バイオハザード7 レビュー 『バイオらしさ』への執着は是か非か
PSVRでバイオハザード7をプレイしたので雑感。
このシリーズ自体にはほぼ愛着はなく、しっかりとプレイしたのは傑作と名高い1リメイク(GC)と4(GC)程度。
結論としては、怖かった。そしてそれと同時に拍子抜けするタイトルでもあった。
というのも、本作はナンバリングタイトルとしては初の一人称視点を採用しているとの触れ込みだったため、私としては4のアクションADV路線、またはアムネシアAmnesia: The Dark Descentのような一人称ホラーを想像していたからだ。
しかし本作の実態はどうだったかというと、なんとまあ初代バイオハザードのほぼ忠実な一人称リメイクだったのだ。
※以下の解説は全てVRモードでのプレイに基づいている。
移動の方向転換は30°ずつの小刻みさで、スピーディな後退は不可。4で見られた、周辺環境を利用した戦術的な戦闘は消失し、にじり寄ってくる敵にまるで効かないハンドガンを何発も撃ち込む。
そして、個人所有とは思えない広大な屋敷の中を右往左往し、敷地中から集めたレリーフを壁の仕掛けにはめ込んで仕掛けドアを開ける(おい、冗談だろ?)。
ショットガン取得や一部ロケーションの相似も含めてこれはおそらく意図的で、初代の実質的なリメイクを作ろうというのが端からのコンセプトなのだろう。確かにそれは成功している。だが何故あえて?
ここからは私の完全な妄想だが、これはバイオハザードというゲームシステムに対する彼らなりの意地ではないだろうか。
つまり、バイオハザードのシステム、90年代に全盛を迎え、そして今となっては批判され、克服され、そして嘲笑されきってしまった、この老いぼれ扱いのシステムでもこれだけ怖くできるんだ、という意地だ。
時計の針を回して隠し扉?三つのレリーフを壁の窪みにはめ込んでドアが開く?壁の暗号通りにスイッチを押すと隠し階段?ああ、勘弁してくれ!
おそらく今のゲーム文法ならこれは絶対に作らないシステムだが、彼らは敢えて拘った。そして出来上がったのが、視点が一人称で、VRに対応しただけの初代バイオハザードだ。
そして視点が一人称で、VRに対応しただけの初代バイオハザードは、怖かった。
こうしてプレイすると、バイオハザード特有のシステムつまり、遅い移動や不自由な方向転換、弱いハンドガンは一人称VRでのホラー演出に見事にマッチングしている。
リッチなグラフィックで見事に具現化された、アメリカ南部のクソ田舎ならではの、不衛生で、おぞましく、排他的な気味悪さに満ちたベイカー邸(ああ、言っちまえよ!『悪魔のいけにえ』だって!)はまさしく歩くだけでも嫌な場所だ。
ドアの向こうの暗闇、曲がり角の先の死角、後ろから不意に聞こえてくる物音、その全てが恐ろしく、家で一人の時にはこのゲームをやろうとは決して思えない。
しかし、バイオの長所がVRというテクノロジーによって再生した一方で、バイオの欠点は克服されただろうか?
答えはおそらく否だ。
本作は、シリーズの伝統的な欠点もそっくりそのまま引き継いでいる。
つまり、敵が出てくると却って安心してしまう。
ショットガンが頼り甲斐があり過ぎる(VR照準で怪物の首を吹き飛ばすのは最高に楽しい。だが怖くはない)。あらゆるゲームにおいてショットガンは最高だが、このゲームのショットガンはメキシコの荒野で鍛えられた真の男だ。
馬鹿げた謎解きは恐怖から意識を逸らしてしまう。
中盤以降内容がいつものウイルス騒動(tウイルスだろうがgウイルスだろうがプラーガだろうがなんでもいい)に収束するにつれて全く怖くなくなる。
巨大ボス?ハッ!俺のグレネードを喰らいな!(もちろん楽しいは楽しい)
このゲームは確かに恐ろしい。しかしそれは、バイオハザードのポテンシャルを示したというより、VRホラーのポテンシャルを示したということではないだろうか?
彼らがあれだけ拘ったバイオらしさは、少なくともその半分は怖さにも楽しさにも良い結果をもたらしていない。
バイオハザードだから怖いではなく、バイオハザードなのに怖いになってしまっているのが、このゲーム最大の難点だ。
しかしそれでも良いのかもしれない。もしこのグラフィック水準や卓越した雰囲気づくりで、零やAmnesiaのようなVRホラーを作られたとしたら。
私がレビューするのはそのゲームではなく、使い心地とコストパフォーマンスの良い大人用紙おむつになるだろうから。
<補遺>
このゲームのショットガンはマジに最高すぎる。タフガイの極みだ。
システムとの相性が良すぎるのだ。
・敵が遠隔攻撃を殆ど持たないので、近寄ってくるので短射程が無意味
・一度に出てくる敵が精々2体までなのでリロード問題が無意味
・ヘッドショットで即死
・狙いが外れても吹っ飛ばし&ダウン効果で即無力化
ゲームのあらゆる要素がショットガンの強さを引き立てるために作られているかのようだ。
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