりついた。
はじめに黄身がはじけたあとからベーコンがかさなり、パンのサクサクとバターの香りが口の中にひろがる。レタスがシャキシャキと青い風を吹かせて、トマトが全体をつなぎ合わせて統率をとっている。
パンからこぼれ手首にしたたるものにもかまわず、かぶりつく。彼女は手首の青いターコイズに黄身がしたたりついていることにもかまわずにパンを口に入れている。
コーヒーをひと口、するとベーコンとバターの香りが立ってくる。最後のかけらを口に入れる、このサンドはレタスがメインでほかのパンやベーコンは引き立てる脇役に感じてしまう。
ターコイズのチューブからは細いスピッツが吹き出している。次のラウンドでは、小さなチューブをねらえそうだ。