ラブホテルなんか大嫌いだ
ラブホテルは嫌いだ。大嫌いだ。
ラブホテルを舞台にした援助交際やら風俗嬢やらのドキュメンタリー漫画を見てげんなりしているのが大きい。
それだけじゃなくて、地下鉄の公衆トイレみたいに、いろんな人の体液や体臭や情念が混ざり合って、芳香剤の匂いで上書きされていく過程も、妙に天井が低いところも、窓がないところも、大嫌い。
そこは、ただ用を足すためだけに存在している。用を足す前は宝島のように見えるその場所も、済んでしまえば、ただの鍵がついた洞穴になる。
(私は大嫌いなので、そんな風にも見えない)
セックスが欲望と羞恥の塊みたいな扱いなのがいけないとも思う。表の看板は威勢がいいのに、入口のおばちゃんからも顔が見れなくなっているし、見られないように、こっそり部屋に入るのがマナーみたいになっている気がする。闇の取り引きみたいだ。
もっと、神社にお参りに行くみたいに神聖な気持ちでできたらいいのに。
マリー・アントワネットは行為中、召使にガン見されてたらしいけど、本当かな。でもそのくらいでもいい。恥ずかしいことじゃなくて、素晴らしいこと。汗をかいたら、すっと誰かがタオルを持ってきてくれて、頑張れとか応援してほしい。
でもそうか、二人だけで秘密を共有する、私だけに見せる姿みたいなのが醍醐味なのかな。
羞恥心や背徳感が醍醐味というのならば、あまりにも露骨すぎる。
ラブをつければ何でも輝くってものでもない。
あまりにも「公衆トイレ」感がすごい。
その行為がよくないって言ってるわけじゃない。
けど……。
男女の仲を商売にしている人は別として、
私からすると、全然ロマンチックじゃない。
もっと駆け引きを楽しみたい。
ラブホテルに入るまで、じゃなくって、AからBに行くまでの駆け引きを楽しみたい。
きっと女の子は、心のどこかでロマンチックを求めていると思う。
その証拠に、少女漫画の映画に出てくるホテルは、絶対にラグジュアリーな高級ホテルだ。
部屋のテレビでAVが流れたり、エッチな機械を売っている自販機のあるホテルじゃない。
「普通」に泊まることもできるホテル。
もちろん、ラブホテルでしか埋まらない隙間もあるのかもしれない。
野外でされるよりよっぽどマナーがあるとも思う。
だけど、いきなりラブホテルに誘うような男の人は、願い下げなのである。