毛先が好きな話
髪は女の命。
よく耳にすると思う。
長年ショートヘアだった私が、最近髪を伸ばし始めた。
純粋に髪型がかわいいから、いいことがありそう、願掛け、理由はいろいろあるけれど、やっぱり「自分が積み重なっていく感覚」が大きい。
細胞が生まれ変わる話をきいたことがあるだろうか。
人間は数週間~数か月かけて、全身の細胞が生まれ変わっている。
その例外が髪だ。
髪は、抜けていくものを除いて、連なっていくのである。
蓄積されていく。
だから、去年の私の細胞は体中どこを探してもないけれど、髪の毛にはある。
そんな髪の毛の一番先、てっぺんは、「一番古い私」なのだ。
自分の歴史を自分の体で積み重ねることができる、確認できる、唯一のツール。
だから、髪をのばして、
ああ、ここら辺の私は何してたっけな、
このあたりの私、頑張ってたな、と振り返りたいのである。
長い髪を管理するためのトリートメント代や美容室代、日々の洗う時間、乾かす時間、そのすべてが歴史として目に見えて構築されていく過程も、これから楽しみたいと思う。