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夏の少年

Don Henley。
言わずと知れたEAGLESのメイン・ボーカリストですね。
いつまでたっても最新のオリジナル・アルバムが待たれるアーティストです。

夏はサザン!という方も大勢おられるとは思いますが、
僕は毎年この曲で夏を始めます。

Don Henley - The Boys of Summer

僕には超お気に入りの声の持ち主の黄金のカルテットがいましてね。
一人はEric Clapton。
もう一人はPeter Gabriel。
さらにMichael McDonald。
そしてもう一人がこのDon Henleyです。
この4人の声は僕的にどれも何の引っかかりもない完璧なフィット感。
僕にとってこの4人を越える声の持ち主にはなかなか出会えませんでした。
みんな素晴らしいボーカリストだと思うんですが、
ことDon Henleyにおいては、実は最も過小評価されてるボーカリストの一人だと言ってもいいでしょう。
でもそのボーカリストとしての実力はかなりのもの。
棒歌いなどと陰口を叩く輩には、この天性の「練り」に気がつかないのでしょう。笑

世代や時代。
あるいはアメリカや世界の光と影を、
深い洞察やシニカルな見識で皮肉ったり、
限りない愛への渇望を詩にする才能。
そしてそれを乾いたトーンで歌い上げるあの声という武器。
最強無敵のアーティストの一人と言わざるを得ません。

Don Henley - The End of The Innocence

Bruce Hornsbyのピアノで始まる彼との共作でもあるこの大ヒット曲。
『The End of The Innocence』で歌われる純真や無垢への決別。
そして現実の苦しい選択や葛藤を越えた決別したものへの望郷。
先の『The Boys of Summer』もそうなのですが、
彼の創作のテーマというか傾向がそこに横たわっています。
傷ついたアメリカは純真だった時代を超えて存在出来るか。
あの『Hotel California』で詠われた詩の衝撃から現在に至るまで、彼の詩を読めば、彼が現代の優れた詩人の一人であると強く感じます。
『Hotel California』で示したその世界観は『The End of The Innocence』でひとつの完成を見せましたが、実は『The Boys of Summer』こそが彼の想いへの原点回帰であるような気がしてならないのです。

EAGLESの再結成もあり、2007年に約28年ぶりにリリースされたスタジオレコーディングのアルバム『Long Road Out of Eden』でも、実は彼の世界観は何一つ変わらないものでしたしね。
憂い。
彼はいつもアメリカを憂いているのです。

Don Henley - New York Minute

かといって彼は「アメリカの良心」でいようとは思っていません。
問題提起や政治的な活動よりも、
創作こそが彼の「Eden」であり
「Innocence」であり
「Summer」なのですね。
あの夏の少年。
失われた過去の何か。
あの少年こそがDon Henley、彼そのものなのですね。
だからこそ彼は時代が失ってきたものを歌い続けるのでしょう。
永遠の夏を夢見て。
絶望もお祭り騒ぎもないフラットなあのハスキー・ヴォイスで。

15年ぶりのスタジオ録音アルバム「Cass County(2015年)」でも、相変わらずの素晴らしいソングライティング&ボーカルを聴かせてくれたDon Henley。

多くのことを祈ったりしません。
ただただ、目の前のことを祈ります。
どうかどうか雨が降りますように。。。。。

彼の観念的で象徴的な詩の世界は健在でした。w

****

2016年、結成メンバーのGlenn Freyが死去。Don Henleyがオリジナル・EAGLESの解散を正式に宣言しました。
が、翌年、Glenn Freyの息子Deacon Freyが参加することが決定し、再びライブ活動を開始。
今年の10月16日にリリースされた新生EAGLESの最新のライヴ・アルバム『Live From the Forum MMXVIII』(2018年にロスアンゼルスにあるフォーラムというアリーナで行われたライブを収録)では、Deacon Freyと共に新生EAGLESの新メンバーとしてVince Gillが登場しています。先行配信された『Lyin' Eyes』をはじめ、Glenn Freyの代わりにその歌声を披露してくれていますね。
そして、当アルバムではDon Henleyの『The Boys of Summer』も演奏されています。w

新生EAGLESのライブ。真ん中の赤いアコギが息子のDeaconですね。お父さん似でイケメンです!

何はともあれ、新生EAGLES、そしてソロと、まだまだ現役で頑張ってもらいたいアーティストの1人です。



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