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【005】社内新規事業を進めるために、社内の強みを理解する― 社内アセットを最大限活用するために ―
社内新規事業の成功には、顧客の課題を解決することが重要です。しかし、それ以上に大切なのは、自社が持つアセット(資産)を活かすことです。社内の強みを正しく理解し、これを最大限に活用することで、競合には真似できない独自の価値を生み出すことが可能となります。本記事では、社内を理解する意義と目的、そしてそれを深めるための3つの視点について解説します。
1. 社内を理解する意義と目的
社内新規事業において、顧客の課題解決を目指すことはもちろん重要です。しかし、どれだけ顧客ニーズに適したアイデアを出したとしても、自社が持つアセットをうまく活用できなければ、事業の推進力が弱くなり、競争力を十分に発揮できません。
意義
競争優位性の構築
自社の強みを把握し、それを基盤にした新規事業を設計することで、競合との差別化を図ることができます。リソースの有効活用
限られた人材や資金を適切に配分し、効率的に新規事業を進められます。リスクの低減
社内の強みを理解することで、無理な挑戦を避け、現実的かつ実行可能な計画を立てることが可能です。
目的
自社が提供できる価値を明確化する
新規事業の方向性を具体的に示す
社内のリソースを活かした実行可能な戦略を立案する
2. 社内を理解する視点①:ヒト・モノ・カネ・情報で強みと弱みを理解する
社内を理解する基本フレームとして、「ヒト・モノ・カネ・情報」の4要素に分けて分析する方法があります。
ヒト(人材)
自社の人材が持つスキルや専門知識、リーダーシップ、チームワークなどを把握します。特定分野の専門家がいるか、または社員の意欲や柔軟性が新規事業に向いているかを確認しましょう。モノ(設備・技術)
自社が持つ設備や技術、製造ライン、デジタルインフラなどの現状を整理します。これにより、新規事業における競争力を見極めることができます。カネ(資金力)
新規事業に投入可能な資金の規模や予算管理の状況を把握します。資金力は、事業の成長スピードに直結する重要な要素です。情報(データ・知見)
自社が保有する市場データ、顧客情報、業界知見を活用することで、正確な戦略を立てることができます。
これら4つの要素を整理し、どの分野に強みがあり、どの分野に課題があるのかを明確にすることが、効果的な事業推進の第一歩です。
3. 社内を理解する視点②:バリューチェーンを整理して強みと弱みを理解する
次に、社内活動を「価値の流れ」として捉えるバリューチェーンの視点を活用します。バリューチェーン分析は、自社の主活動と支援活動を整理し、それぞれの活動がどれだけ価値を生み出しているかを評価する方法です。
バリューチェーンの主な要素
主活動
製品やサービスの生産、販売、配送、アフターサービスなど、顧客価値を直接生み出す活動を指します。支援活動
人事、調達、研究開発、インフラ管理など、主活動を支える役割を果たす活動です。
強みと弱みを整理するプロセス
各活動のコスト構造を把握する
各活動が競争優位性に貢献しているかを評価する
価値を高めるために改善すべきポイントを特定する
バリューチェーン分析を通じて、社内で価値を生み出している「強み」と、改善が必要な「弱み」を明確にすることが可能です。
4. 社内を理解する視点③:自社、他社、顧客の特徴を理解する
最後に、自社を理解するためには、自社だけでなく他社や顧客の特徴を把握し、それらを比較することが重要です。
① 自社視点
自社の内部リソースや強み・弱みを把握します。自社が提供できる価値や、これまでの実績を深く掘り下げましょう。
② 他社視点
競合他社がどのような戦略を採用しているかを分析します。他社の成功事例や失敗事例を参考にすることで、自社が目指すべき方向性が明確になります。
③ 顧客視点
顧客が抱える課題やニーズを理解し、どのような価値を提供すべきかを検討します。顧客視点を持つことで、社内のアセットを最大限に活かした解決策を構築できます。
まとめ
社内新規事業を成功させるためには、顧客の課題を理解するだけでなく、社内の強みを正確に把握することが不可欠です。「ヒト・モノ・カネ・情報」「バリューチェーン」「自社・他社・顧客」という3つの視点を活用し、社内リソースを整理することで、競争優位性を高めることができます。