GREAT MOON

1995.11

GREAT MOON

1995.11

最近の記事

  • 固定された記事

aikoの歌が恋を知った私たちにガンガン響くわけ

私がaikoに出会ったのは、きっと物心つくよりずっと前。 「よく流していたわよ」と母が言っていた。 記憶があるのは「秘密」というアルバムくらいの時。 中学生かそこらの私には、GReeeeNやファンモンや大塚愛などのポップでリズム感のある音楽の方が面白く、aikoの魅力は、さほど理解できていなかったように思う。 aikoは、詞を先に書き、後から曲を作っていくらしい。 本来の作り方とは逆だ。 改めて聞くと、後から付け加えたとは思えないほど、音楽が歌詞になじみ切っているのがすごい

    • 岡潔が気付いていた現代の闇

      岡潔——「多変数解析函数論」における「三大問題」をすべて解決した——は、もう60年も前にこう述べている。 いま、たくましさはわかっても、人の心の悲しみがわかる青年がどれだけあるだろうか。人の心を知らなければ、物事をやる場合、緻密さがなく粗雑になる。粗雑というのは対象をちっとも見ないで観念的にものをいっているだけということ、つまり対象への細かい心配りがないということだから、緻密さが欠けるのはいっさいものが欠けることにほかならない。 (春宵十話より) 岡潔がSNSに侵された現

      • 一看護師から見た人が死ぬということ(偏見)

        私は4年間、急性期病棟に看護師として勤務していた。 最初は外科、最後の1年は内科が主の混合病棟。 看護学校時代から飲み込みが遅く、出来が悪い方で、先生方や指導者にはたくさん迷惑をかけたと思う。 医師とやることは違っても同等の知識は必要で、日々勉強、勉強。 経験を積みながら成長していけばよいと言っても、一つのミスが命に関わってしまうかもしれない緊張感。 その緊張感からくる人間関係の悪さやプレッシャー。 必ずしも良い労働環境とは言えなかった。 大きい病院にいると、病棟によって

        • ラブホテルなんか大嫌いだ

          ラブホテルは嫌いだ。大嫌いだ。 ラブホテルを舞台にした援助交際やら風俗嬢やらのドキュメンタリー漫画を見てげんなりしているのが大きい。 それだけじゃなくて、地下鉄の公衆トイレみたいに、いろんな人の体液や体臭や情念が混ざり合って、芳香剤の匂いで上書きされていく過程も、妙に天井が低いところも、窓がないところも、大嫌い。 そこは、ただ用を足すためだけに存在している。用を足す前は宝島のように見えるその場所も、済んでしまえば、ただの鍵がついた洞穴になる。 (私は大嫌いなので、そんな風に

        • 固定された記事

        aikoの歌が恋を知った私たちにガンガン響くわけ

          最高の陽キャラの在り方をI.W.G.P.の「真島マコト」から学ぶ

          数年前に九州から成増駅に上京し、数年間滞在した。 東武東上線ユーザーならご存知だと思うが、成増駅は池袋から電車で10分。なかなかの近さで、私にとっての「東京」は池袋と言っていいほど通い詰めていた。 ルミネに行ったり、南口のビルのフラダンス教室に通ったり、メトロポリタンホテルのレストランで誕生日をお祝いしたり、東口のブックオフで永遠に立ち読みしたり。 20代前半の楽しい時間を、池袋とともに過ごした。 他の町はなんだかそわそわして落ち着かなくても、池袋に来るとほっとした。 広すぎ

          最高の陽キャラの在り方をI.W.G.P.の「真島マコト」から学ぶ

          映画「花束みたいな恋をした」は絶対に一人で見たい映画でした

          映画をみた。 一人で見たい映画と、みんなで見たい映画は違う。 「花束みたいな恋をした」は、世界観やあらすじを見る限り、絶対に一人で見たい映画だった。 ストリーミングになるまで待ち、ようやく見ることが叶った。 大学生の絹と麦が、終電を逃し、出会う。 好きな作家が一緒で、興味のあるものが一緒。 自分だけの世界でコツコツ積み上げてきた「これが好き」「あれが好き」が、なぜか解きほぐされ、自分だけの世界に他人が入り込んでくるというより、二人の世界になっていく。 ずっと前から、私が生

          映画「花束みたいな恋をした」は絶対に一人で見たい映画でした

          誕生日ってこんなに静かに訪れるものだったっけ?

          27歳になった。 いつも通り昼前に起きて、家事をこなしたら昼が過ぎて、何も食べていないことに気付きあわててヨーグルトをかき込んだ。 今日が誕生日であることは自覚していた。 流石に日付を忘れたりはまだしない。 少し前まで、誕生日という日は、自分のために太陽が昇り、自分を取り囲む社会の住人は皆、私をお祝いしてくれているような感覚だった。 森羅万象、全てグレードアップして見えていたはずなのに。 気付いてみたら1人、いつもと変わらない日だ。 もちろん、同じ日は毎年やってくる

          誕生日ってこんなに静かに訪れるものだったっけ?

          ケータイ小説と横書きの文章について

           中学生の頃、ケータイ小説がブームになった。 書店に足を運べば、ベストセラーから、新作まで、様々なケータイ小説が並べられていた。 次々に映画化・ドラマ化された。 テレビでは、どうして皆に支持されているのか、インタビューを交え報道され、「縦書きは、少し読みづらいですね。やっぱ横書きだとすらすら読める気がする。」と、画面の中の女子高生が答える。 縦書きと横書き、どちらの方が早く同じ文章を読むことができるのか、検証までも行われていた。 だから、ケータイ小説は多くの人に支持されるので

          ケータイ小説と横書きの文章について

          琥珀色って何色だと思ってた?

          子供の頃、たぶん国語の授業か何かで「琥珀色」という色があるのを知った。 初めて聞いたとき、なんだか響きがかっこいいと思ったのと同時に、 素朴にどんな色だろう?と想像を膨らませるのが楽しかった。 白っていう字が入っているから、きっと白っぽい色なのかな。 いや、字を見る限り、すごくかっこいい色だろう。 でも、「コハク」っていう響きがなんだかかわいらしい男の子みたいだな。 じゃあ青っぽい色かな。 と、考察した結果、パリッとした青を想像した。 大人になって、琥珀色の正体を知った

          琥珀色って何色だと思ってた?

          毛先が好きな話

          髪は女の命。 よく耳にすると思う。 長年ショートヘアだった私が、最近髪を伸ばし始めた。 純粋に髪型がかわいいから、いいことがありそう、願掛け、理由はいろいろあるけれど、やっぱり「自分が積み重なっていく感覚」が大きい。 細胞が生まれ変わる話をきいたことがあるだろうか。 人間は数週間~数か月かけて、全身の細胞が生まれ変わっている。 その例外が髪だ。 髪は、抜けていくものを除いて、連なっていくのである。 蓄積されていく。 だから、去年の私の細胞は体中どこを探してもないけれど

          毛先が好きな話

          イルカと西の島に引きよせられて運命的な出会いを果たした二人の、その後のリアル

          ミサ子さん。当時26歳。私の職場の先輩だった。ダイビングが好きで、旅行が好き。楽しいことがすき。仕事もそつなくこなせる。おっとりしていて、とてもかわいい。けれど、こだわりや芯がしっかりあって、自分の意見はしっかり言える。周囲に流されない。そんな彼女と一緒にいるのが、すごく楽しかった。 ある日、ミサ子さんは「イルカを見に行きたい」と西の島へ出かけた。片道数時間、島を一つ経由しての長旅だ。SNSにはかわいらしいイルカと、楽しそうな様子の投稿があがった。数日間の旅行を楽しんで、帰

          イルカと西の島に引きよせられて運命的な出会いを果たした二人の、その後のリアル

          愛のない人間は、結構たくさんいる。

          愛のない人間には、なってはいけないなと思います。 愛のない人間は、かなり、たくさん存在します。 愛のない人間は、常に愛に渇望しており、余裕がありません。 余裕がないため、見つめ直すことができません。 何か悪いことが起こった時、まず、相手や対象の原因を探ります。 そしてその原因を見つけた時、それがすべてだと思い込み、他に原因を探すのをやめそれを責めたり、相手を改善させようとします。 原因が相手や対象にしか、見えていないので、傷つけてしまった、という自覚もないでしょう

          愛のない人間は、結構たくさんいる。