見出し画像

【アトピー性皮膚炎】子供でも使えるプロトピック軟膏

いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。

アトピー性皮膚炎の塗り薬で
小さい子に使える薬はないのか?
という質問をよく頂きます。

今回はプロトピック軟膏
の小児での試験について解説していきます。
※プロトピックの特徴は
こちらのブログで解説しているので省略します。

1.小児の試験データ一覧

小児での試験は下記3つの試験があります。

第Ⅲ相二重盲検比較試験
長期観察試験
国内製造販売後長期観察調査

第Ⅲ相試験や長期観察試験は
日本で発売する前に
この薬が効くのか?安全なのか?
確認するための試験となっています。

一方で
国内製造販売後長期観察調査は
日本で発売した後に
実際に現場の先生から
プロトピックを評価した調査結果です。

特定使用成績調査とも言われ
長期使用に関する調査
小児科調査
治験追跡調査
小児科追跡調査(皮膚がん等の悪性腫瘍)
の4つを実施しております。

今回は小さい子でも安全に使える塗り薬はないのか?
とよくご質問頂くので
今回は➁の小児科調査を見ていきます。

画像1

2.小児科調査の試験デザイン

本試験では小児科を受診する
小児アトピー性皮膚炎患者の
安全性・有効性・適正使用情報を
検出又は確認する試験です。

2歳以上16歳未満のアトピー性皮膚炎患者で
12週間、プロトピック軟膏0.03%を
使用している患者が対象です。

症例数は1084例を集めましたが
脱落・判定不能事例を除くと
最終的には959例の症例を解析しました。

かなりの人数を集めていますので
信頼性の高い情報とも言えますね。

一方で
3か月でどこまで改善するのか?
は気になるところですね。

画像2

3.試験結果

本試験では安全性と有効性を見ています。

3-1.副作用

副作用の発現率は全体で7.0%
主な副作用は

適用部位疼痛:3.0%
適用部位そう痒感:1.9%
適用部位熱感:0.7%
膿痂疹:0.9%

過去のブログでも
プロトピックの刺激感について解説していきましたが
上位の副作用はそれに近いものでしょうか。

また、免疫を抑制する薬なので
膿痂疹が起きる可能性も納得ですね。

ただ、5%を超える副作用は
今回の調査ではなかったので
安全性が比較的高い薬であると
言えるのではないでしょうか。

3-2.有効性

有効性は
使用開始時の重症度別に
皮膚症状とそう痒の変化を見ています。

使用開始時の程度別での皮膚症状の変化(12週後又は中止時)

少しわかりにくいグラフですが
試験開始時に軽症だった人が
症状がなくなった人が57.4%

試験開始時に中等症だった人が
軽症、もしくは症状がなくなった人が86.1%

試験開始時に重症だった人が
中等症、軽症、もしくは症状がなくなった人が93%

また、全体の81.8%
1段階以上症状を抑えられる可能性がある
という試験結果になりました。

使用開始時の程度別でのそう痒の程度の変化(12週後又は中止時)

そう痒の程度も同じような試験結果となっています。

全体の82.8%
1段階以上症状を抑えられる可能性がある
という試験結果になりました。


4.まとめ

今回はプロトピック軟膏の
小児での安全性と有効性を見ていきました。

副作用発現率も5%以下と低く
有効性も80%を超えるという評価でした。

プロトピックの場合
過去のBlogでも解説しましたが
顔にも使えるので使い勝手も良いですよね。

3か月で本当に安全と言えるのか?
副腎への影響等
もう少し長期での試験も確認したいところですね。

ステロイドの抵抗感がある人には
良い薬かもしれませんね。

<参考文献>
製造販売後調査結果概要[20211119-1001]