【1分で解説】プロトピックの赤み、熱さはどうして起こるの?
いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。
プロトピック軟膏について
皆さんはご存知でしょうか。
1999年に発売され長い間
皮膚科領域で使用されている薬です。
プロトピックは
ステロイドではないのですが
抗炎症作用を持つ薬として
注目されてきました。
ただ、プロトピックは
副作用で皮膚刺激が起こる
と現場の先生方やメーカーから
話を聞きます。
今回は中原剛士先生らによる
プロトピック軟膏と
保湿剤の併用試験を基に
皮膚刺激のメカニズムについて
勉強していこうと思います。
1.ステロイド比較試験振り返り
前回の記事ではプロトピック軟膏が
ステロイドのストロングクラスと
同等程度の改善の可能性があること
を学びました。
一方で皮膚刺激の副作用についても
使用時に注意していく必要があります。
今回の試験では
この皮膚刺激がポイントとなっています。
2.保湿剤併用試験
皮脂欠乏症を伴う
アトピー性皮膚炎の患者17例に対して
保湿剤併用時に
プロトピック軟膏の有効性や刺激に
どのくらい影響するかを評価しています。
プロトピック単剤群と保湿剤併用群で
有効性と皮膚刺激に対して
有意差はないという結果でした。
保湿剤併用時の方が
改善する可能性が高そうですが
2週間程度では大差はないのですね。
17例で有効性を判断するのも
難しいところですね。
一方で
皮膚刺激の副作用は
17例全てで発現していました。
皮膚刺激が100%と
かなり高い発現率ですね。
3.なぜ刺激感が起きるのか?
実はプロトピックには
唐辛子の成分であるカプサイシン
と同様の作用を持つ成分が含有されているんです。
薬剤にトウガラシ!?
なんて思う方もいらっしゃるかと思います。
しかし、温湿布などでも
カプサイシンが含有しています。
カプサイシンは皮膚から吸収されると
血行が良くなり、温かみを感じる
仕組みとなっています。
プロトピック軟膏では
このカプサイシンと同様に
知覚神経のTRPV1に作用し
サブスタンスPなどの神経ペプチドを遊離させ
肥満細胞の脱顆粒が起こることで
刺激感が生じると考えられています。
ただ、TRPV1の脱感作と
神経ペプチドの枯渇により
徐々に刺激感は軽減します。
プロトピック軟膏使用時
1週間程度で皮膚刺激が
多い理由がわかりましたね。
4.刺激感への対策
顔面と比べると頸部、四肢等では
刺激を感じにくいそうです。
最初は四肢から塗り始めて
顔面への使用は刺激を
あまり感じなくなってからが
よさそうですね。以下の対策もあるそうです。
5.いつき博士の考察
今回はプロトピック軟膏の
皮膚刺激について勉強していきました。
唐辛子に含まれるカプサイシンと
同様の作用を示すことから
刺激感が起こるんですね。
ただ、
辛いものも食べていくうちに
慣れるのと一緒で
プロトピックの刺激も
最初は慣れが必要みたいですね。
とは言っても、
刺激が起きない可能性もありますので
使用の際に
極端に刺激を恐れることもないのかなと思います。