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人間が覚えられるのは150人説

先日、6年生の男の子とこんな会話をしました。
「みんなと出会って3年目なのに、まだ名前を間違えちゃうことあるんだよね。ほんとごめんね。」

「人間が覚えられるのは、150人らしいです。理科の先生が言っていました。」

英語専科の悩みの一つは、児童の名前がすぐ出てこなかったり、名前を間違えてしまったりすることです。早く覚えなくてはと日々思いながら過ごしていますが、覚えた頃には卒業してしまい、常になかなか覚えられないと感じてきました。3年生から6年生まで約500人を指導しているので、その子のことや人間関係の把握など、児童理解が乏しいまま授業をしなくてはならないことにもどかしさを感じていました。

子どもからみれば、先生は自分のことをわかってくれているに違いないと思っていることでしょう。

もちろん、とりわけ配慮の必要な児童については、理解できていると思いますが、指導する児童全員のことをわかっているとは自信をもって言えません。私はそのことをずっと申し訳なく思ってきました。

子どもは、大人ではありませんから、教師の児童理解や教師からの適切な声かけが、児童との関係づくりに重要になります。英語専科になって6年目になりますが、現在も指導する子どもたちの全員の名前を即座に呼ぶという基本的なことができていない現状にあります。

冒頭の児童との会話の後、確かに、150人程度なら、名前を瞬時に思い出したり、関係を築いたりできる気がすると経験的に感じました。そこで、人間が覚えられるのは150人という説は本当なのか、帰りの電車で調べてみました。

すると、
「ヒトが社会のなかで互いを理解し合い、複雑な関係を維持できる集団の大きさの限界を示す数字で、150人である。」
とあり、これを「ダンバー数」ということでした。知り合いであり、かつ、社会的接触を保持している関係の人の数であるそうです。
つまり、覚えるだけなら150人以上覚えられるかもしれませんが、互いに理解し合い複雑な関係を維持するには、150人が限界ということだそうです。

小学校英語専科は、そもそも担当する時数がとても多いです。同じ専科教員でも、英語専科は、他の専科教員より、年間で200時間多いこともありました。1週間月曜から金曜まで大体25コマとして、8週分、つまり2ヶ月間分授業が多いことになります。夏休みや冬休みを勘定にいれず、1年間を12ヶ月として考えても、月に16.6時間およそ、17時間多く授業をしなくてはなりません。さらに指導する子どもたちも1学年分、約120名多いのです。中学校、高校の教師が指導する人数を考えてみても4学年、約500名を指導していることはないのではないかと思います。

また、英語専科の時数や指導する人数の多さについて、校内においても理解されていないため、英語専科教員が1人で困難を抱えていることもあるようです。

わたしは英語専科創設の一期生なので、当初はこのような課題に気が付きませんでした。目の前の子どもたちのために全力を注いでいましたし、そんなに集中して英語の授業ができるなんて嬉しい!と思っていました。しかし、自分自身が英語専科教員として、5年間以上指導をしてみて、約500名は、効果的な指導ができる人数ではないと感じています。数値では、なんとかなるように見えても、教師も児童も人間ですので、ロボットのようにはいきません。ラポール形成が授業の土台であることは言うまでもありません。

英語専科教員が効果的に指導力を発揮できるようにすることも、子どもたちの英語力の向上に必要であると考えています。


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