佐藤尚之『ファンベース』を読んでみた~ALL REVIEWS友の会オンライン読書会報告~
ALL REVIEWS友の会の主な活動は、月2回の講演会形式の「特別対談」です。フィクションでは豊崎由美さん、ノンフィクションでは鹿島茂さんがホストとなり、ゲストとともに、当月の課題本について語りあう対談を会員が聴く形式。新しい知識を得たい人には最適の形式ですが、自分の考えや感想を述べる機会はあまりありません。
そこで、有志で読書会を開催してみました。課題本は佐藤尚之『ファンベースー支持され、愛され、長く売れ続けるために―』。
時節柄、読書会はオンラインで行われました。
ALL REVIEWS友の会を持続的に発展させていくためには?
今回の課題本は毎月の課題本の小説や硬派のノンフィクションとはちょっと毛色の違った実用書。この本を選んだのは、たまたまKindleでセールをやっていた(笑)ということもありますが、何より「どうやって友の会を持続的に発展させていけば良いのか」という問題意識があったから。
読書会は、課題本のテーマ「ファンベース」の考え方をどのように友の会に応用させていったら良いのかという話が中心となりました。
話題の一部をご紹介します。
校正ボランティアには達成感がある
本書で提示された「(ファンを)「身内」として扱い、共に価値を上げていく」。このあたりが話題のポイントとなりました。
書評サイトALL REVIEWSを支えるグループは二つあります。一つは「サポートスタッフ」。こちらは完全なボランティアグループで、ALL REVIEWSの書評の校正や入稿をお手伝いをしています。活動しているメンバーは、未校正の原稿を読んだり、校正した原稿がサイトにアップされるという「達成感」があります。サポートスタッフはALL REVIEWSのサイトの構築に直にかかわっており「身内」として活動している実感もあります。
サポートスタッフは、「ファン」をうまく生かした仕組みといえそうです。
「友の会」の達成感とは?
一方、会員から会費を受け取る「友の会」。冒頭でご説明したとおり、月2回の対談鑑賞の他、会員は自ら企画を提案することもできます。過去には、書評家と回る書店ツアー、奄美大島での高校生向けの講演会実施などの企画が実現しました。
一方、企画を立てる会員が限られていることが課題です。企画を立てたい人は多いものの、自分でやりきるためには、仕事や家事で忙しい人にはハードルが高いという意見が出ました。
「文字起こし」は達成感がある
参加のハードルが低く、かつ「達成感」があった事例として挙げられたのが「文字起こし」です。過去には、有志の会員が参加して対談の「文字起こし」を行いました。会員のプロの編集者が最終的にチェックすることから、文字起こしをすると同時に「プロの仕事」を垣間見ることができるのも「文字起こし」の魅力です。
以下は会員が文字起こしに参加した一例です。
参加のハードルが低く、達成感のある企画を打っていくこと。ファンの満足度を高めるにはこのあたりが「肝」となるのでは、という話が出たところで読書会は和やかに終わりました。
【この記事を書いた人:くるくる】
【「ALL REVIEWS 友の会」とは】
書評アーカイブサイトALL REVIEWSのファンクラブ。「進みながら強くなる」を合言葉に、右肩下がりの出版業界を「書評を切り口にしてどう盛り上げていけるか」を考えて行動したり(しなかったり)する、ゆるい集まりです。
入会すると、日本を代表する書評家、鹿島茂さんと豊崎由美さんのお二人がパーソナリティーをつとめる、書評YouTube番組を視聴できます。
友の会会員同士の交流は、FacebookグループやSlackで、また、Twitter/noteで、会員有志が読書好きにうれしい情報を日々発信しています。
友の会会員の立案企画として「書評家と行く書店ツアー」も、フランスのコミック<バンド・デシネ>をテーマとしたレアなトークイベントや、関西エリアでの出張イベント等が、続々と実現しています。リアルでの交流スペースの創出や、出版の構想も。
本が読まれない時代を嘆くだけではダメだと思う方、ぜひご参加ください
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