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エッセイ-夜行バス

大学生になり、実家を出てから、旅行をするときは新幹線ではなく夜行バスを使うようになった。
元来旅行をするのは好きだったが、都内で一人暮らし、主な収入源はバイトとなると、おいそれと新幹線には乗ることはできず、もっぱら夜行バスを利用するようになった。

使い始めたころは夜行バスに良いイメージがなかったが、乗ってみると自分が案外夜行バスが好きなことに気づいた。

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バスタ新宿から深夜にバスに乗り込み、自分の席に座る。
徐々に周りの人が寝静まっていき、
一人だけ取り残された気がする感覚、
夜を独り占めしている感覚、
カーテンの外で景色が流れていく様子を想像すると
腹の底がうずうずしてしまう。
子どもの頃、こっそり夜更かしをして布団の中で本を読んでいた時のような、
いけないことをしている感覚が思い起こされる。

そして、バスを降り立つと知らない場所についている感覚、
徐々に降り立った地に、東京に取り残されていた自分が追い付いてくる感覚が好きだ

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