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風の時代の行く末を見せてくれたひと。

目に見えないものが尊重される風の時代は、「愛」で行動する人が増え調和の世界になっていくと言われている。

ホントにそんな時代に入ったんだなぁと実感させられたのが、ディズニープラスで独占配信中の真田広之主演ドラマ『SHOGUN 将軍』が高い評価を得たことだ。

米国テレビ界の “アカデミー賞” ともいわれる最高峰の賞「第76回エミー賞®」で『SHOGUN 将軍』は、作品賞・主演男優賞・主演女優賞をはじめとしたエミー賞史上最多18部門を制覇。
うち日本人受賞者が9名というのも史上最多で、この作品に与えられた賞賛すべてが歴史的快挙という結果をもたらした。

この成果はまさに真田氏の「愛」の行動によるものだと強く感じた。


彼が渡米したのは映画『ラストサムライ』出演の2003年以降。常々海外の映画で日本文化が誤った描き方をされていることに違和感を覚えていた真田氏は、この映画出演をきっかけに「今後自分が関わる映画においては “正しい日本のあり方” を伝えていこう」と決意する。

その熱意と信念はこの20年あまりの間変わることなく、映画製作の様々な場面でできる限りアドバイスをしてきたという。

米国の映画製作界では裏方の仕事が細分化されており、その道のプロが多数存在する。その中で彼の行動はときに越権行為とみなされることもあり(彼へのオファーはあくまでも俳優であってアドバイザーではないため)、製作スタッフのプライドを傷つけることなくそれでいて正しいことを伝えるために心を砕くことも多かったと話している。

普通に考えれば面倒なことだ。

仕事としてギャランティをもらうワケでなし。
コミニュケーションもままならない英語で、しかも白人主義のアメリカ映画業界でマイノリティーの立場で。

自分ことだけを考えるのであれば、求められた役柄を演じることに集中し、俳優としてのキャリアを積むことに専念した方がよほどラクなはずだ。
それでも彼は自分が出演する映画で日本文化が描かれるシーンがある場合は、出演がない日でも現場に出向き、助言することを厭わなかったという。

その熱心さに監督のみならずスタッフや出演者といった多くの映画関係者が胸打たれ、彼は20数年かけて米国映画の世界に受け入れられていった。

なぜそこまでできたのか?

その理由が真田氏のコメントに示されている。


これまで時代劇を継承して支えてきてくださった全ての方々、そして監督や諸先生方に心よりお礼申しあげます。

あなた方から受け継いだ情熱と夢は海を渡り国境を超えました。

エミー賞作品賞受賞時、英語でスピーチをした後、日本語で


そこには、いち俳優としてではなく「アメリカで日本人として何ができるのか」という高い視座と、「長いキャリアの中でこれまで先輩たちに与えてもらったものを今度は自分が海外へ向けてどう貢献できるのか」といった恩送りの姿勢(愛)があった。

そんな思いで真摯に映画製作に向き合ってきた彼の功績が、今回の受賞につながったのだ。

授賞式で壇上に登り英語でスピーチを述べた後、胸に迫る思いを抑えながら、日本にいる先輩に向けてひと言ひと言日本語で話す彼の姿が印象的だった。

そしてこのドラマを歴史的快挙に導いたのにはもうひとつ理由がある。

ドラマの主人公である徳川虎永を真田氏が演じた点だ。

虎永という人物は、己の利益のことしか考えない大老衆に追い込まれながらも、日本を太平の世に導くために果敢に戦った武将の役。

どれだけ窮地に追い込まれようとも慎重に策を練り、平和な世の中にするためにしぶとく生き抜く虎永の姿は、アウェイの地に乗り込み、日本文化を伝えることに尽力をつくした真田氏の生きざまそのものだ。

そんな彼が演じるからこそ虎永に命が吹き込まれ、観る者を魅了した。

ドラマが進むにつれて増していく虎永の圧倒的存在感。
それは真田氏の映画製作における情熱を彷彿とさせ、その熱量が画面から溢れ出ていた。

目に見えないそれらの思いを観客はしっかりキャッチしたのだと思う。
だから多くの人が絶賛し今回の運びになった。

『SHOGUN 将軍』の成功は、風の時代の幕開けにすぎない。

真田氏がスピーチで語ったようにこれからはみながひとつになる時代がやってくる。


本作は東と西が(壁を越えて)出会う夢のプロジェクトでした。
とても難しいプロジェクトでしたが、全員が一致団結しました。

私たちは全員で奇跡を作る事ができました。

そして我々はともにより良い未来を作ることができます。
本当にありがとう!

エミー賞主演男優賞受賞時のコメント


そこには彼のように愛をもって時代を先導する人が現れ、導かれるようにしてそちらへと方向転換していくのだ。

これは夢ではなく本当にそうなる。

この作品の歴史的成功が、私たちの行く末をひと足お先に見せてくれたのだと感じている。

とてもよい作品です。
未見の方はぜひ。

今日も読んでくださりありがとうございます。
また書きます。

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