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Ghost mode(ゴーストモード)のすゝめ

Ghost Modeとは?

最近、海外のYouTubeで頻繁に耳にする「Ghost Mode」というフレーズ。文字通り「お化けのように消えるモード」を意味し、“Ghosting”(急に連絡を絶つ行動)から派生した言葉のようだ。しかし、Ghost Modeの本質は単なる「消える」ことではない。

私が考えるGhost Modeの定義は、「世の中のノイズ(雑音)を遮断し、自分がやるべきことに集中すること」 である。

一時期話題になった「Monk Mode」と似ているようで異なる点もある。Monk Modeは修行僧のように瞑想や煩悩の抑制、マインドフルネスなどに重点を置くが、Ghost Modeは、「自分の時間を最優先にして、やるべきことにひたすら集中すること」 にフォーカスしている。

なぜ今Ghost Modeが必要なのか?

振り返ると、私自身も他人に振り回され、自分のやりたいことを後回しにしてしまった経験が多くある。例えば、会社を創業したとき、本当は教育事業をやりたかったが、共同経営者に人材事業を持ち掛けられた結果、時間もお金も無駄にしてしまった。
他にもやりたくないプロジェクトや行きたくない飲み会に仕方なく参加したり、自分が本当にやりたい気持ちを無視して、他人に説得されたり、暗黙のルールに従ったりして、自分の意図とは違うことをした経験が多くある。これは他人のせいではなく、私自身のオーナーシップが不足した結果だと反省している。

今の時代は情報過多の社会。迷惑電話、スパムメール、フェイク動画、フェイクニュースから個別化されたAIマーケティングなど、多くの誘惑やトラップが溢れている。また、SNSで見せつけられる他人の成功やライフスタイルに踊らされ、自分の目的を見失う人も多い。本来であれば成功の定義は人それぞれであり、他人の基準で測るべきではないはずなのに。

そんなGhost Modeは、単に雑音を遮断して集中するだけではなく、「本当に必要なもの、価値を感じるものを明確にし、自分の時間を取り戻す旅」 である。Ghost Modeを実践している今、自分の時間を最大限に活かし、目標に向けて進んでいる感覚を強く感じている。これから私が実践しているGhost Modeの手引きを共有する。この方法が少しでも役に立てば嬉しい。

選択と集中

Ghost Modeを始める前に、まず自分自身に問いかけてみよう。「自分にとって本当に大切なものは何か?」 を考え、自分のパーパス(目的)を探ることが重要だ。私たちの時間は限られており、全てをやることは不可能だ。著名な経営学者ピーター・ドラッカーが説いたように、成功の鍵は「選択と集中」にある。現代人は忙しさに追われがちだが、一度立ち止まり、自分の価値観や優先順位を振り返る時間を持つことが大切なのである。

私がよくやっているのは、ノートに大切なものや達成したいことを書き出すことだ。難しく考えず、以下のテーマで箇条書きでまとめる:

  • 自分が大切にしていること

  • やりたくないこと

  • これから達成したいこと

ブレストのようになるべく多く書き出したい。そうすることで、思考が整理され、自分の価値観や次に取るべき行動が明確になる。また、ChatGPTなどのAIツールを活用して、記録、整理するのもおすすめだ。定期的に振り返り、迷ったときには客観的なフィードバックを得ることができる。

やることを決めるのは間違いなく重要だが、それ以上に 「何をやらないか」 を明確にすることが成功への鍵となる。不要な活動や時間を奪うものを削減することで、限られたエネルギーを本当に大切なことに集中できるようになる

また、自分の価値観やパーパスは、他人との比較や周囲の期待ではなく、内面から湧き上がるものでなければならない。自分自身と向き合い、何が重要かを考えた上でGhost Modeを始めよう。そうすれば、行動のすべてが目的に沿ったものとなり、より充実な日々を送れるはずだ。

長期的な視点で考えることの重要性

現代は短期志向のトラップが溢れている。「Instant gratification(即座の満足)」 という言葉があるように、SNSのショート動画、ポルノサイト、情報商材など、瞬時にドーパミンを得られる誘惑が至るところに存在する。最近話題の闇バイトや、短期間で稼げると謳う投資詐欺も、こうした短期志向の罠の一部だ。多くの人がこれらに引き込まれやすいが、何かを本当に達成したいなら、長期的な視点が不可欠だ
仮に短期的に成功を収めたとしても、それを持続できるかどうかはまた別の問題だ。短期的な満足を追い求めるだけでは、真の成果は得られない。

Ghost Mode では、こうした短期的な誘惑やトラップをシャットアウトし、長期的な視点で物事に取り組むことができる。成功には、数か月、さらには数年単位の計画が必要だ。すぐに結果を求めるのではなく、継続的に取り組むことで大きな成果を得ることができる。

振り返ると、私もこれまで成し遂げてきたことはすべて長期的な視点を持ち、コツコツと積み上げてきた結果だ。ブレイキンと柔術は毎週時間を割いて取り組み、少しずつ上達を重ねてきた。外資系の仕事においては、APACマネジャーにプロモーションされ、経営している会社も6期目に入り、ここ数年は黒字化を達成している。また勉強においても、社会人になってからMBAを取得。その後もAIやプロジェクトマネジメントの学習を継続し、スキルと知識を磨き続けている。

これらすべては、一日一歩でも着実に進むという信念のもと、長期的な視点を持って取り組んできた結果だ。どれほど小さな進歩でも、続けることでやがて大きな成果へと繋がると信じている。

Non-negotiables(妥協不可なもの)

Ghost modeを始める際には何を優先し、何を守るかを明確にしておくことが大切だ。以下の3つは私にとって絶対に妥協できないものであり、あなた自身も大切にしていくことをお勧めする。

1. 家族
家族は人生の中心であり、どんなにGhost Modeに入っても、家族との時間を最優先にしよう。 家族は一生を共にするかけがえのない存在だ。その絆を大切にすることが、人生における充実感とバランスをもたらしてくれる。

私の仕事上、グローバルのエグゼクティブと話す機会が多いが、彼らに共通しているのは、家族との時間を何よりも大切にしている点だ。たとえば、最近家族とサイクリングに出かけた話や、子供が日本語の勉強を頑張っている話など、彼らとの会話の中には常に家族のエピソードが含まれている。そしてその後に仕事の話題に入る。真のグローバルエリートは、仕事をしすぎて家族をないがしろにすることはない

私自身、3月に子供が生まれる予定で、この新しい家族を迎えることにとてもエキサイティングしている。この特別な時間を大切にしながら、家族と共に新たな挑戦に立ち向かう準備をしている。

Ghost Mode中でも、家族とのつながりを最優先にしよう。 家族と過ごす時間は、自分のパーパスややるべきことをより明確にしてくれるはずだ。家族との深い絆を育むことで、人生全体のバランスが整い、自分の進むべき道が自然と見えてくる。家族を大切にすることは、人生の成功に不可欠な土台だ。

2. 健康
健康を害すれば、どれだけ成功しても、目標を達成しても本末転倒になる。 自分自身45歳を迎え、若い頃と比べて年齢を感じる瞬間が増えたが、その分、健康を維持するための努力の重要性をこれまで以上に実感している。
週3回のブラジリアン柔術、週2回のブレイキン、そして自重トレーニングを数年間ほぼ毎日続けてきた。これらの活動がエネルギーの源となり、45歳の今でも身体は引き締まり、活力に満ちている。この習慣こそが、自分の健康と心の安定を支える基盤となっている。

睡眠、食事、ストレス管理といった基本的な健康習慣も軽視するべきではない。「健康は資本」 という言葉通り、たとえGhost Modeを実践する中でも、自分自身の健康ルーティンを守ることは欠かせない。家族と同様に運動の時間をスケジュールに組み込むことは必須だ。

健康でいることは決して当たり前ではない。 健康を保つには、意識的な取り組みと継続的な努力が求められる。心身ともに元気であれば、どんな挑戦にも立ち向かうことができる。健康はすべての土台であり、自分のポテンシャルを最大限に発揮するためには、体と心をしっかりとケアすることが何よりも大切だ。

3. ブラザーたち(仲間)
自分が何者でもなかったときから支えてくれたブラザーたち(仲間)は、宝のような存在だ。 年齢を重ねるにつれ、多くの人と出会う一方で、離れていく人も増える。まさに一期一会という言葉が示す通りだ。それでも、ずっと連絡を取り合っている仲間、自分らしく本音を話せる仲間、自分のことを真剣に考えてくれる仲間とは、これからも付き合い続けたい。
一方で、関わるべきでない人たちもいる。攻撃的な人、打算的な人、悪口や愚痴ばかり言う人、時間を奪ってくる人――こういう人に時間を一秒でも割く必要はない。適切な距離を保ち、自分の時間とエネルギーを守ることが正解だ。

Ghost Modeを実践する際には、信頼できる仲間たちにその旨を伝えよう。 本当に信頼できる人々は、自分の決意を理解し、応援してくれる。アドバイスをくれたり、力になってくれるはずだ。
Ghost Modeは、すべてを遮断して孤独になることではない。信頼できる人々との繋がりを大切にしながら、自分のやるべきことに集中するための状態を作ることだ

Ghost modeを実践する

Ghost Modeを理解したところで、いよいよ実践に移ろう。 繰り返しになるが、まずは「なぜやるのか」というパーパスを明確にすることが重要だ。その上で、長期的に 「何をやるのか」、そして 「何をやらないのか」 をはっきりと決めよう。さらに、自分にとって譲れない non-negotiables(妥協不可なもの) をリストアップすることもしたい。
Ghost Modeの期限をあらかじめ設定するのも効果的だが、自分のペースで無理なく取り組むことだ。難しく考える必要はない。目的はシンプルで、 自分のやるべきことに集中することだ。

以下に、Ghost Modeを効果的に進めるための 3つのTIPS を記載する:

1. ノイズをカットオフする
やるべきことに集中するためには、自分中心に考えることが重要だ。 自分の目的に合わない誘いや活動――例えば、行きたくない飲み会、親しくない人との付き合い、やりたくない仕事やプロジェクト――には、”NO”と言おう。時間は有限であり、重要ではないことに浪費する時間はない。

また、ストーリーやショーツなど、無意識のSNS "思考停止"スクロールは、自分の貴重な時間を奪うノイズに過ぎない。一切見ないのは現実的ではないが、習慣を変える工夫は可能だ。例えば、夜にスマホを別の部屋に置いたり、ストーリーをミュートしたり、グループラインへの反応をやめてみる。これだけでも多くの時間を取り戻せる。
他人の生活を覗いても、自分のゴールには何の役にも立たない。自分のエネルギーをもっと重要なことに使おう

2. 少しずつ継続する
Ghost Modeは長期的な視点で取り組むことが鍵だ。 新年の抱負のように「毎日筋トレをやる」といった目標を掲げても、三日坊主で終わっては意味がない。重要なのは、日々の生活の中で無理なく継続できる仕組みを作ること。例えば、通勤時間や移動時間といった隙間時間を活用し、勉強や読書、目標達成に向けた行動を少しずつ進めるのが効果的だ。

フルタイムで働いている場合、会社のあとの時間や週末は貴重なリソースだ。この時間をどう活用するかで大きく変わる。人間だからやりたくない時や疲れている時もあるだろう。しかし、少しだけでもやることが大事だ。その小さな行動が、「ゾーンに入る」瞬間を引き寄せる。
事前に時間をブロックしておくことも有効だ。カレンダーに「この時間は目標のために使う」と決めておけば、やらなければいけない状況を作り出せる。そのブロックした時間は、目標達成に直結する行動を実行するために使おう。

ノイズを遮断し、周囲に惑わされず、自分のやるべきことに集中すれば、達成は可能だ。小さな一歩が大きな成果に繋がる。やりたいこと、達成したい目標に向かって動き始めよう。

3. 振り返りをする
Ghost Modeを進める中で、時折立ち止まり、自分の進捗を確認することも重要だ。 普段は気づかないが、私たちは確実に成長している。たとえば、私の場合MBAを取得し、自分の会社を持つことは、以前は夢物語だと思っていたが、今ではそれが現実になっている。大小を問わず、自分が今まで達成してきたことは大いに誇るべきだ。

迷いや不安を感じたときは、過去の自分と今の自分を比べてみよう。その違いに気づけば、自分がどれだけ進化してきたかを実感できるはずだ。その上で、現状に満足せず、さらに先へ進むための行動を続けることが重要だ。資格の取得、起業の準備、SNSでの発信、家族との時間など自分にとって大切なことに集中しよう。世間のノイズを消し、自分にフォーカスすることで、新たな未来を切り拓くことができる。

Ghost Modeは、自分の時間とエネルギーを最大限に活かし、目標に向かって進むための手段だ。 少しの工夫と継続で、大きな変化を引き起こすことができる。自分を信じ、一歩ずつ進んでいこう。

最後に

私なりのGhost Modeを記載した。この内容が少しでも参考になれば嬉しい。Ghost Modeとは、難しく考える必要はない。 まずは自分が本当にやるべきことに集中するために、一歩を踏み出してみよう。たとえば、毎回参加していた飲み会を控えたり、無意識に時間を浪費していたSNSのスクロールをやめてみる。それだけで、自分と向き合う時間が生まれるはずだ。

その時間を使って、自分自身に問いかけてほしい。

  • 「私は本当に何がしたいのか?」

  • 「私の人生のパーパスは何だろうか?」

若い頃は人生が長いと感じていたが、45歳を迎えた今、人生は驚くほど短いと実感している。これまで多くのことに挑戦してきたが、「もっとこうすればよかった」と思う瞬間も少なくない。しかし、過去に戻ることはできない。だからこそ、今という瞬間が最も若いタイミングだ。「やるなら今」――この言葉を胸に刻み、自分のゴールに向かって進んでいこう。

世の中のノイズを遮断し、必要なものだけにフォーカスする。 You got this. (君ならできる)

【 私の自己紹介】
Aki Allen Kaneko 1979年、カナダ・トロント生まれ。日本に帰国後、学校に馴染めず高校中退。その後、大検に合格し、26歳の時に青山学院大学に進学。37歳でカナダのマギル大学でMBAを取得。
フランスの消費財会社、米国の通信会社、英国のコンサルティング会社を経て、EUの医療機器メーカーでアジアのプロジェクトマネージャーを務めている。2020年にサイファーホールディングス株式会社を創業し、海外展開コンサルティングやリーダーシップコーチング事業を展開している。
自身の20年間にわたる外資系企業での経験とマネジメントスキルを基盤に、グローバルな視点でキャリアアップやリーダーシップの考え方やトレーニング手法を推進している。また、グローバルリーダーの育成を目指したコーチングセッションの提供に加え、企業の成長や挑戦を支援するため、ミッションやビジョンに基づく戦略の策定からマネジメントの実践まで、幅広い知見を発信している。ビジョンは周りに良い影響を与えること。

趣味はブレイクダンス、ブラジリアン柔術、読書で、最近は生成AIとプロジェクトマネジメントの勉強に熱中している。

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